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FILE17 試射

川田は、ベネリM3に12ゲージをリロードした後、店内を調べ始めた。

さすが銃砲店だ。銃器関係のパーツやアクセサリーは十分揃っている。


『岡本さん。ついでにスラッグショットも貰っていいですか?』

『あぁ別に構わんよ。だがスラッグ弾はバックショットよりも反動が強いぞ。』

岡本は、棚からスラッグ弾の入っている箱を取り出すと、川田に手渡した。


『大丈夫です。使いこなしてみせますよ。』


川田は笑いながら、リュックに弾薬をしまった。

ちなみに、スラッグショットというのは、熊、猪など大型動物猟用の弾である。散弾ではなく単発弾スラッグであるため、発射直後の弾丸の運動エネルギーは大口径ライフル並みであるが、重い弾頭重量により、遠距離になる程威力が低下する。その反面、近距離では驚異的な破壊力を有する弾丸である。


そして12ゲージ、通常バックショット弾は鹿などの中型動物猟用の弾である。

12番で6〜9発の弾丸を発射し、軍隊でも使用されているポピュラーな弾薬である。


『川田。俺のって川田と同じの使えばいいのか?』

嶋村がウリカを川田に見せる。


『ウリカも同じ12ゲージだ。お前はスラッグ弾使わない方がいいかもな。』


川田は岡本から貰った12ゲージの箱を嶋村に渡す。


『よし‥試し撃ちでもしてみるか‥』


川田は玄関から出て辺りを見回す。南の国道からゾンビが数体こちらに向かってきている。


『川田君、教えなくても大丈夫かね?』


岡本が上下二連式散弾銃を抱えて出てくる。


『大丈夫です。特にベネリは前から欲しかった銃だ。使い方は熟知してる。』


川田はストックを肩にあて、慎重に狙いを定める。

轟音が響き、前方のゾンビが吹き飛ばされる。

散弾がゾンビの顔面を直撃して穴だらけになっているであろう。


『思ったよりもリコイルが強いな。次はスラッグ弾だ。』


川田は6回ポンプアクションをし、銃身内の12ゲージを全て出してポケットに入れ、スラッグ弾をリロードする。


『スラッグ弾は遠距離じゃあまり当たらんぞ。』


岡本は後ろからアドバイスをしてくれる。


『わかりました。接近します。』


川田はこっちに向かっているゾンビと距離を詰めた。そして、ベネリM3を構えて発砲する。

先程のバックショットとは桁違いの轟音が響き、ゾンビの頭部を吹き飛ばす。

文字通りゾンビの頭部に大穴を開けた。

もっと近ければ、頭部自体が損壊して無くなっていただろう。


『なんてリコイルだ‥肩に痣できるじゃねえか。』


川田は肩を擦りながら今撃ったゾンビとベネリM3を見比べる。


『スラッグ弾は協力じゃからの。人体に発砲したら確実に死ぬだろうな。ああいう死に損ない共に対しては別じゃが…』


岡本が目を細めてくたばったゾンビを眺める。


『なんだよ今の!?メチャクチャでかい音したけどそのショットガンか?』


嶋村が銃声に驚いて店から出てくる。


『これがショットガンだ。しかし思ったよりウルサいな銃声ってのわ。』


『イヤーマフしとらんて将来難聴になるぞ。』


岡本は、耳をポンポンと叩いてジェスチャーをした。

『じゃあ俺も気が進まないけどやっとくかな。』


嶋村はウリカを構えて近づいてきている女のゾンビに狙いを付ける。


『やっぱゾンビでも元は人間だから撃つのは気が引けるな‥』


嶋村は躊躇いながらトリガーを絞る。

散弾が首元に辺り、ダラダラと血が流れ出た。複数の鉛弾によって引き裂かれた首からは何か器官のような物が飛び出している。


『おい、まだ死んでないぞアイツ。』


嶋村はもう一度発砲し、ゾンビを吹き飛ばした。


『気持ちは分かる。俺だって別に殺したくねえさ。だがな、戦わなければ生き残れるか?狂ってると言われようが、この状況から生き抜くなら戦うしかねえんだよ。綺麗事で済むならとっくにこんなの終わってら。現実はいつだって残酷なもんさ‥』


川田は、12ゲージをリロードしながら嶋村に説いた。目は真剣だった。


『そうだな‥死んだら意味ねえもんな。どんな行動しようが、生き残る為に綺麗事なんて言ってられない。絶対生き残って祝杯でもあげようぜ!』


嶋村は無理に明るく振る舞い、自分を元気付けた。


『あぁ、生き残ろうな。そんときゃ嶋村がおごれ。俺は遠慮なく飲み食いしてやるよ。』


川田も笑いながら、嶋村をこづいた。

『岡本さん。スリングベルトも欲しいんですけどいいですか?あ、欲を言えばショットシェルも入れれるバンダリングみたいなのがいいんですけど。』


『それならあるぞ。好きなの持ってけ。そら、こっちじゃ。』


川田はスリングベルトに12ゲージとスラッグショットを挿入した。

『あとこれも持ってけ。どうせもう使わんからな。』

岡本はグローブを二人に手渡した。

フィンガーレスで黒色の皮製だ。フィンガーレスなので指先の細かい作業ができるようになっている。


『ありがとうございます!さて、そろそろ行くか。岡本さんはどうするんです?俺達の他にまだ二人別行動でいるんですが、郵便局で合流予定なんです。

一緒に脱出しませんか?』

川田がグローブをはめながら岡本に提案する。


『そうじゃな。どうせここにいても死に損ないの相手をする以外、何もする事がないしの。準備をするからちょっと待っとってくれんか。』


『OKッス!ゆっくり準備してくださいよ。』


嶋村は同行者が増えた事が嬉しいようだ。


『いや‥ゆっくりもできないようだぜ‥』


川田は玄関に向けてベネリM3を構えてポンプアクションをする。

鋭い金属音が店内に響いた‥‥

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