表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スピリッツ! ~おちこぼれ勇者の大冒険~  作者: 時雨瑠奈
成長していく勇者
12/33

第十一話 ~精霊の巫女の妹~

 ルーク=ウレイアは、ビショップ=

ルクウィッドとカストルと共に、森の中を

歩いていた。〝迷いの森〝とは別の森である。

 カストルは歌を歌いながら歩いていた。

綺麗な歌声である。まるで、澄み切った鈴の音の

ような。ルークとビショップは歌に聞き入りながら

歩いていた。

「カストルってさ、お姉ちゃんに少し似てない?」

 こっそりとビショップがそう聞いてきた。

確かに、カストルの性格はエレナにとてもよく

似ていた。容姿は似ていないけれど。

「そうかもな……」

「何こそこそやってんの、二人とも?

 あたしの悪口言ってるんじゃないよね?」

 ギロリと睨まれ、二人は震えあがった。

エレナに雰囲気がとてもよく似ている彼女に

二人は逆らう事が出来ない。

「「め、めっそーもございません!!」」

 思わず声がかぶるルークとビショップだった。

笑顔に戻ったカストルは、彼らにも歌うように

要請した。ビショップは苦も無く歌い出す。

 が、ルークは赤くなって黙りこんでいた。

「ルークは? ビショップは歌ったよ」

「……カンベンして。オレ、歌苦手……」

「ええ~。ルークの歌、聞きたいよ~!!」

 聞きたい聞きたいとカストルがせっつく。

ルークはそのたびに涙目で嫌だ、と喚いていたが、

あたしの言うことがきけないの?と脅され、仕方なく

歌った。

 なんとも調子っぱずれな、下手すぎる歌がその場に

流れた。しん、と森に静寂が訪れる。

 可愛らしい声で歌っていたビショップも、驚いた

ように口をあんぐり開けていた。

「だから、嫌だって言ったのに……」

 こっそりとルークは泣いたのだった――。



「魔物っ!!」

 カストルがそう叫んだ時、ビショップはいじける

ルークをなぐさめている最中だった。

 何もいないじゃん。そう思った時、五体もの魔物が

飛び出して来た。

「うわああああっ!!」

「げっ!! 魔物!?」

 ビショップは悲鳴を上げ、ルークも立ち直って銀色の

剣を構えた。カストルはもう攻撃をしている。

 女の子にしては重い拳が、飛び出してきた狼の魔物を

吹っ飛ばした。だが、魔物はすぐに戻ってきて、

カストルを体当たりで薙ぎ払った。

「きゃあっ!!」

「「カストルッ!!」

 魔物の鋭い牙が、カストルの細い首筋に突き立てられ

ようとしていた。

 別の魔物に邪魔をされ、ルーク達はその場に行く事が

出来ない。と――。

 虹色の光がそれぞれの武器、剣、弓、籠手から

放たれた。

 すると、そこに現れたのは、十三体の精霊達である。

「ルーク、アンジェさまを守ってくれてありがとう、

少しは見直しましたわ」

 水の精霊・ヴェルソーがにこりと笑い、剣に青色の

〝プリュネル〝が光った。

 ルークは驚いて目を見開いている。

「勘違いすんなよ、少し力を貸してやるだけだからな」

 双子の姉妹の妹の方も、素直じゃないセリフを言い

ながらも、ルークを認めたらしい。

 きらきらと緑色の宝石も輝いていた。

これで、ルークの剣の宝石は四つになった。

 ビショップは、ベリエ・サジテール・ポワソン・

ジェモー・ヴェルソー・カンセールと、六つのまま

変わらない。

 そして、カストルも同じ数だった。

彼女は、精霊に力を貸してもらって、その場を

しのいだ。

 狼が悲鳴を上げ、消滅する。

「カストルって、ひょっとして、精霊の巫女と関係が

あるのか!?」

 驚いたような顔でルークが言うと、カストルの可愛

らしい顔が曇った。

 飛び出してきた魔物を、小さな拳が吹き飛ばす。

「あたし、精霊の巫女の妹なの。お姉ちゃんは、もう

死んじゃった」

「ごめん……」

「謝らないで!! 余計に苛立つから!!」

 怒鳴られてルークは押し黙った。剣を一閃させ、魔物を

切り捨てる。

 ここの魔物は、精霊の力さえあれば特に苦労しない

ようだった。

「よーし、フィニーシュッ!!」

 最後のとどめをさしたのは、カストルだった。

さっきの顔が嘘のように、晴れた空のような顔に

なっている。

 ルークもビショップもいたたまれなくて、口を

閉じていた。

 そんな態度に苛立ったのか、カストルは気に

しないでね、と言い置いて姉の事を話し出した。

「お姉ちゃんはね、とってもやさしい人だったの。

精霊の巫女って、ほとんどが命令された人だったん

だけど、お姉ちゃんは違ったんだよ」

 チーズをたっぷりと塗った、あぶったパンを頬ぼり

ながら、カストルはあいまいな笑い方をした。

 同じ物を食べながら、ルーク達はそれに聞き入る。

「お姉ちゃんは、自分から生贄になったの。でも、生贄に

なったのに、村は破壊されちゃったんだって。それから、

うちの村では儀式はやってないみたい」

 カストルは語り終えた時、悔しそうな、憎らしそうな

顔になっていた。

 姉の死が、無駄にされたようで嫌だったのだろう。

ルーク達はしばらく口をきかなかった。

 やがて、カストルが焚火に砂をかけて消し始める。

ルーク達も慌てて手伝った。

「ごめんね、気を使わせちゃって。こんな話、迷惑

だったよね」

 二人は首を振った。これまでの事情を彼女に話し

始める。カストルは黙って聞いていた。

「がんばろうね、お姉ちゃんは助けられなかったけど、

ビショップのお姉さんは助けられる!! あたしも、

協力するからね」

 それぞれの事情を知った彼らは、もっと仲が良く

なったのだった――。

 今回はルークサイドのお話です。

カストルはエレナに多少似ている

(雰囲気が)という設定にした

ので、新入りなのに実権を握って

いる感じですね。

 ちなみにルークはオンチです。

二人は歌上手いですが。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ