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スピリッツ! ~おちこぼれ勇者の大冒険~  作者: 時雨瑠奈
話し合う巫女
23/33

第二十二話 ~闇の精霊との戦い・前編~

 ルーク=ウレイアは、ビショップ=ルク

ウィッド、カストルとは離れた位置にある

巨石に腰かけていた。

 いろいろな事を知って頭がパンクしそう

だった。

 カストルもビショップもショックが大きい

らしく、口を利かずに座り込んでいる。

 アンジェもまた黙り込んで離れた所にいた。

とても帰るような気分ではなかったのだろう。

 と、キッとルークが顔を上げた。

決意に満ちた茶色の目が、その場を見渡す。

「俺、エレナを助けたい。お前らはどう

なんだ?」

 びくっ、とビショップ達は身をすくませた。

迷うように目が泳ぐ。それを一瞥し、ルークは

彼らを責めずに口を開いた。

「嫌なら帰ればいいよ。俺だけはエレナを

助ける」

「ルーク……。決意したのですね」

 アンジェが感動したようにルークを

見つめる。その目をしっかり見つめて

彼は頷いた。

 あの時、自分には無理だと卑屈な目を

した幼い少年はもうどこにもいなかった。

 いるのは、決意に満ちた瞳をした精霊の

勇者だけだった。

「何言ってるの、僕も行くよ!! エレナ

お姉ちゃんは、僕の姉なんだよ!?」

「あたしも行く!! エレナも、お姉ちゃん

も……精霊王だって救いたい……救えるなら、

だけど」

 二人の目にも迷いが消えた。

危険な目に遭うかもしれない。

 だが、それでも大事な人を助けたいと思う

気持ちの方が強かった。

「なあ、アンジェ。お願いがあるんだ」

「ええ。何でもおっしゃってください」

 アンジェが真剣な顔で尋ねた。

ルークもまた真剣な顔で語る。

 ビショップとカストルが、思わずごくりと

つばを飲み込んだ。

「精霊を貸してほしい。俺も、ビショップも

カストルも、まだ認められていない精霊がいる」

「構いませんが、どうするのですか?」

「戦う」

 アンジェが息を呑んだ。精霊と戦う。

それは、並大抵の気持ちでは出来ない物だった。

 命の危険だってある。

「精霊と戦う……?」

「俺達には時間がないんだ。エレナがいつ犠牲に

なるか分からない。だから、気まぐれな精霊が

認めるのなんて待っていられない」

「お願い、アンジェ!!」

「僕からもお願いするよ!! 精霊を貸して!!」

 アンジェはかなりの間黙っていた。

やがて、静かに口を開く。ルーク、カストル、

ビショップは不安そうにアンジェを見つめていた。

 アンジェの許可がなければ、精霊は動いてくれない。

「分かりました。精霊を貸しましょう。ですが、どんな

目に遭おうとも私は責任を取れません」

「そんなの自己責任だ。アンジェを責めたり

しないぜ!!」

 ルーク達の決意が揺るがないのを見て、アンジェは

手を高く上げて精霊を召喚した。

 まだルークを認めていない、バランス、ヴィエルジュ、

リオン、カンセール、トロー、ポワソン、スコルピオンが

現れた。

 その後ろには、ビショップ達を認めた精霊達もいる。

「けけけ、アンジェ様? おいらたちに何か用か?」

 その場を代表してリオンが口を利いた。

ルークを見るや、認めていない精霊全員が睨む

ように見る。

「あなたたちには、ここにいる三人と戦ってもらいます」

『はあ!?」

 精霊達は驚いたように三人を見た。

冗談でしょう、と言わんばかりにアンジェを見つめる。

 しかし、アンジェが首を振ると、小馬鹿にしたように

ルークをけなし始めた。

「こんな小僧に何が出来るとおっしゃるんですか、

アンジェ様。身の程を知らぬ小僧に道理を教えて

やらねばな」

 バランスの目がぎらりと輝く。と、いきなりバランスの

横に現れたカプルコルヌが土の塊を彼にぶつけ始めた。

 さっきまでベリエ達のそばにいたというのに、素早い

接近である。

 危うく白い髭とローブが土に塗れそうになり、バランスの

機嫌が悪くなった。土色の瞳を怒りで輝かせながら、

カプリコルヌはべぇと舌を出す。

「おい貴様~、あんまりルークを馬鹿にするんじゃ

ねえぜ~」

「生意気な!!」

 バランスが続いて放たれた攻撃を全てよけ、力の塊を

投げつけようとする。

 アンジェはキッとなると、二人の精霊の攻撃を止めた。

「やめなさい、二人とも。あなた方は両方悪いですよ。

特に、バランス。精霊の勇者はかなりの者が認めています。

それを馬鹿にするのは、わたくしも、その者達も侮辱した

のと同じですよ」

 バランスは悔しげな顔をしたが、ルークに謝る気は

毛頭ないらしく、ぷいっと子供のように顔をそむけて

しまった。

 ジェモー姉妹、ベリエ、サジテール、ヴェルソーも

彼の近くに移動し、睨むようにバランスを

見つめていた。

 トロー達も、バランスを擁護するように彼らを睨み、

ばちばちと火花のような物が散る。

 大人しいベリエでさえも、ルーク達の側に回って

火花を散らしていた。

「さあ、誰と戦いますか、ルーク?」

 ルークは吟味するように精霊達を見つめていた。

その様子が初期とは違う事に驚きながらも、精霊達は

ルークをまだ認める気がないらしい。

「リオンと戦う」

 闇の精霊はおかしそうに笑うと、ルークの方に

近づいて来た。

 ビショップ達の鋭い視線にも怯まず、口を開く。

「おい、精霊の勇者だからって威張るなよ」

「威張っているのは、そっちだろ」

 あくまでルークは冷静だった。

カッとなり、リオンが攻撃を放とうとする。

 と、そこにアンジェの叱責が飛んだ。

「リオン、まだ勝負を始めるとも言わないのに、

攻撃をしてはいけません。それは卑怯ですよ」

 チッとリオンが舌打ちして力をおさめた。

ルークの挑発するような声音に腹が立っていた。

 最初はあんなに不安そうな顔をしていた小僧が!!

 リオンはそう思っていたが、アンジェには逆らえ

ないので黙っていた。顔が怒りでひどく紅い。

「アンジェ様、早く開始を告げてくれ!! この小僧を

ボコボコにのしてやる!!」

「それはこっちのセリフだ、リオン!!」

 ルークもいきなりの攻撃に腹が立ったらしく、鋭く

リオンを睨みつけていた。

 それは、ビショップとカストルも同じ気持ちの

ようだ。

「僕たちだって負けないよ、ね、カストル?」

「もちろんよ、こんな奴に負けるもんか!!」

 全員のやる気を確認した後、アンジェは静かに

試合開始の合図を告げた――。

 エレナを絶対に助け出すと、

決意するルーク達。精霊達に

自分達の力を示すため、闇の

精霊リオンと戦う事になり!?

 ここから闇の精霊とのバトル

編が続きます。

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