表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ドタバタ学園生活~夜のピクニック~

作者: 夢見長屋

都心から少し外れた所にある俺たちの学校には、一風変わった行事があった。

夕方に都心に向かい、そこから夜道を歩いて学校まで帰って来る『夜のピクニック』と名付けられた行事だ。

ただ夜道を歩くだけの行事だが、この行事は生徒達からかなり人気のある行事だった。

普段見慣れた道も、夜には別の顔を見せる。

都心のライトアップされた街並みを抜け、徐々に明りは少なくなり、最後は星空の下を歩く道のりは、どことなく幻想的に思えてくる。

ある者は、一人星空を仰ぎ見ながら歩き。

ある者は、カップルで互いに手をつなぎながら嬉しそうに歩き。

ある者は、仲間と笑い話をしながら楽しそうに歩く。

その光景は傍から見るとサーカスの一団が列を作り歩くような不思議な光景。

生徒達はこの不思議な行事を心から楽しんでいた。

 

「しかし夜道を歩くってなんか楽しいな」

「あぁ、ただ歩くだけなのに心が躍るな」

俺は親友や、親友の彼女、委員長などと一緒に夜道を歩いていた。

いつもの放課後の様につまらない雑談を話しながらも、いつも以上に心は高揚し、笑い、喜び、楽しみただ歩く。

「本当に星空が綺麗ですね」

「なかなか落ち着いてこうやって星空を見る機会もないからな」

「でも俺こういう星空を見ると、あれ思い浮かべるんだよな」

「あれって?」

「アニメ化物語のED『君の知らない物語』あれのPVに似ているんだよな今の俺達」

「…確かに似てるな」

この間こいつとカラオケに行き、見たPVと今の状態は似ている。

「今ipod にその曲入ってますけど、良かったら流しましょうか?」

「おう、ちょっと流してよ」

彼女がそう言い、その曲を流してもらう。

あたりが静かだから、曲はあたりに響き全員その曲に耳を傾ける。

わずか5分弱の曲が終わると、またみんな楽しそうに笑っていた。

「まさかこの場でアニソンに感動するとはね」

「でもこんな場には合ってたんじゃない、委員長?」

そう言って、また俺達は雑談を続けながら歩き続ける。

 

後一時間足らずで終わる道のり、そこに一切哀しい予感は無かった。

ただ残された道のりを少しでも楽しもうと全員思っていた。

この行事は三月の終わり、クラス替えの前に行われる行事だ。

一年を振り返り、それぞれがそれぞれの思い出を語り合う。

一抹の寂しさは全員持っている、でもそれ以上に全員最後を笑顔で終わりたいと思っている。


最後を笑顔で締めくくれる行事だから、全員笑顔で星空の下を同じ時間を過ごす。

星が俺達を見守り、明日からまた新しい日が昇る。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ