表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/16

<地球の魔王と魔王城>

 それは、ある日のことだった。


 「中野さん!大変なのです!」

 「どうした?」


 その日、仕事から帰った中野のもとに大慌てで宇宙人がやってきた。


 だが、これも見慣れた光景である。大抵は地球では当たり前のことに驚いたり、勘違いで驚いていたりすることがほとんどで本当に大変だったことは一度もない。


 「これを見るのですよ!」


 そう言って家の奥へと駆けていく後ろ姿に続いていくと宇宙人の仕事専用となったパソコンには様々なネット記事が映し出されている。


 「・・・なるほど」


 中野がパソコンに映る記事に一通り目を通すと、そこには『エリア51・ロズウェル事件・CIA(アメリカ中央情報局)』と宇宙人に関係しているとされているものばかりである。


 「ぽぽちゃんの存在がバレたらCIAにエリア51に連れていかれちゃうかもしれないのです!」


 そもそも中野はこんな陰謀論みたいなものは信じていなかったが、それは宇宙人などいるわけがないという現実的で一般的な常識からで、いま目の前にはその現実的で一般的な常識を覆す存在いる。


 「まさか地球にも魔王や魔王城みたいなものが存在するとは思ってもみなかったのですよ。一刻も早くスペクルを修理する材料を集めて地球からいつでも逃げれるようにしなくちゃならないのです」


 よくよく考えれば、この宇宙人の話を信じるならば宇宙単位で考えると魔王もドラゴンも現実的に存在しているということになる。そう考えればこのネット上の宇宙人に関する陰謀論も現実的なのかもしれないが、そもそも宇宙人の話を信じるのであれば頼りになりそうな存在を先日聞いたばかりである。


 「宇宙警察は頼れないの?」

 「あのとき宇宙警察を呼べたのは僻地とはいえ配達する惑星が近くにある惑星連盟の影響圏内だったからなのですよ。でも地球はあまりにも遠すぎて連絡の取りようもないのです」


 どうやら地球は僻地ですらないようである。例えるならば遭難した先が陸の孤島や絶海の孤島レベルはなく、そもそもその存在を誰にも知られていない未発見の島といったところだろう。


 確かにそのような状況であれば今の宇宙人の気持ちも理解することができる。自分の身柄や宇宙船を抑えられてしまえば地球から脱出することは不可能となってしまうのだ。


 それこそ魔王や魔王上の出てくるゲームで例えるならば小さな村からレベルを上げて魔王城に行くのではなく、まだレベル1の状態で魔王に連れ去られて魔王城へと監禁されるようなものである。


 そしてその魔王の手強さについては魔王を討伐するゲームを進めている宇宙人自身十分に理解している。


 元々魔王を討伐するゲームは配信でやっていこうとしていたが、作品どころかゲーム自体が初見の宇宙人が進めるゲームはかなり遅く、今では最後までできるか分からないのでそのゲームを最初から最後のクリアまで撮影をしてから動画として投稿するといった方式に変えたほどなのだ。


 だが例え魔王と魔王城があったとしても、その存在に気づかれることがなければどうにでもなる。もし存在していたとしても、誰も存在している人がいなければそれは存在していないことと同じなのだ。魔王を倒すどころか世界の片隅の村で平和に生きていくことも可能なはずだ。


 それにこの地球には宇宙人を始め、様々な設定上の様々な存在を自称する存在がおり、そのような存在を向こうが本気にするとは到底思えない。


 「まあ、でも。今のままの配信活動だったら別に大丈夫じゃないかな。そもそも自分のことを宇宙人だと自称してる日本人も多いから」

 「そういえばそうだったのです。総理大臣も宇宙人を自称していたのです。でも、こうなったらアメリカ政府とCIAにはこれから気を付けないといけないですね」


 そもそも宇宙人というアメリカ政府やCIAどころか普通の地球人に見つかってもどう反応されるか分からない存在。それを考えればこのまま中野以外にはバレないように気を付けてもらった方が中野としても助かる。


 こうして地球人と宇宙人の2人が話し合って最終的に出した結論は宇宙人でありながらも、あくまで宇宙人を自称する地球人を演じるというある意味普通の人間でありながらブイチューバーとしてキャラクターを演じるというある意味ブイチューバーの原点に回帰するような内容となったのであった。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ