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FILE38 決着と光明

かなり放置してすみませんでした。演習等で忙しく、なかなか手が付けれませんでした。今後も暇を見ては執筆していきますので、ヨロシクお願いしますm(__)m

通信を切った後、川田は後ろを向いた。

背後には両膝を撃ち抜かれて悶絶してるであろう科学者がいた。

はずだった…


そこにあったのは毒々しい鮮血が血溜まりを作っていただけで、科学者自体の姿は煙のように消えていた。


「あいつは?…」


川田は辺りを見回すがどこにも姿は確認できない。


「クソ、逃げたのか。でもあいつ膝を撃たれてるからまともに歩けないはずだぞ。」


その時、川田はいきなり衝撃を受けて吹き飛んだ。

派手に辺りの物を巻き添えにしていかにも研究室にありそうなビーカーやフラスコが壊れた。


「つぅ…なんだってんだよ…」


言い終わるやいなや、再度川田が派手に飛ばされる。

うつ伏せになって倒れた川田が痛みに顔を歪めた。


衝撃の答えはサイコキネシスのような超能力でもなんでもなかった。

ただ天井にヤツがいた。


「お前…」


天井にいた者を見た川田は驚愕する。

先程まで床でのたうち回ってた科学者だった者が天井に張りついていた。


科学者は白濁した目に、異常に突き出た乱杭歯、手足が昆虫よろしく伸び、撃たれたはずの膝や肩からは赤ではなく、これもまた昆虫のような深緑の体液が流れていた。

「化け物が…」


川田がM37エアウェイトを構えた。


「化け物とは失礼だな。むしろ進化したと言ってくれよ。」


ヤツは、科学者は言葉を発した。


「こうゆう時のために昆虫の細胞と急速進化を促す細胞を混合して培養してたんだよ。」


「んな馬鹿な…映画でもゲームでもあるまいしこんな事が…」


「ありえちゃうんだよねぇ!簡単に言えば強壮剤みたいなもんだよ。」


人間の時と変わらず話すこの男に川田は発砲を躊躇した。

それが故に隙が生まれた。


「ウイルスとかそんな短絡的に考えないでくれよ!」

言いながら科学者、いや、科学者だった化け物は異常に長い手を川田に振った。


回避する間もなく川田は吹き飛ばされ転がる。


「クソが!」


川田がリボルバーを発砲したが、でかい図体に似合わず機敏な動きで38スペシャル弾を回避する。

たちまち五発のリボルバーは弾切れを起こす。


川田は舌打ちをしながら即座にベネリM3ショットガンを構え発砲。

轟音が響く中、一発だけ足を散弾が擦った。深緑の体液を撒き散らしながら天井から落下する。

その姿形はさながらコオロギを彷彿とさせた。


「コオロギ男が!」


川田はスライドを引いて次弾を装填する。

続けざまに散弾をコオロギ男の上半身にたたき込んだ。

上半身から霧のように血液を撒き散らし、虫がするように手足でバタバタと藻掻き、金切り声の絶叫を上げる。


直ぐ様川田はスライドを再度引いて散弾を装填し発砲。

カチッと音がして弾切れになった事を知らせた。


しかし、そのまま川田はベネリM3の持ち方を変えると猛然とコオロギ男に向かっていった。


ショットガンのストックで何度もコオロギ男を殴り付ける。

皮膚が破れ、血が飛び、骨が砕ける音が室内にこだまする。


川田は吠えていた。

狂ったかのようにストックを叩きつけ、返り血を浴びた。

服に付着した緑色の斑点がそうゆう柄のように見える。




しばらくした後、コオロギ男と化した科学者は動かなくなった。


「手間かけさせやがって…とにかく疲れた…」


川田は残り少ない散弾をベネリM3に装填した。

そして、部屋を出ようと足を運ぶ。


「まだ終わってないぞぉぉぉぉ!!」


コオロギ男は立ち上がり、跳躍して川田に飛び掛かった。


「んな事だろうと思ったよ。」


川田は素早く振り向き、頭上に迫るコオロギ男にベネリM3の照準を合わして引き金を引いた。


散弾を至近距離から頭部にまともに浴びたコオロギ男は、衝撃で吹き飛ばされて壁にぶつかり崩れ落ちた。


頭部は破砕され、人間であった頃と同じ赤いようなピンクなような色の脳をぶちまけている。

しばらく痙攣したかと思うと二度と動かなくなった。


「さっき俺言ったよな?映画やゲームじゃあるまいしって…そしたらお前こう言ったよな?ありえちゃうんだよねってな。だからお前が油断した所を突くだろうと思って敢えて油断したフリをしてやったんだよ。ま、もう聞こえてないだろうけどな。」


川田はコオロギ男に語るように話した後、銃に弾薬を装填して部屋から出ていった。


「さて、脱出手段があるなんて出任せ言ったけど、どうすりゃいいのかねぇ?」


川田は部屋から出る前、モニターで仲間達の状況を探った。

幸い、脱出できたようで既に車輪は消えていた。

ゾンビはそこかしこに溢れていて、川田がいる場所も長くは保たないのは明らかだった。


「無闇に特攻しても犬死にか…とにかくもう一度探してみるか。」


川田は踵を返し、コオロギ男の眠る研究室へと戻った。


パソコンをいじってみるが特に重要な手がかり等はない。


「はは、こりゃ本格的に危ないな。」


他人事のように笑いながら、川田はしっかりモニターも観察する。


多分研究室にゾンビが到着するまで後10分あるかないかだろう。


川田はデスクトップ上にあるファイルを自棄になって開いていると、気になるファイルを見つけた。

ファイル名は『帰り道』となっている。


「なんだこりゃ?小学生の下校ルートかよ?アホか。」


とにかく開いてみた所、研究所内の見取り図らしき物が現れた。

そこに、赤い矢印でルートが示してある。


説明には、『非常時の隠し通路への行き方。西通路を移動し、娯楽室内にある長ソファーを退けると床にスイッチが2つあり、それを同時に押すとエレベーターになる。そこから地下の緊急脱出場へと移動できる。

なお、緊急脱出場にはレール式の車両があり、中には食料、衣服、医薬品、武器弾薬が入っている。レール式車両は危険エリア(レッドエリア)から安全エリア(グリーンエリア)までスイッチを押すだけで自動的に移動するようになっている。移動完了後は、地上に行く為のエレベーターがあり、そこから出ることができる。

なお、退避完了後は自動的に研究所側からシャッターが閉じられ、実質一度のみの脱出しかできないので脱出の際には研究員含め乗せる人数を考えなければならない。



書いてあったのはここまでだった。


「よし、やっぱり脱出手段あるじゃねぇか。俺だけしかいないから一度だけで充分だ。とにかく娯楽室か…時間もないしそろそろおいとまさせてもらおうか。」


川田は娯楽室へと向けて、ゾンビの真っ只中を孤軍飛び出していった。

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