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FILE34 地下施設

「すまない真里亜、彼女を救えなかった…」


川田が発した言葉を皮切りに、真里亜の目から透明な涙が流れ落ちた。


「うぅん、川田君のせいじゃない‥唯も解放してくれて喜んでるはず。」


真里亜は俯き、肩を震わせている。


「でも、でも‥私涙が止まらないよ!‥唯‥昔から一緒に過ごしてきたのに、いなくなっちゃうなんて嫌だよ!唯ぃ‥こんな‥ひどすぎるよぉ!‥唯が何したっていうのよぉ!」


真里亜が泣き崩れ絶叫する。堰を切ったように泣き叫び、嗚咽する。

かなえが同じく涙を流しながら真里亜の背中をさすって、大丈夫と声をかけて慰める。


「俺は彼女に誓った。こんなイカれた事をするヤツに制裁をすると‥仇を取るとな‥」


川田はいつにも増して真剣で怒りに満ちた表情で真里亜に語った。


「さぁ行こう、今回の事でその張本人がこの建物の中にいる事がわかった。今度はこちらから狩るぞ。」


川田がベネリM3に弾を込める。


「川田、なんでこんな所にいるって分かったんだ?」


嶋村が尋ねる。


「ゾンビもいないこんな施設で唯が出てきたんだ。ここがヤツらの実験場なんだろうよ。」


「しかしだな、こうも広いとなにがあるかわからんな。」


北川が顎をさすりながら考える。


「見取り図を探せばいいじゃろ。ほれ、噂をすれば。」


岡本が壁に張りつけてあった見取り図を発見し、皆でそれを見る。


「こんだけ広けりゃ地下もあるわな。」


上田が見取り図をまじまじと見つめている。


「ほら、見てみろ。地下がある。しかもめちゃくちゃ広いぞ。実験場にもなるはずだ。てゆうか、地下以外はカムフラージュだな。」


記者の鋭い洞察力で上田は言ってのけた。


「となると、この地下に行けば何か分かるかもしれないのね?」


かなえが真里亜の頭を優しく撫で、慰めながら聞く。


「だろうな。大概の問題はここで分かると思うぜ。」


上田がカメラを握りしめていう。

何かネタを掴む気がまんまんだ。


「よし、じゃあこのエレベーターを使って行こう。」


川田を先頭に全員が続く。

エレベーターに乗り、地下まで行くとそこは絵に書いたような実験場だった。

人間がまるごと入るような試験管。培養液の満ちたタンク。何かを作り出すための機材が辺りを埋めつくしていた。


「予想以上だな。」


上田がカメラで周りを撮り始める。


「なにがいるかわからん。皆警戒してお互い援護できるようにしろ。」


川田がベネリM3を構え慎重に移動する。


「川田、俺も援護するぜ。」


「私も。」


嶋村とかなえが川田のやや後ろに並ぶ。

その時、後方で何か鋭い金属音がした。


「なんだ!?」


三人が振り向くと、後ろで警戒していた北川、岡本、真里亜、上田が床からいきなり出てきた鉄格子に閉じ込められていた。


「くそ、なんだこれ!?」

上田が鉄格子を揺さ振るが、堅牢な鉄格子はびくともしない。


「罠か!これでは何もできない!」


北川が鉄格子を蹴ながら叫ぶがびくともしない。


「川田君!どうにかして!」


真里亜が絶望の表情で鉄格子を揺さ振る。


「待ってろ!今開ける!」


川田は体当たりをするが鉄格子は何事もないように行った四人を閉じ込めている。


しかし無情にも鉄格子はそのまま床ごと下がり、四人は床下へと消えていった。


「チクショウ!してやられた!」


川田は四人が消えた床を思い切り踏みつける。


「落ち着け川田。まだ手遅れな訳じゃない、四人を助ける方法を探そう。」


嶋村が川田の肩に手を置いて落ち着かせる。


「罠があったって事はやっぱり誰かいるのね。それに、ある分余程重要な場所なんだわ。」


かなえが冷静に辺りを見回して述べた。




「だな。とにかく探索しよう。」


三人は無言で廊下を歩き始めた。


「なんか、最初ら辺に戻ったみたいだな。俺達がかなえさんを助けて必死で逃げ延びてきた時。まだそんな前じゃないのに遠い昔みたいな気がするよ。」


嶋村が苦笑しながら懐かしむように告げた。


「辛い事が一杯ありすぎた。俺達は一生分の恐怖と悲しみを味わったし、もし無事に生き延びれたとしてもキッパリ割り切って今までみたいな生活を送る事はできないだろうな。」


川田が目を瞑って思い出すように言う。


「でも私達は進むしかないんだよ。必死で生き延びれたしかね‥なんだか今の状況って人生の縮図みたいよね。恐れや不安から戦って進むしかないってのが。」


かなえも意味深な言葉を発している。


「そうだな、俺達は進むしかない。」


しばらく歩くと、自動ドアが開いた。

内部は大きな闘技場のような場所だった。

ちょうど、イタリアにあるようなコロッセオみたいな作りだ。


「なんだここ?地下に闘技場だと?」


川田は嫌な予感がした。

嫌な予感程よく当たるものだ。


室内に取り付けられたスピーカーから声がした。


「三人ともよくここまでたどり着いた。おめでとう!君達は予想以上の活躍をしてくれたよ。特に君!川田君だっけ?申し分ない戦闘能力だ。君をベースに新たな戦闘生物を作ってみたいよ。」


スピーカーからは嫌味ったらしい陰湿な声が響く。


「黙れ外道がッ!!!よくも散々人をいたぶってきたな!貴様だけは絶対に許せん!」


川田が怒声を上げて叫ぶ。


「おぉ怖い。でも君はさっきの四人がどうなるか知ってるのか?ほら、見てみなよ。」


天井から降りてきたスクリーンには、実験台に乗せられ、拘束された四人がいた。


「何する気だ!?」


嶋村が怒りを露にして叫ぶ。


「いやね、彼らも同じように戦闘生物にしてあげようと思って。さっきの唯ちゃんだっけ?即席で作ったけどなかなかの出来だったろ?意識が戻っちゃったから川田君に破れちゃったけどね。」


さも楽しそうに笑いながら男は喋る。


「き‥貴様人の命を弄んでそれでまた俺の仲間を更に化け物にしようとしてるのか!それだけは阻止してやる!」


「もちろんすぐにはやらないよ。これはある種のゲームなんだから。君達が今から出てくる傑作に勝てたら彼らを解放すると約束しよう。逆に、君達が負けたらみぃんな戦闘生物にしてあげる。」


男が甲高い耳障りな声で笑う。


「また化け物が出るのかよ。よし、その勝負乗った。勝ったら仲間を解放させてもらうぞ。」


川田がスピーカー付きの監視カメラをを睨み付ける。


「そんでもって、お前を殺す‥」


そう言った直後、前方の鉄格子が開かれ中から化け物が現れた。


そいつは醜悪な容姿をしていた。

足が四本あり、上半身は2つに別れている。

3メートル近くの巨体で、顔は辛うじて人間だった時の面影を残している。


「こいつは最高傑作だ。とにかく何でも破壊するんだよ。君達に勝てるかな?」


「邪魔なヤツは打ち砕くのみだ。」


川田はベネリM3を構える。


「行くぞ嶋村!かなえ!皆生きて戻るぞ!」


川田のベネリM3が轟然と火を吹き、散弾を化け物に突き刺した。

そろそろ終盤に入ってきました。ダラダラと長く書いてきましたが、そろそろ終局が近いという事でなんだか複雑ですが、最後まで頑張って書きたいと思うので応援よろしくお願いします!

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