エピローグ
人は一瞬でも見たことを記憶する事が出来るらしい。
ただし、それは記憶しただけであって、自分の意思で引き出すことは出来ない。
すなわち、記憶はしてはいるが思い出せない。
見ていないのと同じ事だ。
しかし、人は全てを思い出すことが出来る一瞬がある。
『生まれ変わったら』とか『先祖は』とかよく聞く話だ。
何気ない会話の中で出てくるこの表現。
でも、生まれ変わるって事は
自分が違う生き物になったら・・・。
自分が死んで違う人になったら・・・。
って意味だよな??
もし、体が朽ち果てたとして自分が違う人になったとしよう。
さて、前世の記憶はどうなる?? 魂は??
体もろとも朽ち果てるのか??
前世の記憶を引き継ぐって考える人も居るし
魂も引き継ぐという人も居る。
なら、仮に両方引き継がれたとしたら・・・。
新しい入れ物に魂と記憶が定着しただけになる。
なら見た目意外は全く同じ人間ができあがるのか??
でも、それでは世界の常識のつじつまが合わない・・・。
そう、引き継いだだけでその本人は思い出すことが出来ない。
それが妥当な定義だろう。
なぜなら、その記憶の持ち主とは全く違う人に“生まれ変わった”のだから。
そう生まれ変わった・・・。
中身は一緒だが記憶は蘇らない。
しかし、人は全てを思い出すことが出来る一瞬がある。
そう、全てを・・・。