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FILE16 銃砲店

集落でゾンビの集団を壊滅した川田と嶋村は、郵便局へと続くであろう農道を歩いていた。

あと数時間もしない内に日が暮れるであろう事は太陽の傾きからして分かった。

『なあ川田。これっていつ終わるんだろな?』

『これってなんだよ?』

『だからこのゾンビだらけの状態だよ。俺達どうすりゃいいんだろ‥』

嶋村は不安そうに川田に話し掛けると、夕方独特のいやに眩しい太陽を眺めた。

『とにかく、安全なとこに逃げるしかないだろ。ま、こうゆうのはちゃっちゃと街から脱出するってのが定石だけどな。』

川田も眩しい太陽を片手で久を作りながら見ていた。

『そこまで生きてりゃいいんだけどなぁ。俺がゾンビになったら始末はよろしく頼むよ。』

『なに縁起でもねえ事言ってんだ。ゾンビになったら眉間に一発ぶっ放して成仏させてやるから安心しろ。もし、俺がなった時も同じように頼むぜ。』

『はいはい分かった。こんな話止めて、とっとと先に進もうぜ。』


嶋村が川田の背中を押しながらペースを早める。

先程の軽トラック爆発以降、何の音もしないから不気味だった。まるで、嵐の前の静けさのように…


しばらく農道を歩いた二人はようやくアスファルトの道路へとやってきた。

『郵便局はもっと向こうか‥嶋村、またヤツらがいるかもしれねえから警戒しろよ。』

川田はM37エアウェイトを構えると寂れた国道を歩いていく。

嶋村も慣れない手つきでニューナンブを構えて歩く。国道だが、車は走っておらず、事故車が煙を上げて止まっていたり、横転したままの状態であったりした。辺りは所々に血溜りができている。


『やっぱ生存者いないかな‥』

嶋村は顔をしかめて血溜りを見る。

『だろうな。』とだけ言って川田は進んでいく。


三台目の車をの脇を通ろうとしたら、ゾンビが一体、車の影から奇襲してきた。

『まだ若いのにな。』

川田は中学生ぐらいの女の子の眉間に発砲した。

血飛沫を上げて崩れ落ちる少女。地面にはピンクのような赤いようなゼリー状の脳が飛び散っている。

頭部を撃たれた衝撃で、目玉が飛び出ていた。


『うえ‥何度見ても慣れねえや‥』

嶋村が口を押さえて吐き気を堪えていた。

『慣れろ。四肢をもがれて臓物引きずり出されて食われるよかマシだろう。』

川田は薬筴を捨て、新たに一発、.38スペシャル弾をリロードした。


『自分が食われるとこなんて想像したくねえ!』と言いながら嶋村は少女の亡骸から目を逸らした。

川田は前方にゾンビを発見し、M37エアウェイトで狙いを付けた。

一体一体を狙撃し、直ぐ様リロードする。

周りには発砲音を聞き付けてか、ゾンビが集まってきていた。


『どんだけ殺してもキリがねえ。移動に邪魔なヤツだけ殺して、後はシカトしよう。』

川田は国道を走り始めた。『そうだな。弾も節約しなきゃならねえし。』

嶋村も川田にならって走りだす。


二人は、極力ゾンビを無視し、どうしても通るのに邪魔なゾンビだけ射殺していった。

10分もしたところで、川田が突然走るのを止めた。


『おい、俺達ツイてるぜ!嶋村!見てみろよ!』

『どうしたんだよ川田?』

川田は有無を言わさず、国道沿いにある建物を指差した。何かの店のようだ。

建物自体は小さい。いかにも田舎という感じの店だ。看板には、

「岡本銃砲店」とあった。


『やったぜ銃砲店だ!武器が補充できるぞ!』

川田はよほど嬉しかったのか、小踊りまでしている‥『でも店の人にどうやって貰うんだよ?金ないし、第一無免許だし‥』

嶋村は川田に現実を突き付けた。

『あ‥そうだった…』

川田はガックリと肩を落としてうなだれた。


『とにかく行くぞ。なんとか説得する。それに、もしゾンビになってたら悪いけど戴く。』

川田はニヤリと笑って銃砲店へと駆けていった。

玄関を開けると、中は血溜りができていた。

『やっぱここの人も死んだのか‥』

嶋村が残念そうに呟いた。その時‥

『誰だ!?…』

店の奥から男の声がした。そして、現れたのはいかにも山男といった雰囲気のある年老いた老人だった。

老人は、上下二連式散弾銃を構えている。


『ちょっ!待った!俺達はゾンビじゃねえ!』

川田が必死に人間だと大声を上げた。

『そうか。すまなかった。ところでなんでここに来たんじゃ?』

『あのですね。この状況なんで散弾銃を貰えないかと思って来たんですけど無理ですかね?』

川田が老人に敬語で話し掛ける。

日本人は初対面で相手が年上なら大体敬語を使ってしまう。

『お前ら散弾銃なんか使えんじゃろ!玩具じゃないんだぞ。』

老人が訝しんでいる。


『いや、俺達は使えます。現にほら、警察から拳銃だって貰えましたし。非常時なんで。それに、自分はガンマニアなんで使い方から弾の種類まで全部わかりますよ。』

川田がM37エアウェイトを見せる。


『そうか‥ならどうしようかの。どうせこの街じゃ商売できんし、譲るとするかのぉ。お前ら、好きなの持ってけ。』


老人は鍵で錠わ外し、錠が取れるようにした。

『ありがとうございます!あ、自分は川田頼人っていいます。』

『俺は嶋村裕也です。』

会釈をして品定めに入る。『ワシは店主の岡本じゃ。早くワシもここから離れなければな‥』


岡本は外を眺めながら顎に手をあてた。


川田は、品定めを始めた途端に目付きが変わった。

そして、一丁の散弾銃を手に取る。

『岡本さん。俺この、M3スーパー90ショットガンにするわ。』

そういって、川田は全身ブラックのポンプアクション式ショットガンを持つ。

この、M3スーパー90は、アメリカのSWATでも使用され、ボタン一つでセミオート、ポンプアクションと切り替えが出来る高性能ショットガンである。

イタリアのベネリ社製、12番ゲージで、弾薬も様々な物が使える。装弾数は7発だが、日本の法律で装填できるのは3発までとなっている。


『まだそれは処置してないから7発入るぞ。ホントは法律違反だが、それはこの状況じゃ仕方がない事。』岡本は法律違反なのだが笑って教えてくれた。

今はありがたいの一言である。


『じゃあ俺はこれにしようかな。』

嶋村が選んだのは、AL391 URIKAだった。

イタリアのベレッタ製の自動銃ウリカだ。

高性能ガスオートシステムを採用したセミオートショットガンである。

これも7発入るようにしてあるらしい。


それぞれは、ショットシェルを箱ごともらい、リロードする。

円柱状のショットシェルをリロードしたショットガンは、リボルバーとはまた違う頼もしさがあった。


使い方がわからない嶋村に岡本が丁寧に指導する。

岡本からは、狩猟用のベストも与えられ、戦闘でより使いやすく、戦いやすくなった。

装備が充実した時、日の入りが迫ろうとしていた。

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