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僕は君の笑顔に恋をする

作者: SYULI

入試説明会にふと目を惹く子がいた


短いスカート、すらっと伸びた真っ白な足

風に靡く長い髪は緩やかなカールがかかっていて


振り返る拍子に、長い睫毛と整った鼻筋が目に入る。


誰とも話さず、整った顔を崩さず、颯爽と歩く姿はさもモデルや芸能人だと気取っているかの様だった。



(うわ、気合い入ってる。ばっちりメイクして何しに来たんだ?)


反感を抱きつつも、どうしてか目で追ってしまう。

そのあとすぐに、学部長の説明が始まった。



説明が終わり、歓談タイムになった。

4人ずつグループが割り当てられ、そこに1人先輩が加わり、先輩に質問をして教えてもらおうという趣旨のグループでの自由な歓談が企画されていた。


グループにつくと、

女の先輩1人と、他の男女2人と、僕と、

彼女がいた。


誰から口を開くか、という沈黙が流れるかと思われたときだった。

「個人的なことですが、先輩モテますよね?!絶対モテますよね?!」

突然、隣の男子が先輩に話し掛けた。


(開口一番に何言ってんだこいつ)



「…ふふっ」


それまで無表情だった彼女が、突然の彼の発言に思わず笑った。それまでの気取った雰囲気は全くなく、無邪気であどけない笑顔だった。


(…こんな顔するんだ)


「いやいや、モテないよー」

先輩がそう返しながら、理想と現実について語っていく。彼の意図してか、緊張した空気は消え、和やかに歓談が始まった。


それから1時間ほど、入試対策や勉強法から、大学生活、授業、先生、サークル、大学に入ったらやりたいことなど様々なことを自由に話し合った。


その間彼女と幾度となく目が合ったのは、僕が彼女を無意識に目で追っていたからかも知れない。彼女は最初に見かけたときの気取った様子が全くなく、終始楽しそうに笑っていた。


(これが本来の彼女なんだろうな。)


始めは先輩に1人が質問する形式だったが、最後には全員でわいわい意見を言いながら、楽しい雰囲気で歓談は終了した。


「「「ありがとうございました!」」」


口々に言い、解散する。

短い時間だったがあんなにも盛り上がっていたのが嘘のように、それぞれバラバラに帰っていく。



(そういえば名前知らないな)



たった一度の出会い。

入試も迎えていない僕たちは、この中でどのくらいが受験を決め、次の春にこの場に集うのだろう。


(次に会ったら名前を訊こう)


根拠はないが、また会える気がした。


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