第二十三話 ~闇の精霊との戦い・中編~
「覚悟しろ!!」
最初に動いたのはリオンだった。
ルークは危うい所で攻撃をさけ、
闇の塊が岩にぶつかって消える。
漆黒の瞳が怒りを秘めて輝き、短い
黒髪は逆立っていた。
ルークは今のちょっとやばかったな、
と思いながらリオンから距離を取る。
少年のような姿をした精霊は、その
見た目通り多分に子供っぽいようだった。
ルークの挑発にかなり頭に来ている
らしいのが、その証拠だ。
「それはこっちのセリフよ!!」
カストルがルークの右側から、蹴りを
叩きこもうとした。
しかし、偶然左側から飛び出して来た
ビショップと激突してしまう。
アンジェに直してもらったばかりの、
銀の弓を引き絞ろうとした矢先らし
かった。
カッとなったカストルが怒鳴り、
ビショップもまた涙目で抗議した。
「何してるのよ、馬鹿っ!!」
「いったあああい!! カストル
こそ!!」
「遊んでる場合じゃないぞ!!
ちゃんとやれよっ!!」
ルークはため息をつきながら攻撃を
繰り出した。
涙目になってお互いを睨みつけるも、
ビショップ達も攻撃を開始する。
アンジェや、彼らを認めた精霊達が
見守っていた。
「あたるもんか!!」
「うわっ!!」
闇の塊が直撃し、ルークは思わず
吹っ飛んだ。
受け身を取れずに叩きつけられ、呻いて
その場にうずくまる。
「よくもルークを!!」
「覚悟しなさいよね!!」
カストル達が怒りで攻撃力が上がり、なん
とか攻撃が命中するも、ルークと同じように
攻撃をくらって叩きつけられてしまった。
「負け……ねえぞっ!!」
「ぐっ!!」
はあはあと苦しそうな息使いが聞こえる。
しかし、ルークは勝ち誇ったような顔をする
リオンの胸に、剣を突き立てていた。
人間だったら致命傷だっただろう。
だが、精霊はそのくらいでは死なない。
それでも多少のダメージは与えたよう
だった。
「なかなかやるようだな、人間」
「そっちもな!!」
「「隙ありっ!!」」
ルークが膝をついたのを見計らって、リオンが
悔しそうに言う。
その隙を狙い、ビショップとカストルが連携
攻撃を仕掛けた。
カストルが蹴り技を見舞った後に、ビショップが
魔術で追撃する。
が、それは彼にとってあまり打撃にはならなかった。
それでも多少の痛みは感じたらしく、ぎろりと二人を
睨みつける。
「人間の小僧と小娘ふぜいが……なめるなああっ!!」
「「うわああああっ!!」」
「きゃああああっ!!」
リオンが力を解放して三人を吹き飛ばした。
岩に激突し、呻き声を上げる彼らに、精霊達が不安
そうな顔になる。
(三人とも、私は信じています。だから、
頑張って……!!)
彼らの勝利を確信しているのはアンジェだけ
だった。
認めた者達でさえ、人間が精霊に勝つのは無理なの
ではないか、
と思い始めてしまっている。それでも、その状況が
ルーク達を有利に動かせた。
「私も~ルークを認める~。精霊相手に~ここまで
やるのはすごいわ~」
海の精霊ポワソンがルークを認めたのである。
そのままルークの剣に入って行ってしまい、ちかっ、と
さらに青い石が剣に追加された。
「私もルークたちを助ける!!」
ヴェルソー、ベリエ、カプリコルヌ、全てのルーク
達を認めた者達が剣に、弓に、籠手に吸い込まれる
ように消えていった。
精霊の力を得て力を増したルーク達。
勝負はこれからである。
「覚悟しとけよ、リオン!! 俺達は絶対にお前を
倒す!!」
キッと睨みつけてそう言うルークに、リオンはさら
なる怒りをつのらせて襲い掛かった――。
次回で闇の精霊、リオンとの
戦いに決着が着きます。
しばらくルーク編が続きますが、
ちゃんとエレナ編も書く予定です。




