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FILE30 煙幕

朝食を取った後、川田は郵便局内部を探し始めた。

しばらくして川田は目当ての物を見つけるとニヤリと笑った。


川田が集めた物は大量の郵便ハガキや郵便物と、ライター、灯油缶、郵便物を入れておく巨大なカートを集めてきた。


「これで何をするんだ?」

上田が集められた物を見て言った。


「簡単な事さ。とにかくカートに郵便物を詰めて灯油をかけて火を付ける。そしたらこれを局内へ郵便物を移送する入り口を開けてゾンビの団体へ蹴り飛ばす。

まぁ簡単に言えば手製の煙幕だ。とにかくアイツらの目を欺ければいいんだからゾンビ相手ならこの安っぽい作戦でも大丈夫だろ。

煙幕でパニくってる間に逃げればいいさ。

銃使う事もないだろ。」



川田は全員に説明をした。


「確かに視界見えなくなれば十分逃げれるね。それでいつやるの?」


西野がパチンと手を打って肯定した。


「みんなの準備が整ったらすぐにやる。」


川田は郵便物をカートに詰め込み、灯油をかけた。


「わかった。準備してくるぞ。」


岡本が奥へと向かっていく。


10分後、全員が武装し入り口に集まった。


「よし、やるぞ。煙幕効いたらすぐに裏口から離れるように。」


川田は皆の顔を見渡すと、大量の郵便物に灯油をかけ、ライターで火をつけた。

一気に火は燃え広がり、黒い煙を上げ始める。


勢いよく蹴り飛ばすと、ホイールのついたカートはゾンビの集団へとぶつかり、2体のゾンビを転ばした。


「行けぇ!」黒煙でバラバラに動き、共食いを始めたゾンビを尻目に川田達は裏口を曲がり正面へと走っていった。


正面玄関付近にはゾンビは3体。



「どうする川田?」


隣で走る嶋村が川田へ問い掛ける。


「弾のムダだ。跳び蹴りでブッ飛ばす!」


川田は姿勢を低くし、加速を付ける。それを見た嶋村も同じく自然を低くし加速する。


「川田!合わせるぞ!」


同じ速度とタイミングで川田と嶋村は跳んだ。

目の前に並ぶ2体のゾンビへ綺麗に同じ格好で二人がそれぞれ跳び蹴りを食らわせる。

体をくの字に曲げ、ゾンビが吹き飛ぶ。


「な‥よくあんな事ができるな‥」


北川は前方でダブル跳び蹴りをした二人を見て唖然としていた。

あのタイミングは相棒同士であるあの二人だからこそできる事であろう。



「一気に抜けるぞ!」


もう1体のゾンビにミドルキックを食らわせ川田が叫ぶ。

7人と1匹は全力で駆け抜けた。

頃合いを見計らい川田が停止し全員を止めさせた。



「この辺でいいだろ。誰か地図持ってるか?」


「私が持ってるわ。ハイこれ。」


かなえが川田に地図を差し出す。


「今ここら辺だから、あの訳の分からん研究所はここから北東の方にあるのか。」


覗き込んだ上田が地図を指差し示した。


「なんじゃ、そんな遠くないんじゃな。」


岡本が額に吹き出た汗を拭いながら地図を見た。

確かに、地図上からは4キロ程度で研究所に着けるようだった。

「じゃあこのまま一気に研究所まで行っちゃいましょうよ。」


西野がイリャーナの頭を撫でながらそう提案する。


「そうだな。事態は刻一刻と悪化している。このまま研究所に行って調査しよう。」


川田がそう言い、地図から移動ルートを丹念に調べる。


「じゃあ移動しようか。」

嶋村が皆を促す。

いつの間にか雨は止んで、空には虹がかかっていた。

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