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FILE35 キマイラ

川田、嶋村、かなえは醜悪な体躯をした化け物と戦っていた。


四本足で上半身は2つあり、巨大な体をしている。


川田はベネリM3を乱射し、的確に化け物にダメージを加える。


「そうそう、そいつはキマイラって名前なんだよ。とりあえず二人の人間を合成して強化したんだけど、予想以上によくできてね。」


スピーカーからは余裕ぶった科学者の声が響く。


「有力な情報ありがとよ!クソ野郎!」


川田は弾切れしたベネリM3からM37エアウェイトに持ちかえ発泡する。

38スペシャル弾がキマイラの体に入り、赤黒い血液を飛び散らせる。


嶋村もウリカで発泡し、キマイラの注意を引こうとする。

かなえはニューナンブでキマイラを撃つが、やはり拳銃ではたいしたダメージは与えられないようだ。


「逃げずに戦うなんて強くなったな。」


川田がベネリM3にリロードしながらかなえに話し掛ける。


「私だっていつまでも逃げてられないもん!」


かなえも弾切れしたニューナンブに弾を込める。


その時、キマイラが意外にも早いスピードでこちらに突進してきた。

川田はかなえを引っ張り、キマイラの突進から逃れる。

キマイラはそのまま走ってゆき、反転して更に川田に突進する。


「またか‥皆、散れ!分散して撹乱するぞ!」


それを合図に三人は固まらずバラバラになり攻撃を加えた。


川田はぶつかるギリギリまで散弾をキマイラの顔面に撃ちこんだ。

キマイラの片方の顔はぐちゃぐちゃになり、ピンクや赤の肉片が垂れ下がっている。


川田は撃ち終えるとそのまま横にローリングしてキマイラの突進を避ける。


「川田!こいつはどうすりゃ倒せるんだ!!」


嶋村がウリカを発泡しながら叫ぶ。


「んな事知るかよ!とにかく銃弾ぶちこみまくれ!」


嶋村に突進し、腕を振り回すキマイラに向けて川田は発泡を繰り返す。

リロードしようとバンダリングを見て気が付いた。


「弾が‥残り少ない‥」


川田は散弾が20発もなく、スラッグ弾は5発しかない。

38スペシャル弾も25発だ。


「俺も弾薬が残り少ない!長期戦になったら弾が尽きるぞ!」


嶋村が突進してきたキマイラを避けるが振り回した長い腕に直撃し吹っ飛ぶ。


「嶋村ぁ!大丈夫か!!」

川田が嶋村の元へ駆け出す。


「な、なんとか大丈夫だ‥多分骨折もしてない‥」


嶋村はよろよろと立ち上がるとウリカを構える。


「かなえ、嶋村を看てやってくれ。あいつは俺が引き付ける。」


残り少ない散弾をリロードし、川田はかなえに嶋村を任せた。


「分かった。でも、川田君も無理しないでね。」


川田は敢えて答えずキマイラに突進していく。

近距離から散弾をたたき込む。


キマイラは川田を追い、突進するが、避けられて壁に激突した。

壁は音を立てて崩れ落ち、その向こうには通路が見えた。


「嶋村!かなえ!ここから捕まってる仲間を助けに行ってくれ!ここは俺に任せろ!」


「川田‥大丈夫なのか?そいつは無視して先に行こうぜ!」


嶋村とかなえが穴に向かって移動し、川田を誘う。


「いや、こいつを始末しないと結局終わらない。」


そう言いつつも川田の目の前ではキマイラが長い腕で何発も殴りかかっている。


「そう長くも保たん!行けぇ!捕まってるヤツを助けろ!!」



川田の頼みに堅い決意を感じた嶋村とかなえは穴に入り奥へ向かう。


それを川田が見た瞬間、隙が生まれた。

キマイラの放ったパンチが川田の腹部を捉えた。


川田は地面からマンガのように浮き上がり、くぐもった声を出して崩れ落ちた。

今まで経験したことのない痛みが川田を襲う。


川田の口からは真っ赤な血が滴り落ちる。


「川田君!!」


かなえは戻ろうとするが川田の一喝で足を止めた。


「来るな!構わず先に行け!!」


「でも!‥」


「いいから行けぇ!もう四の五の言ってる場合じゃねぇ!!」


「川田、死ぬなよ!」


嶋村とかなえが振り返り呼び掛ける。


「死なないでよ!絶対みんなで生きて帰ろうね!約束だよ!」


かなえが涙をこらえながら川田に叫ぶ。


「了解。お前らこそ死ぬなよ。さぁ、もう行け。」


川田は口の血を拭うと、ベネリM3を杖代わりにして立ち上がる。

キマイラはそのやりとりが分かるのか、何故か攻撃はしてこない。


「よし、行くぞ。川田がくれたチャンスを無駄にはできない。」


嶋村はかなえの手を取り奥へと走っていく。


「ようやく行ったか‥クソ、あばらの一本や二本は折れてんじゃねぇか?‥」


川田はキマイラと距離を取りつつもリロードをする。

残弾も残り少なくなった今、無駄撃ちはできない。


キマイラは威嚇しながら川田に近寄ってくる。

2つの首は、獲物を狩る寸前のようにニヤニヤしていた。


「気色悪いにやけ顔するんじゃねぇよ!」


川田はベネリM3を構えるとキマイラの顔に向けて発砲する。

凄まじい轟音と共にキマイラの顔面が血を吹き、崩れていく。

さすがにこれは効いたのかキマイラは両首から耳障りな絶叫をあげる。



川田は容赦なくもう一度散弾を食らわせると、キマイラの顔はぐちゃぐちゃになり鮮血にまみれてよくわからない状態になっていた。

ますます奇声をあげ、手で顔を押さえるキマイラに川田はベネリM3を向ける。


「楽にしてやるよ。」


轟音が再度響き、銃身から放たれたスラッグ弾がキマイラの顔面に直撃する。


川田は三発目にスラッグ弾を装填していた。

スラッグ弾は容赦なくキマイラの顔面を砕き、破砕し、粉砕した。


潰れた果実のようになったキマイラは、半身を痙攣させ動かなくなった。


片側だけは‥


どうやら融合されてはいるものの、神経等は別になっっているらしく、もう片側のキマイラは半身不随のような動きで行動可能だった。


「めんどくさいヤツだな。」


再度リロードしていると、キマイラは片側の首を無理やりちぎりはじめた。

ぶちぶちと皮膚や神経、筋が破れ、引きちぎられる嫌な音が響く。

ちぎれた首からは体力のねっとりとした血液が噴水のように溢れ、地面を染め上げていく。


雄叫びをあげながらキマイラはちぎった首を川田に投げつける。

殴られた痛みから反応が遅れた川田は頭部にキマイラの首が直撃した。


思い切り頭突きを食らったようなもので、川田は一瞬脳震盪を起こす。


視界がぼやけ、額や頬を伝う暖かい液体は血液だろう。

自分の血か、キマイラの血かわからない。


「こんなんで俺は終わるのか?皆と生きて帰るって約束したじゃねぇか‥」


川田は朦朧とする頭を振り、歯を食い縛り立ち上がった。

キマイラは意外だというような表示を見せて戦闘態勢を取る。


「死んでられるかぁぁあぁああぁぁ!!!」


川田の絶叫にキマイラがたじろぐ。


「うおぉあぁぁぁぁぁぁ!!」


川田がベネリM3でキマイラの顔面を射撃しながら近づいていく。

怒りのこもった弾丸はキマイラの顔を抉り、破壊する。


銃身内の散弾が切れた後は素早くスラッグ弾をリロードし、キマイラに向け発砲した。


もう1つの首と同じようにぐちゃぐちゃになったキマイラは崩れ落ちる。

しかしまだ生きてるようで体を動かしてなんとか立ち上がろうとしていた。


「くたばれ…」


川田はM37エアウェイトを取出し、キマイラの口内に向け連続で四発撃ち込んだ。

硝煙の匂いがする中、キマイラは痙攣し絶命した。


川田は監視カメラを睨み付けると呟いた。


「おい、こいつを倒したんだから約束通り仲間を解放してもらおうか。」


川田は片手を監視カメラに向けると手に持ったリボルバーで一発発砲し破壊した。

監視カメラは機能を停止し、それを確認した川田は嶋村達が通った穴へと歩いていった。

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