3 能力
どうも!またここでグダグダやるのもアレなので、次はライラと言う新ヒロインが出ます!ツンデレっ子です!
3 能力
アメリカ、ニューヨーク
なぜ俺はこんなところにいる?
「今からワシントンに飛ぶから」
「飛ぶからって!?」
そう。この女の子。
エリスと同じ飛行機に乗ったのが運の尽き。
「ま、気楽にねっ」
「ねっ、じゃないだろぉ!?何で俺までいかなきゃいけないんだよ!?俺はここで別
れるぞ!」
「そう言われてもなぁ」
「なんだよ?」
俺はその時初めてエリスをちゃんと見た気がする。
髪の毛は綺麗な、真紅。
顔立ちはハリウッド女優にも劣らない。
俺より背が低いのに妙に大人っぽい。
いや、世界を知っている、みたいな雰囲気。
って、俺は何を考えているんだ?
「何よ、じっと見て?私の顔に何かついてる?」
しかも日本語がうまい。
「ついてるよ、パンが」
「えっ!?」
「嘘だ」
もぉーとか言って、顔を赤くさせている。
さっきの言葉は撤回。
子供だ。
「そういえば、お前何歳だ?」
「十六よ」
同い年かよっ!
「じゃあ、俺は行くぞ」
「そうね、行きましょうか」
「そうじゃねぇ!俺はお前とここで別れるって言ってんだよ!?」
「もぉ、わかったわよ、でも時間が少しあるからランチなんてどう?」
「んなもんいらぐぅ~」
腹の音が鳴ってしまった。
「決まりね」
「た食べたら、行くからな!」
くそぉ。
完全にこいつのペースだ。
俺とエリスはひとまず、レストランに入った。
俺は腹にハイレバなんでもよかったので、13番をくれ」
ロボットに注文番号をいう。
『かしこまりました』
「私は14番」
『かしこまりました』
「俺はトイレに行ってくる」
「逃げないでよ」
誰が逃げるか。
食い逃げになるだろ。
まだ食べてはないが。
「ふぅ」
だが、あいつらは一体なんなんだ。
なぜ俺を狙う。
なぜ、エリスはあいつらのことを知っている?
ま、この飯で全部聞き出してみるか。
「お、早いな、もう来ててるじゃねぇか」
「そうそう、早く食べないと覚めちゃうわよ」
エリスはもう食事を平らげていた。
どんな胃袋をしているんだ。
ま、とっとと食べてこいつから逃げるとするか。
「ん、んむんむ、、ん?なんか変な味が――って、エ、エリス!な、何か盛りやがった
たな」
「あら、まだ眠らないなんて、これいちよ異界師の人たちが作った薬なのに」
「くっ」
異界師―――
何を言って―――
くそぉ。もう、ダメだ――――――――
ここはなんだ。
なぜ俺はこんなところに。
そして、なぜか声が出ない。
体の下半身と腕があの紫の結晶に包まれて動けない。
暗い世界。
ここは。
『目覚めよ、七色に輝く若者よ』
「はっ!」
その一言で俺は眠りから目覚めった。
「こ、ここは―――」
「あ!やっと、起きた」
「エ、エリス」
何で俺はこんなところに。
記憶が曖昧だ。
「まあ、長い間寝てたからぼやける部分もあるだろう」
この、声どこかで聞いたこと―――
「あっ!飛行機の!」
「よくわかったわね、この人はジャック、あの時の無線の人よ」
「はじめまして、でいいのかな」
「は、はい、はじめまして」
って俺は何をしているんだ。
なんでここにいるかだろ。
俺はエリスに連れられ外に出る。
お、思い出してきたぞ。
確かランチになって、それでエリスに!
「エ、エリス!盛ったな!]
「な、何のことかしら?」
「とぼけるなよ!」
「ピーピーうるせぇな」
後ろから怒鳴ってきた。
その声の主は、右目に眼帯を付けた、俺と同い年くらいの男。
「何でそんな奴を連れてくるんだよ、そんな不抜けたツンツン頭の小便臭いガキをよ
ぉ」
な、何だこいつは。
失礼な奴だな。
しかも餓鬼って、同い年ぐらいだろ!
(俺はあまり怒らない主義だがここで引くのは男じゃない)
と、訳のわからない言い訳をして立ち向かった。
「勝手に連れてきたくせに何様のつもりだよ?俺は来たくて来たんじゃない、来たく
なくて、拉致られたんだ」
「世界を知らない餓鬼が、偉そうなこと言うんじゃねぇぞ?」
世界を知らないだと?
その世界を俺は知ってるからつぶしに来たんだ!
それを馬鹿にするようなこと言ってきやがって。
「弱い雑魚ほどよく吠えるって言うしな」
俺はにやっと笑ってやった。
「―――お前後悔すんなよ?」
なんだこいつ。戦るきか?
今の俺は誰にも負ける気がしない。
「後悔すんのはお前さ」
周りが騒ぎ出す。
戦れ戦れ!
と怒鳴る者もいれば、やめろと止める者もいる。
「まだ謝れば許してやるよ」
「誰が謝るか!」
周りももう戦いを見たいというモードに変わっている。
それより、俺の自信がすごいのでどんな戦いをするのか楽しみにしている。
「行くぞぉ!」
来た!
俺だって少々の格闘技は極めた。
この度の為に。
それに付け加えあの力!
来い!結晶!
・・・・
「何っ!うわっ!」
右の頬にパンチを撃たれたがなんとかわした。
なんてパンチしやがる。
かすっただけで血が出やがった。
「何だ?さっきの自信はどうした?」
そ、そうだ。
そんなことより、結晶が出ない。
――――や、やばい。
こいつ相当強そうだよぉ~~~。
周りもイケイケモードだし。
エリス!
っていない!?
いつの間に!?
「おらぁ!どうした!?次行くぞ!」
プロレスの三角飛び。
「ま、待て!話し―――」
六〇度の角度からの蹴りが俺の腹にめり込む。
「うっ!」
腹にめり込んだ。
「うっ、かはっ!」
「なんだよ、やっぱり雑魚か、なんでこんなやつ」
「く、くそっ!」
パンチをふるったがたやすくよけられた。
「はぁはぁ」
「さぁて、そろそろ終わりにするか」
もう、周りも俺が弱いと思い、見飽きている。
「死ねぇ!」
右上段のパンチ!
やけくそだ!
俺も同じ軌道のパンチで迎え撃つ。
「オラぁぁ!」
「当たれぇぇぇ」
「イッキ!ライズ!」
エリスの声!
その声が俺の心臓と反応する。
ドクンドクン!
周りがスローに見える。
こいつのパンチも。
行けるっ!
スローモーションが終わる。
だが俺はもうパンチを避ける体制に入っている。
「何っ!?」
「喰らえぇぇ!」
ライズは俺の動きが見えていない。
行けるっ!
「やめんかぁっ!」
ビクッ。
拳が止まる。
う、動けない。
まるで、巨大な龍に睨まれてる感じだ。
「チッ!次はぶっ飛ばす」
ライズは後ろに一歩下がった。
俺もその時なんとか動けるようになった。
周りは、なんだよ、とか、弱っ、とか言っている。
歓迎はされていないようだ。
「バカ者共が!」
うわっ!
迫力すごいな。
そういえば、誰?
「火神イッキ―――」
「は、はい」
神々しい声。
貫禄ある声に誰もが耳を傾ける。
「急ですまないが私の部屋に来てもらおう」
「え?」
「イッキ、こっちよ」
エリスがそっちに登る階段を指さす。
俺はとりあえず上に登った。
周りはざわついている。
「何であんな奴がガイアさんに呼ばれるんだ?」
「ガイアさん直々にお出ましなんて、あいつにそんな価値があるのか?」
うるさい。
それ以上も以下も思わない。
声がじゃない。
心臓がだ。
ドッドッド――――
なりやんだ。
結晶は出なかったが、力が湧いた。
何故だ――――――
――――連れて来られたのはどうやらこのガイアという人の部屋らしい。
「まずは私はガイア。この組織の頭をやっている、そしてこの娘が――」
エリスに目をやる。
「もう教えたわ」
エリスはニコット笑う。
「ほぉ、お前が自分から名乗るとはな」
「助けてもらったしね」
「それだけか?」
ガイアがにやっと笑ってエリスにいう。
「そっ、それだけよっ!」
顔を赤く染めて言う。
で、俺は無視か?
「あの~?」
「おお、すまんすまん、で、早速本題に入るが、君をこの組織に入れたい」
「嫌です」
「!」
「ちょっとイッキ!?あなたっ!」
「嫌なもんは嫌なんだ、いくらこの人がえらいからって俺に従う義理はない」
「イッキ―――」
「はっはっはっ!言うじゃねぇか、坊主!性格は親父とそっくりだ!」
なっ!
「父さんを知っているんですか!?」
そういうと、ガイアは意外なことを言ってきた。
「じゃあ、取り引きをしよう」
「取り引き?」
「ああ、取り引きだ」
話だけ聞いてみるか。
「話を聞かせてください」
「お前の力」
「!」
「知りたいか?」
「しってるんですか!?」
「知っているがここで取り引きだ、少しばかり頼まれごとを聞いてくれ」
「頼まれごと?」
「ああ、アメリカ軍のKSWに一人有能な仲間が捕まってしまった、それを助けてき
て欲しい」
「なっ!?」
危険だ!
いくらなんでも取引のネタに差がありすぎる。
「そんなの俺が仮に助けたとしてもその情報だけだろ!小さすぎる」
「分かっているさ、お前の力の出し方、そして、KSWを潰すのを手伝おう」
「あんたらもKSWを!?」
「ああ、ムーンストーンについても知っている」
あの石のことか!?
「もちろん、お前の父、火神ジョーのことも」
「!」
本当っぽいな。
「その仲間を助けたらKSWのことも石のことも俺の力のことも全部教えてくれるん
ですね?」
「ああ」
「約束ですよ」
「ああ、もちろんだ」
この人が嘘を言っているようには見えない。
乗ってみるか。
「3時間後に出発だ、仲間を5人用意しとく」
「3時間後!?それに5人ですか!?いくらなんでも」
「大勢で言っても目立つだけだ、時間は3時間あればいいだろ」
まあ、そう言うなら仕方がない。
「3時間後までに用意してここに来てくれ」
「分かりました」
「エリス、お前には話がある」
「は、はい」
「あの?」
「ん?」
今話しかけてきたのは、俺を部屋に案内しろと言われた女の子。
俺よりも2~3歳くらい年下に見える。
「さっきの戦い・・・・お怪我は?」
「あ、ああ、全然!平気だよ」
よかったと小さな声でホッとしている。
優しい子だな。
エリスとは大違いだ。
「お気になさらないでください、みなさんいい人なんです」
あ、ああ、あれね。
みんなで俺を弱いだのどうのとかのやつか。
「それも気にしてないから」
「でも、仕方ありませんよ、相手はプロ、あなたは素人なんですから」
素人?
戦いのことか。
やっぱり、弱いと思われてる。
まぁ、どう思われてもいいけどな。
「一つ聞いていいか?」
「は、はい、答えられることならば」
「その、この組織は何の組織なんだ?」
あのガイアという男に聞いても、中間を助けたら全部教えるとか言うし。
「その、それは、私からはなんとも――――」
だよなぁ。
「すみません」
「あ、ああ、気にしないでいい」
「は、はい、あ、ここです!」
ここか。
「ありがと、そういえば君は?」
「あ、は、はい、すみません!アクルと申します」
やっぱり、異国の人ばっかりだな。
「日本語はどこで?」
「はい、私たちの組織の人間はほぼ、日本の言葉をマスターしています」
「えっと、なんでかな?」
「日本はKSWと深いつながりがあるからです」
!
KSW!
やはり、この組織には何かある。
少なくとも俺が欲しい情報はあるだろう。
やはり聞き出すしかないな。
「じゃあ、俺は救助の為に少し休むよ、送ってくれてありがとう」
「い、いえ、ごゆっくり」
まずは、その仲間を助けなきゃ話にならないな。
でも、なぜ捕まっているのか。
そこに、
「コンコン」
「は、はい?」
誰かが来たらしい。
そして、ドアを開ける。
「エリス、どうした?」
「その・・話があるわ」
何の話だ。
「とりあえず、中に入れて」
「あ、ああ」
俺はひとまずエリスを部屋に入れた。
エリスはなかにあった椅子に座り、俺を見る。
「で、話って?」
「あなた、これを知っている?」
見せてきたのはオルゴール。
「これって―――」
「そう、あの時の、飛行機で私が落としたオルゴールよ」
「知ってるって、オルゴールだろ?」
「そうじゃないわ、これの音色をよ」
音色。
そういえば、懐かしい音ですごく心に響いたような。
「知っている」
思わず口に出てしまった。
「あなた、生まれは?」
愛らしい顔を間近に近づけたので、言うつもりは無かったが、照れ隠しに喋ってし
まった。
「う、生まれは日本だが、7歳の頃に一年間イギリスにいた、そのあと日本に帰って
それっきりだ」
「!」
エリスの大きな目が少し見開いた。
「ど、どうした?」
「ごめんなさい、何か思い出しそうなの」
エリスが頭を抱える。
「――――パーティー――――」
「パーティー?」
「だ、だめ、やっぱり思い出せない!」
「お、おい、落ち着けよ!とにかく、その話は今度だ、お前今ちょっと冷静さを失っ
ている、それに知ってるといったが、今のは勝手に口から出たというか――」
エリスはこくりと頷いた。
「まあ、このオルゴールを知らないならいいわ、ガイアに言われたのよ」
ああ、あの人か。
「あ!それと私も任務に行くメンバーになったわよ!」
任務?
「仲間を助けるってやつのことか?」
「そうよ!」
「なんでだよっ!」
こいつといるとろくなことがない。
できれば一緒に行きたくないけど・・・・・・
「ガイアに言われたのよ、あいつにはお前が必要だって」
やっぱりな。
何を考えているんだ。
あの人は。
「何でお前なんだ?」
「さあ?それは私にもわからないわ」
「邪魔だけはするなよ」
「誰に物言ってるのよ?あなたより、場数は踏んでるつもりよ」
「その割には弱かったじゃないか」
キッ、と鬼のような目で睨んできた。
「あ、あの時はたまたまよ!パイロットを二人仕留めたつもりだったけど、一人、急所を外しただけなの!」
「なあ、それを日本語でなんて言うか、知ってるか?」
「?」
エリスが首をかしげる。
「負け犬の遠吠え」
「な、ななな、何ですって!私の銃の腕を舐めないで!この任務で見せてあげるわ!」
こいつ、からかうと意外に面白いな。
大人っぽい雰囲気だったけど、やっぱり同い年だな。
子供だ。
その怒った顔はすごく真っ赤で―――――
赤―――――
赤い髪―――――
俺、こいつと昔――――
「コンコン!」
「あ、はいはい」
「ちょっと、負け犬って!」
「ま、待て今は!」
エリスが俺に殴りかかってくる。
「うわっ!」
「キャッ!」
ドシンッ!
ガチャ。
「あの、お時間を早めるということで急ですがもう――――!?」
部屋を案内してくれた子だった。
最悪なことに、エリスを俺が襲っているという状況だけを目撃してしまった。
俺がエリスの上にまたがりエリスの両腕を掴んでいる。
これは殴ろうとしてきたので手を掴んだら、前にエリスが突っ込んできたので、押
し倒してしまったという感じだ。
「す、すみません!私っ!」
「あ、アクル!違うのよ!これは」
「い、いえ、そんなお気になさらず!でもお時間が少ししかないので」
「だから違うのよ!」
必死に弁解している。
「必死だな」
「イッキも、何か言いなさい」
はいはい。
「違うんだ、これはこれから戦いに行くから修行をしてたんだ」
「そ、そんな言い訳!――――」
「そ、そうだったんですか!」
「え?えと、えと、そ、そう!そうなのよ!」
なぜかアクルはこの言い訳で聞いてくれたようだ。
素直な子だ。
「あ、それより!ガイアさんがもう部屋にくるようにと、準備はできましたか?」
「まあ、準備って言われても、準備するものないしな」
「私もオッケーよ」
「では、こちらに」
俺とエリスは明くるに案内されて、さっきのガイアの部屋に行った。
「連れてまいりました」
「ご苦労」
そこにはガイアとほかに三人いる。
その中の一人にさっきのライズという男もいた。
「作戦はこの5人で行く、ライラ救出作戦だ、次の大きな作戦に彼女は必要だ、頼ん
だぞ」
「「「「はい!」」」」
「は、はい」
エリスとほかの三人はしっかり返事をする。
俺はちょっと遅れてした。
それにしてもあの凶暴なライズという男までもがしっかり言う事を聞いた。
このガイアという男はすごいな。
「約束は守ってもらいます」
「もちろんだ」
「イッキ」
小さな声でエリスが俺に言ってくる。
「何だ?」
「あの力のことは誰にも行っちゃいけないって、ガイアに言われたわ」
「お前があの男に俺の力を教えたのか?」
「いいえ、もともと知ってたわ」
やはり得体のしれない男だ。
「今回のミッションの要はイッキとエリス、お前ら二人だ」
俺か!?
俺、役に立たないけど。
力の出し方わからないし。
「ライズ、エル、ザックス、お前らは大きな騒動を起こしてくれ」
「劣りですね」
ライズが言う。
「スマンな」
「いえ・・・・」
俺を睨む。
なぜ睨む。
「その間にイッキとエリスでライラを救出して欲しい」
そのライラとはどんなにすごいやつなのか。
これだけこだわるんだ。
よっぽどすごいのだろう。
「聞いていなかったがどこに捕まっているんだ?」
「ああ、ブラッド・タワーだ」
はぁ!?
ブラッド・タワーとは、アメリカの軍の聖地である。
そんなところに。
無理だ!
侵入すらできない。
「どうやって潜入するんだ!」
「お、スマンがもう、出発だ」
え?
なぜかみんなリュックを背負った。
「失礼します」
アクルが俺にリュックを背負わせた。
「では幸運を祈る」
瞬間、床がいきなり無くなった。
無くなった?
「う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
お、落ちてる!
そ、そうか、さっきのは飛行機だったんだ!
もしかして、下ブラッド・タワーじゃないか!?
もしかして、はるか上から潜入って!
その前に死ぬ!
「イッキ!右手の紐を引っ張って」
エリスが俺の横につく。
ライズとその他二人はすこし、遠い方にいる。
もう、この場で二手に別れるのかよ。
とにかく俺は紐を引っ張った。
すると、背中のリュックから、炎が吹き出した!
「こ、これって!」
「そうよ!バーンロケット」
こんなの使ったことがない。
「うまく操縦して、私についてきて」
エリスは急に急降下した。
「ま、まじかよ!」
「早く来て!」
またそれかよ。
「くそっぉ!死んだら殺すからな!」
俺もエリスに続く。
すると、
ドガァァァァン!
西側で大きな爆発が起きた。
これってまさか、
「ライズたちね」
おいおい、俺本当にこいつらといていいのか?
「ジョーさん、あなたの息子はここまできましたよ」
ガイアは、写真に話しかけている。
「その方は?」
明くるが聞く。
「ああ、この人は、俺の上司・・・・だな」
その写真に写っているのは、火神ジョー、イッキの父であった。
「爆発のおかげで、簡単に入れたわね」
「わね、じゃねぇよ!ちょっとは、説明しとけよ!」
エリスは、ごめんごめんとか言いながら、前に進む。
その後ろに俺もついていく。
「で、どこにいるんだよ」
「地図があるわ、いるのはここよ」
結構奥のほうだな。
しかも捕まっている場所は監視室のまん前。
これはきついぞ。
俺とエリスの一からそこまで行くのに走って八分。
だが、堂々と行ったら、間違いなく捕まるな。
「エリス、これからどうするつもりだ」
「そうねぇ」
エリスが考え込むと誰かの声が聞こえてきた。
「爆発だってよ」
「俺たちも行くか?」
「でも、見張りだしなぁ」
とかいう声。
その声を聞くと、エリスが。
「いいこと考えた!」
「いいこと?」
その声でその二人の見張りにバレてしまった。
「誰だ!」
「出てこい!」
俺は小さな声で、
「お、おい、エリス、見つかったぞ」
「そうね、じゃあ、はじめますか」
その瞬間エリスが飛び出した。
エリスは二人に猛突進する。
馬鹿なのか!?
「止まれ!」
男が銃を構える。
あれは、アクアレーザー!
高圧の水で鉄でも切れる水を出す。
やばくねぇか!?
「止まれエリス!」
「もう一人いたのか!」
デュン!
アクアレーザーが飛んでくる。
くそ!
俺はまた壁の影に隠れた。
出ることができない。
エリスがやられるぞ。
「止まれ!打つぞ!」
それでもエリスは止まらない。
「くそっ!撃てっ!」
なっ!
二人同時に撃った。
「腕がなってないわね」
エリスが小声でそう言った。
瞬間、拳銃を懐から一丁取り出し、二発放った。
拳銃を出してから、打つまでにおよそ0,3秒。
なんて早さだ。
その銃弾は鉄をも着るアクアレーザーを、うまい角度から放ちぶつかり、消した。
その銃弾はあいてのレーザーを消しただけではなく、相手の銃に飛んでいく。
それも神業。
その銃弾は相手の銃口に入ったのだ。
今のを一人にじゃない。
二人にやってのけた。
「ぐあっ!」
「あぁぁ!」
男二人は悲鳴を上げる。
その瞬間俺も飛び出る。
男たちはしゃがみこんでいる。
チャンス!
「はっ!」
相手の急所に一発ずつ。
「ぐほあぁ」
「あが、あぁ」
二人は気を失った。
「言ったででしょ、私の銃の腕ナメるなって」
「ああ、確かにこれは神業だ」
「あなたも、何かやっていたの、今の格闘技には見えなかったけど――――」
「一様我流だ、まぁ、空手的要素もあるがな」
「よしっ、じゃあ服を脱がして」
「は?何故だ?」
「変装するからよ」
「いいことってまさか!?」
エリスがにこっと笑う。
こいつ正気か。
異界師ってのは、こんな化け物ばっかだな。
そう、これが異界師。
異なる世界を駆ける者。世界の渦を巻き起こす者である。
ジルク。
それは戦闘型ロボット。
それを使うのはとても難しく、何年も練習を積み重ねなければ戦いはできない。
それほど高度な戦闘ロボット。
ごく一部の人間しか使いこなせないであろう。
それをいともたやすく動かす。
ジルクの天才がいた。
「そういえば、助ける仲間ってどんなやつなんだ?」
俺は早々と着替えながら、壁越しに着替えるエリスに話しかける。
「そうね、言っておくわ、もし私がいなくてその子と会ってもわからないだろうし」
だろうな。
「名前はライラ」
女か。
「ライラは年は私たちと同じ、髪の毛は金髪でツインテールよ、目は碧眼」
エリスも碧眼だけどな。
「なぜ捕まったんだ?」
「ライラの力が欲しかったんでしょうね、でもあの娘気が強いから、逆らって捕まっ
たらしいわ」
そうか、馬鹿なのか。
ひとまずいうことを聞いていればいいものを。
「ジルク・・・知ってる?」
「ああ、世界初の戦闘ロボット、ガ○ンダムみたいなやつだろ?」
「そうよ、でもジルクを動かすのはとても困難、私たちの組織の人でも操縦できる人
はいるけどせめて歩くぐらい、戦闘はできないわ」
「ああ、話ぐらいは聞いてるな」
「ライラは私たち異界師の中で唯一ジルクを動かせる、それもとてもすごい技術を持
っているわ、あれこそ天才ね」
天才か。
そう言われてもピンとこない。
ジルク自体は見たことはあるが、実際に戦闘してるとこは見たことない。
確か全長3メートルくらいで、体の中に武器をしまっているらしい。
それを戦闘で動かせるのは世界の10分の1程度だと言う。
それの天才。
ジルクがもし飛べたら乗って逃げれるが、飛行能力がない。
だが、ライラの力が欲しいと言うならばライラを1度はジルクに乗せるだろう。
その時に、逃げればいいのにな。走ってだが。
戦いの天才でもこういう頭は回らないのか。
それとも、乗れない状況にあるってか。
どんなやつなんだ?
「着替え終わったわ」
「俺もだ」
エリスが出て来る。
「とりあえず、さっきの見張りの配置に戻りましょう」
「ああ、そのすぐ近くだろ?捕まってるってのは」
「ええ、遅くなると疑われるわ、急ぎましょ」
「ああ」
俺とエリスは上にマスクをかぶり、二人の見張りの位置。
監視室の扉の前に行った。
監視室の向かいにも扉はあった、ここか。
「お前ら、何をしていた?」
監視室から一人の男が出てくる。
「いえ、爆発の様子を見に」
「もう、この場を離れるな、爆発を起こしたのはたったの二人らしい、すぐに排除す
るだろう」
「はい」
エリスすごいな。
声は男になってるし、さっきの男の口調を真似ている。
「よし、では配置につけ」
「あの、ここのカギはどこにあるのでしょうか?」
「なぜそんなことを聞く」
「いえ、もしも襲撃犯が逃げ延びていたら、ここを狙うでしょうから」
「そんなことはないと思うが、まあいい、鍵は監視室のなかにある」
その時、
「開始」
エリスがつぶやく。
瞬間すべての照明が落ちた。
「な、何事だ!がァっ!」
エリスが目の前の男を気絶させる。
ていうか、何も見えん。
「イッキ、鍵を持ってきたわ」
「早すぎるだろ!」
「今開けるわ」
「監視室の奴らは?」
「睡眠ガスで眠らせたわ」
ガチャ。
鍵が空いた。
今時の鍵は、網膜認証が多数をしめるがここは、普通の鍵。
ある意味こっちのほうが、安全なのだろう。
すごいハッカーたちは網膜認証だとハッキングして開けてしまうことができるから
な。
だから、普通の鍵か。
「イッキ!あなたはライラを、私はここで見張りをしているわ、時間は5分、そうし
たらあかりも全部ついてしまいセキュリティも発動されるは」
「わ、分かった!」
俺は走って中に入った。
中は真っ暗で何も見えない。
その中で俺は、目が慣れてきたらしい。
ぼんやりと見えてきた。
すると、少し先に。
いた!
足と腕に手錠がかけられている。
ただそれだけだ。
まあ、電気があればここに踏み入ったらセキュリティが発動するのだろう。
踏み入れたら、レーザーが出るとかな。
ま、電気の元を断ってしまえば、こんなもんだ。
「今がチャンスって訳か!」
「誰!?」
ライラがこっちを見る。
その娘はとても愛らしく、年齢よりは少し幼く見える。
禁断の果実、と言っても――――
「助けに来た」
「誰よ?あなたななんか知らないわよ、近寄らないで」
よくないな。
何が禁断の果実だ!
この生意気女が。
「異界師の人も来ている、今は急ぐぞ」
俺はいそいでその手錠は小型のアクアレーザーで切る。
「何で異界師を知っているのよ!」
「いいから、行くぞ!」
「指図しないで!」
「わかったから行くぞ」
引き返すと、ライラがついてこない。
「お、おい、意地張ってないで早く――――」
足は真っ赤に腫れ上がり、歩ける状況ではない。
走るなんてもってのほかだ、
「うるさいわね!私はあんたみたいな得体のしれない、ってキャっ!何するのっよ!」
俺は肩にライラを担ぎ上げた。
「ちょっと!何すんのよ!下ろしなさい!」
ライラは足をバタバタさせる。
だが、無視無視。
俺は走って、エリスのところに戻った。
その間ライラはずっと叫び続けてた。
エリスのところに戻ると、
「ライラ!」
「あ、エリス!」
おお、感動の再会か?
と、思いきや、
「何であんたが助けにくるのよぉ?」
「それはこっちのセリフ!私はこいつの面倒見やくよぉ?」
どこの不良だよ!?
いきなり喧嘩が始まった。
「お、おい、急がないと、時間が」
パチパチ―――――
照明がすべてついてしまった。
「や、やばい!急ぐわよ!」
「お前らが喧嘩してるからだろ!?」
「「うるさい!」」
ハモった。
それだけでまたハモるなよ!とか喧嘩が始まった。
時間がないのに!
「お前らぁ!そいつを返せ!」
その時、監視員がたくさん来てしまった。
「やっべぇ!エリス急げ!」
「何でハモるのよ?あ?パクってんじゃないわよ」
「こっちのセリフよ?」
まだ喧嘩してる。
クソ!
やっぱりこいつといると運が悪い!
とにかく逃げないと。
俺はエリスとライラを担ぎ上げ逃げる。
「ちょ、ちょっと、あんたまた!」
「イ、イッキ!?下ろしなさいよ!」
「後ろ見ろ!」
ライラとエリスが見ると、
「えぇ!?何あれ!?」
気づいてなかったのかよ!?
俺は急いで、屋上へ行く階段に登る。
屋上で拾ってくれるとのことだ。
とは言っても、
「エリス、降りてくれねぇか?さすがに階段は―――」
「そうよ、降りなさいよ!」
ライラが余計なことを言う。
「だ、誰が降りるもんですか!」
変なところで意地を張るんじゃない。
後ろからは、追いかけてくるものの、下っ端らしくレールガン等は持っていないの
が幸いだ。
持っていたら確実に撃たれている。
っと、あれか!
いそいで屋上に入ると、
「急げっ!」
「あ、ああ!」
ヘリにさっき襲撃をかけた3人が乗っていた。
「エリス!こいつを担いで、先に乗れ!」
「え、ええ!」
ライラは寝てしまっている。
安心したのか。
その時!
ドドドドん!
「なっ!?」
まさかっ!?
ジルクが隣の屋上にいる。
そこから、狙って来た。
その衝撃でヘリは浮上。
俺が屋上に一人で残る形になった。
「イ、イッキ!?」
「ダメだ!今外に出たら!」
仲間がエリスを止める。
ヘリはどんどん浮上。
その時ジルクがこっちに飛んできた。
なんて、ジャンプ力だ。
「ジンさんだ!ジンさんが来てくれたぞ!」
敵が騒ぎ始める。
ジン。
ジンってまさか、あの英雄、ジン!
こいつは1年前にジルクでテロ組織を潰した、その本人。
こいつもジルくの天才と言われているんだぞ!
その時、
「貴様ら、その娘を返すんだ」
ジルクから声がする。
どうする!?
考えろ!
あの時は、なぜ結晶が出た。
そして、なぜライズの時は出なかった。
あの時の状況とちがったこと。
それは。
「!」
そうだ!
「エリス!」
エリスが上から見下ろす。
「オルゴールだ!」
「オルゴール!?」
「いいから、鳴らせ!」
「わ、わかったわ」
エリスがオルゴールを出す。
いつも持ち運んでるらしい。
「何だ、あいつ、最後にオルゴールでも聞いて、安らかに死にたいってか」
ライズが、言う。
「ライズ、そういうことを言うな!」
もう一人の仲間ザックスが言う。
箱を開けるとオルゴールが鳴り響く。
とても、心地のいい、心を燃え上がらせるような、そんな――
心臓が疼き出す。
来た!この感じだ!
その時、ジンが銃でヘリを狙う。
「死なないわ」
「あ?」
エリスは信じていた。
「イッキは死なない!」
エリスが叫んだ!
「死ねぇ!」
ジンが銃を放つ。
ドクンドクン!
来い!
その時、
キンッ!
出た!
エリスの叫びと同時に水晶が現れた。
俺の両腕から水晶があらわれる。
だが、今回は色が違う!
赤い!
銃弾がヘリに接近する。
「うおォォォォォォォォ!」
俺は銃弾に向かって腕を突き出す。
なぜかこの力の扱い方がわかる。
手に取るように!
(念じろ)
声が聞こえる。
念じる。
そう言われると、何もかもが頭によぎった。
「ハァァァァァァァァァァァァ!」
その瞬真っ赤な紅蓮に輝く炎が腕から放射する。
その炎はとても巨大で一瞬で銃弾を燃やし尽くした。
「何っ!?」
それと同時にジンも炎で包み込む。
「く、くそぉ!貴様!」
(覚醒)
何だ。
また声が聞こえた。
まあいい!
「覚えとけ!火神イッキ!俺が世界を変える男だ!」
「グアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア」
ジルクからものすごい声が聞こえる。
ジルクを一瞬でもやし尽くした。
周りの敵もそれに恐怖して、逃げていく。
って、あれ?
力が出ない。
心臓の音は鳴り止んだ。
そして、赤い水晶は俺の腕に戻った。
すると、全身に力が入らない。
ヘリが近づいてくる。
そして、俺の背を誰かが掴む。
ライズだった。
「なかなかやるじゃねぇか!餓鬼が!」
そう言って俺をヘリに放り投げた。
「イッキ!」
「エリス」
感覚が戻ってきた。
すこし動ける。
「すごいじゃないか!何だあの力は!?」
エルだっけ?その人が聞いてくる。
「いや、俺にもまだ、よくはわからないんです」
そう、それを今からガイアに聞きに行く。
「でも、オルゴールとエリスの声がなんか関係あるようなんですよ」
「わ、私!?」
「ああ」
「お、見えたぞ!船だ!」
ザックスがいうと前には大きな飛行機が飛んでいる。
そこにヘリが着陸する。
はあ、やっと戻ってきた。
「よく帰ってきたな」
そこにはガイアが立っていた。
「約束は守ってもらう」
「ああ、もちろんだ、ついてこい」
そう言って俺はガイアについ行く。
「なんの約束かしら?」
エリスがつぶやく。
「何から聞きたい?」
ガイアの部屋。
半日ぶりくらいか。
「まずは俺の力のこと」
「そうだな」
「俺が思うにオルゴールと・・・・・エリスに関係があるんじゃないですか??」
「!?よくわかったな」
「さっきも力を使ったので、これで2回目ですから、さすがにわかります」
ガイアは黙って目を閉じた。
「イッキ、昨日エリスにオルゴールのことを聞かれなかったか?」
「聞かれました、でも俺は覚えていませんでした、でも音色は知っていました」
「・・・・・そうか」
ガイアは今度は目をあけた。
「お前の力は、ドラゴンクロウだ」
「・・・・・よくわからないんですが」
いきなり意味不明な単語を発したので俺は戸惑ってしまった。
「お前の父が付けた名だ」
「!」
「2回力を使ったといったな、どんな力だった」
「最初は黒い水晶が出てもの凄い力が湧きました、今日は赤い水晶が出て炎の
力でした」
「お前の力は、ドラゴンの如くだ」
「ドラゴン?」
「黒龍の力、赤龍の息吹、、お前の父が行っていた、ドラゴンクロウには5つの力があ
ると」
俺は黙って話を聞く。
「その力の出し方は、あのオルゴールとエリスだ」
「なぜ、オルゴールとエリスで水晶が突き出るんですか?」
「ああ、言っておくがそれは水晶ではなくムーンストーンという石、知っているか?」
「はい」
あの時の石だ。
父さんに飲ませたあの。
「オルゴールはお前のなかに眠るムーンストーンを呼び出す鍵、そして、エリスの声
によってその鍵は完成される」
「なぜです?」
「それはスマンが私にもわからない」
力のことは分かった。
「父のことは?」
「・・・・・昔の話になる、私はジョーさん、お前の父の部下であった」
「!」
「だから、私はジョーさんを知っている、もちろんお前のこともだ」
そうか、だから。
「お前の力、ムーンストーンを埋めたのはジョーさんだ」
「!?」
ガイアはそっと俺の目を見る。
そう、ちょうど10年前。
KSWトップ。
北条秀樹。
その妻レイン・ルドランズ。
その娘。
―――――――――
エリス・ルドランズ。
エリスとイッキがまだ5歳の頃。
エリスの誕生日パーティーに来ていた。
場所は小さな研究所。
この時にはまだKSWはまだ無かった。
北条秀樹と火神ジョーは同じ会社を設立した親友同士であった。
まだ、その時はとても小さな会社である。
だから、そんな盛大なパーティーはできなかった。
「紹介するよ、息子のイッキだ」
イッキはペコッと頭を下げる。
「今日は来てくれてありがとうな、イッキ君私はイッキ君の父さんの親友の北条秀樹
、そして、娘のエリス、ほらエリス挨拶は?」
「はじめまして、エリス・ルドランズです、今日は誕生日パーティーに来てくれてあ
りがとう」
礼儀よく挨拶するエリス。
そう、ここで二人は出会っていたのだ。
そこで、他の客人がイッキの父とエリスの父に挨拶をしに来た。
イッキがそれを眺めていると、
クイクイと袖を引っ張られた。
「えっと、何?」
「私は今日5歳になったの、あなたは?」
「俺も5歳だよ」
イッキはニコッと笑う。
エリスはその笑顔を見て少し赤くなった。
「どうしたの?顔が赤いよ?」
「な、なんでもないよ、それより私もここに来たのは初めてなの、ねぇ、探検して見
ない?」
エリスが微笑みかける。
イッキは正直面倒なので行きたくなかったが、その笑顔があまりにも愛くるしいの
で、
「い、いいよ」
と、言ってしまった。
「じゃあ、いこっ!」
エリスは俺の腕を引っ張って、かけていく。
最初は、図書館のような場所や、キッチン、いろいろな場所に行った。
そして、エリスとイッキはひとつの部屋に入った。
そう、それがすべての始まり。
その向かいの部屋で研究をしていた男がいた。
それがガイアであった。
「わぁぁ、なんだろ?これ?」
「あ、あんまし触っちゃダメだよ?」
カプセルにい入っている綺麗な紫色の石。
それをエリスが興味津々に見る。
イッキはあまりそういう綺麗なものとか、お寺を見たり山を見たりとかそういう
のは余りすぎではないのでその気持ちがわからなかった。
エリスがそのカプセルを持ち上げた時、
ガシャァん!
カプセルが割れてしまった。
「わわ、どうしよう!?」
イッキはやると思ったと思いながらもそれを片付ける。
子供の頃から子供っぽくない性格ではあった。
その音に気がついたガイアが見に行こうと扉を開けると、
「ガイア、子供二人を見なかったか?」
「い、いえ、見てませんよ、ジョーさん、それより向かいの部屋で大きな音がしたん
ですが」
「何!?まさか!?」
イッキはその石をとにかく元の場所に置いておこうと持ち上げると、
ドクン!
何か、心臓が妙だ。
「な、なんだろ、心臓が」
「どうしたの?」
ドクン!
エリスが心配そうに見る。
「うっ!」
イッキがしゃがみこむ。
「イ、イッキ君!?」
エリスが近づくと、
「グァァァァァァァ」
ビキビキビキ!
イッキの体から水晶が突き出た。
「イッキ!?」
そこにジョーとガイアが入って来る。
「まさか、ムーンストーンに触ったのか!くそぉ!ガイア!あれをもってこい!」
「は、はい!」
「う、うぅ」
イッキはもう右半分は水晶で埋もれえいる。
「イッキ、気をしっかり持つんだ!」
「ジョーさん!持ってきました」
持ってきたのはオルゴール。
「しっかり聞けイッキ!これはその石を沈める音波を出せるオルゴールだ!」
そして、ジョーが音をかける。
「グアァァァァァァァァァァ!」
それ以上に苦しみ出してしまった。
「くそぉ!ダメか!まだ、完成していないからか!頼む!イッキ!」
「イッキ君、死なないでよぉ、イッキ君、イッキ君!!」
エリスが叫ぶ。
その瞬間にオルゴールの音色が少し変わった。
エリスの声とオルゴールが反応する。
瞬間!
ググググググ、ギュイン!
水晶がイッキの右腕に引き込まれていった。
そして、すべてイッキの体の中に入った。
「イ、イッキ!」
ジョーが急いで確かめると。
「ジョーさん!?」
「だ、大丈夫だ、息はしている」
エリスもそれを聞いて少しほっとする。
涙はまだ流している。
「ジョーさん、今のは?」
「ああ、このオルゴールはきっと未完成、だがこれ以上のものは作れない」
「まさかとは、思いますがこの娘の声によって・・・」
「そうだろう」
「そんなことがあるんですか!?」
「現に今そこであった、間違いない」
ジョーとガイアがエリスを見る。
エリスはイッキの頭をなでなでしている。
「エリスちゃん、このオルゴール、君が持っていてくれないか?」
「どうして?」
「君はイッキが好きかい?」
「えっ!?えと、その・・・・」
エリスはイッキをちらっと見る。
イッキは気絶している。
「う、うん」
「そうか、ならこのオルゴールはイッキを守るための道具だ、一生持っていてくれ」
「ジョーさん!それは危険です!」
「いや、俺が持っているほうが危険だろう、多分俺はもう・・・・」
「ガイアさん」
エリスはそのオルゴールを受け取る。
「分かった!一生大事にする!」
エリスはそのオルゴールを抱きかかえる。
そう、これがイッキの能力の始まり。
どうも!次はイッキの過去、力の秘密デス!
次回もよろしく!