第十五話 ~精霊の巫女の苦悩~
精霊の巫女、エレナ=ルクウィッドは、
今現在変な器具に寝そべっていた。
手足はしっかりと拘束されている。
窮屈以外の何者でもなかった。
だが、検査が終われば、帰る事も出来る
らしい。そうすれば、ルークにも会える!!
エレナは必死で我慢をしていた。
その間、男は装置をいじって何かしている。
「もうすぐだ……もうすぐ、会える……」
ぶつぶつとうわごとのように何か言っていた。
気味が悪いが、エレナは黙っているしかない。
口を開いたら、黙れと怒鳴られたからだ。
元々おしゃべりな方のエレナには辛い事だったが、
ルークやビショップの顔を思い浮かべ、なんとか
耐えるのだった――。
彼女が無口に耐えている、その時。
一人の少女が部屋の前に立っていた。
その顔は、決意を秘めている。
少女は人間ではないらしかった。
足はあるのだが、空中をふわふわと漂っている。
その目は嫌になりそうなくらい悲しい。
今にも泣き出しそうなのを、少女はこらえていた。
「止めなくては、あの人を……彼女を、助けなく
ては……」
ふらふらと少女は前に進む。だが――。
「きゃあああああああっ!!」
扉に張り巡らされた結界が、少女を拒んだ。
誰も入っていかないように張ってある物なので、そこ
まで威力はなかったが、少女は空中で座っているかの
ような態勢を取っていた。
悔しそうに扉を見やっている。
「何をやっているの?」
そこに通りががったのは、エレナが心配でその場をウロ
ウロしていたステラ=ワイズだった。
藍色の瞳が怪訝そうな色を浮かべる。
「助けて……」
「え?」
「どうか彼女を助けて!! あの人を、止めて!!」
「あの人って、あの方のこと?」
扉を指でさしながら聞くと、少女は頷いた。
姿がだんだん薄れていく。ステラはギョッとなった。
「今日は……ここまで……みたい、ね……。
たのみましたよ……」
そのまま少女の姿は消えていった。
次の瞬間、部屋から狂ったような笑い声が響いて来た。
黒衣の男が部屋から出て来る。
エレナがその後ろから足をふらつかせながら出てきた。
「適合した!! もうすぐだ!!」
「あの……エレナ……ちゃんは、どうなるのですか?」
男が振り向いた。氷の様な眼で睨まれ、ステラは
たじろぐ。まるで射るような瞳だった。
「お前が知る必要はない」
ステラはムッとなったが、彼の事を大切に思っている
ので黙っていた。倒れ掛かったエレナを受け止める。
エレナは目がうつろで、どこも見えていないよう
だった。
ステラは自分が検査をされた時の事を思い出し、嫌な
気持ちになる。
機械に縛り付けられて黙っているのもきつかったが、
甘い飲料水みたいな物を飲まされたあとがつらかった。
最初はふわふわと空中に浮いているかのような、とても
気持ちいい感じなのだが、少し時間が経つと気持ちが悪く
なるのだ。
たとえるのならば、熱を出した時の状態に近い
だろうか。
ステラはそのままエレナを抱き上げると、部屋に
戻した。
彼女はどうなってしまうのだろう。
そう思うとつらかった。でも、自分に出来る事など
ない。
ステラは黙って部屋を出ていくしかないの
だった――。
今回はエレナ編です。
エレナが検査に適合、して
しまいました。
あの幽霊みたいな少女の
正体は!? エレナは、どう
なってしまうのか!?
次回もよろしくお願いします。




