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スピリッツ! ~おちこぼれ勇者の大冒険~  作者: 時雨瑠奈
話し合う巫女
25/33

第二十四話 ~闇の精霊との戦い・後編~

 ルークはキッと闇の精霊・リオンを

睨みつけて剣を構えていた。

 突っ込んできたのに足払いをかけ、

少し時間稼ぎに成功する。

 リオンはさらに激怒し、無差別に

攻撃を振らせてきたので三人は

慌ててよけなければならなかった。

 息を切らせながら彼らは攻撃を

よけきる。

 アンジェはもはや一言もなく

彼らを見守っていた。

 三人の耳に、精霊達の声が届く。

否、心に直接響いたと言った方が

正確だろうか。

〝ルーク、ビショップ、カストル。

私たちの声が聞こえますか?〝

 それはジェモー(姉)の声だった。

リオンには聞こえていないようなので、

三人は無言で頷く。

 さらに声は響いてきた。

〝あたしたちの声の通りに動けよな?

 力貸してやるよ〝

 今度はジェモー(妹)の声である。

ルーク達はこれにも頷き、剣、弓、籠手に

それぞれ明るい光が宿るのを確認した。

 リオンが気づいたのかチッと舌打ちする。

しかし、ルーク達は驚きのあまりそれには

気づいていなかった。

「すごい……」

「ありがとな、皆……!!」

「これで、あいつに勝てる……!!」

〝続けますわ。集中して。心の中の声に身を委ね

なさい〝

 今度の声はヴェルソーだった。

三人は目を閉じ、何も考えずに武器を握りしめる。

「させねえよっ!!」

 リオンがそのスキに攻撃を仕掛けようとして

来た。だが――。

〝それは~、こっちのセリフだぜ~!!〝

「ちくしょう!!」

 土の塊が落ちてきてリオンの攻撃を妨害した。

カプリコルヌの力だ。

 リオンは顔を真っ赤にして怒り、さらに攻撃を

しようとしたけれど、今度は蔦が絡んで来て

動けなくなった。

〝邪魔、させない……!!〝

「ベリエエエッ!! 離しやがれ、てめえええっ」

 ベリエの自然の力がリオンを縛る。

リオンの怒声が上がり、一瞬びくっ、となった

けれど、ベリエは力を緩めたりしなかった。

 ルーク達を認めたもの全てが彼らに協力

している。

 アンジェはルーク達の成長に心から拍手を

送っていた。

 最初は弱い敵にも苦戦していたルークが、今は

精霊に認めさせ、協力までさせているのだ。

〝ルーク達、お前に勝つ!! だから、絶対、

離したり、しない……!!〝

 リオンはいつもは気が弱いベリエに反抗され、

驚いたように目を見開いていた。

 同時に、ルーク達が目を開く。

「リオン、覚悟しろよな!! こっから俺達の

反撃だ!!」

「覚悟してください!!」

「勝つのはあたしたちだよっ!!」

 先に動いたのは、ビショップだ。

煌めく弓をしっかりと掴み、弓を引き絞って

リオンに向けて放った。

「ヴェルソー、力を借りるよ!!」

〝了解ですわ、ビショップ〝

 ビショップの背にヴェソーが寄り添った。

矢に青い光が灯り、リオンめがけて突っ

込んでいく。

水柱乱舞オンズ・ラック!!」

「ぐあああああああっ!!」

 十一の水柱が上がり、リオンを空中に

打ち上げた。

 リオンが地面に落ち着る前に、今度は

煌めく籠手をしっかりと握ったカストルが

空中攻撃を仕掛ける。

「ジェモー、来て!!」

〝分かった!!〝

〝協力してやるぜ!!〝

 双子のジェモーがカストルの顔をかすめる

ように姿を現す。

 籠手が風の色を映して一際強く煌めいた。

鎌鼬ミストラル!!」

「うあああああああっ!!」

 風の刃がリオンを切り裂く。

受け身を取れずに叩きつけられた彼に、ルークの

剣が迫っていた。

「これで最後だ!! 来い、ベリエ!!」

〝がんばる!!〝

葉乱舞フイユ・エール!!」

「ああああああっ!!」

 絶叫が響き渡る。

葉が羽根のように舞い、浄化の光がその場に

溢れた。

 リオンは再び叩きつけられ、もう動く事など

出来ない。

「やった、勝ったわ!!」

 カストルの上機嫌な声がその場に響き

渡った――。


「俺は絶対に認めねえぞ!! 何かの間違いだ、

俺が負けるなんて!!」

 リオンは負けてからも喚き続けていた。

その顔はひどく青ざめており、かなりの衝撃を

受けた事がうかがえる。

 と、バランスがルーク達の方に歩み寄り、

さらにリオンに強い衝撃を与えた。

 漆黒の瞳に涙を浮かべながら、リオンは

ぎりりと歯噛みする。

「バランス、てめえ、裏切るのか!?」

「こやつは十分に強い。わしの力を貸したとて、

何の申し分もないよ」

 ポワソン、カンセール、スコルピオン、ヴィ

エルジュも動いた。

 トローは迷うようにリオンと彼らを交互に

見ている。

「リオン、往生際が悪いですよ!! あなたは

負けたのです」

 アンジェが厳しい声でたしなめた。

リオンは睨むようにルーク達を見つめていた。

 トローが迷った末、動き始めている。

それは当然リオンの隣ではない。

 誰も味方はいない事に気付き、リオンは

諦めたように姿を消し、〝プリュネル〝に

黒い光がともった。

 これで全部がそろった。

剣、弓、籠手に十二の宝石が点ってきらきらと

光っている。

「ルーク、ビショップ、カストル、頑張り

ましたね」

 アンジェに笑いかけられ、ルーク達は頷くと、

それぞれの武器をかかげて笑みを浮かべた――。

 今回で闇の精霊との戦い編が

終わります。少し長くなり

ましたが、ようやく決着が

つきました。

 次第に、終わりが近づいて

来ました。最後までお付き合い

いただけると嬉しいです。

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