表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/9

砂漠での語り

相変わらず狭いな

AWの中で俺はそう思った

持ち込んだMP(ミュージックプレイヤー)はそろそろ全ての曲を流し終えようとしていた

HMD越しに外の景色を眺めるが輸送状態のAWの装甲と砂と道路以外のモノは見えなかった

「あと少しで目的の基地だ、そこまで行けば任務完了だ、帰ったらビールでも飲もうぜ」

とナビゲーターの声がヘルメットのスピーカーから聞こえる

「また酔っぱらって寝るなよ、マイク」

「うるせえ、ほっとけ」

と軽口が聞こえるのも輸送護衛任務中のPMCだからだ

「さてと今日も無事IED帯を抜けられますかね」

今からさしかかろうとしている基地への道は特にIEDによる被害が多い場所だ

「被害が多いって言ってもさ、交通量が多いからだろ、どう考えても」

「だから設置数も多いんだよ」

「まったく正規軍は何やってんだか」

「仕事が増える分には儲かるってもんだ」

「ちげえねえ!」

下らない会話に耳を傾けつつ、鼻歌まじりに残りの曲を流す

その間に戦闘が起きない事を祈りながら目的地へと運ばれいく

凄まじい轟音と衝撃がいきなり機体と輸送車を襲う

反射的に各部を戦闘出力にし、FCSを切り替える

「こちら先頭車両、問題ない、比較的小さな爆発だったみたいだ」

「UAVのセンサーには敵らしい反応はない、進んで大丈夫そうだ」

IEDの餌食になるのは大抵が先頭車両で食らえば命は無い

AW輸送車がコンボイの中央か後方に配置されるとはいえ、爆発は心臓に悪い

再び待機状態に戻すと車両に揺られて多国籍軍基地へと入っていく

基地の警備は同じPMCの人間がやっていたが顔見知りは一人もいなかった

「補給物資の受け渡し、確かに確認しました」

「では受け渡しのサインをお願いします」

とPMC側の人間と基地の補給担当がやり取りをしているのを横目で見ながら

俺は残りの出張日数の事を考えていた、あと二週間と少し

早く帰りたい気もするが何となくココに残りたい気もする、そんな心境だった

AW輸送車の横でジュースを飲んでいたソフィアに声をかける

「帰りも何も無いといいな」

「あったところで何も変わらない、敵を倒すだけだ」

「・・・」

帽子をかぶっているせいで彼女の顔は見えないが青い目の向こうは確実に目の前を見ていない、そんな気がした

彼女は飲み終わったジュースのパックをゴミ箱に捨て、AWのコックピットに戻る

「受け渡しを完了した、出発するぞ」

コンボイは補給物資の受け渡しを完了し、キャンプへと戻っていく


AWI社の拠点は小さな街と形容できる規模を誇っていた

コンボイが開けられたゲートをくぐり、今日も無事に帰れた事に安堵する

AW輸送車から降りるとまっすぐにパブへと向かう

ドアを開ければそこは喧噪の渦がいくつも渦巻いていた

カウンターに座り、あたりを見回すと珍しくソフィアとカレンが一緒に飲んでいた

珍しい事もあるな、と思いながら隣の席まで移動する

カレンはともかく、ソフィアがこのような場所にいる事自体が例外中の例外と言ってもよかった

カレンからの質問に生返事を返しつつ、オレンジジュースを飲んでいた

ついそれが気になり、質問してしまった

「なあ、なんでいつもジュース飲んでるんだ?」

一瞬驚いたようにこちらを見たが、すぐに視線を戻すと彼女は

「アルコールが入るといざというときに戦えない、それに」

「それに?」

「私はアルコールが苦手だ」

そう言うと残りのジュースを飲み干し、パブを出て行ってしまった

カレンはため息をつきながら

「うーん、出撃の為にアルコールを禁ずるか、軍人でもいないね」

と詰まらなさそうにグラスを眺めていた

戦闘マシーン、そんなイメージをこの時うっすらと抱いてしまったが

その時は気のせいだ、と流して飲む事にした


パブの一件から数日後、いつもの輸送護衛任務の途中、

警戒の為に上空に放っていたUAVが敵影をキャッチした

植生もまばらなアフリカ特有の砂色の荒野にAWが三機とテクニカル数台が展開しているのがUAVのカメラを通してHMDに送られてくる

昼間の高温な砂漠の影響による陽炎で輪郭は多少ぼやけているが

コンボイを狙っているのは明らかだった

「レイア各機、戦闘開始!全武装使用を許可、敵を撃滅しろ」

レイア1からの号令でFCSを切り替え、二機一組のエレメントを組み

敵を左右から挟み込んでいく

「敵AWを右からボギー1,2,3とする、上手く仕留めろよ」

「「「了解」」」

HMDにbogyの文字が表示され、相対距離が算出される

「距離は1200ってとこか」

足裏のローラーを回転させ、一気に距離を詰めていく

「レイア3!ボギー2を頼む、私はボギー1をやる」

「了解」

僚機のレイア2からの指示を受け取ると

鋭角カーブを描きながら敵機に殺到していく

HMDに表示されているレティクルをテクニカルに合わせると

「ターゲットインサイト、ファイア!」

トリガーを引く

手持ちの30mmチェーンガンから弾丸が吐き出され、

30mm弾は周りの地面と一緒にテクニカルを吹き飛ばす

他のテクニカルがRPGを構えながら自機に殺到してくる

が、次の瞬間横に展開していたレイア1からの掃射でテクニカルの一群はなぎ払われる

ボギー1が射手に気づくが、そちらを向こうとする間もなく爆散する

ボギー3も間もなく撃破され、ボギー2を撃破しようとチェーンガンを発射した

が、ボギー2は見事な切り返しでそれを避けるとまっすぐにナイフを突き立ててきた

後ろに下がる、チェーンガンでガードする、ナイフを抜く

全てを同時に行い、構える

「畜生、あの時と似てるな」

デジャブを紛らわせるために呟くがそれが却って反応を遅くさせた

ナイフを辛うじてそらすが、体勢を崩す

それを敵が見逃す訳も無く、脚を払われ転倒する

やばい殺される、確信だけが頭の中を占める

「困った時だけでも神様信じたら助けてくれるかね」

気休めにすらならい独り言を呟く

するとどういう訳か敵は爆散した

「大丈夫か?レイア3」

ソフィアのレイア4だった

「ああ、大丈夫だ・・・ありがとう」

機体を自動で起こすと、残りのテクニカルは全て逃げている最中だった

ウィンドウを呼び出して損害を確認するがごく軽微なもので済んでいた

レイア小隊は再びローラーを回転させコンボイの護衛に戻っていく


AWI社の拠点に戻り、パブで飲んでいるとソフィアがすごい剣幕で近づいてくると

静かにカウンターに手をついた

「何故だ、何故あの時敵を倒せなかった、お前なら倒せただろう」

その声は怒り、疑念、そんなモノを含んだ声だった

ここまで感情をあらわにする彼女を始めて見たので正直に驚いた

「まあ、なんだ、なんでもない気にするな」

「気にするなだと!?もしあれが実力ならとてもエレメントなんて組めない」

一瞬パブの中の空気が冷え、静まり返る、しかしそんな事には彼女は構わず続けた

「何故だ、本当の事を話せ」

「分かった、だがココじゃ無理だ、外で話そう」

流石にここまで空気の凍り付いた場所で話すのは気が引けた

パブを出ると外は少し肌寒い、星の見える夜だった

自分の過去を語るのはあまり好きじゃないがそんな事で彼女が納得するとも思えなかった

深い深呼吸を一度すると口を開いた

「まだ軍にいた時の話だ」

一週間に一回ぐらいの更新を目標にやっていきます

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ