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<誕生!宇宙人ブイチューバー> 

 宇宙人が地球にやってきた翌日、急遽仕事を休んだ中野は居候させることとなった宇宙人とともに、これからのことについて話し合う。


 まずは改めての自己紹介に始まり、そして話は宇宙人が地球という未知の環境で暮らしていく上での注意点を伝えていくこととなるが、その宇宙人の地球への適応は思いのほか早かった。


 なぜなら中野が思うより宇宙はとてつもなく広かったのだ。


 宇宙には惑星連盟と呼ばれる数多くのの惑星からなる地球でいう国連機関のような組織があり、そこに加盟する惑星には地球と同じような文明の利器を使用している惑星がいくつもあるのだという。


 そんなこともあり地球に初めてきた宇宙人とはいえガスコンロやコンセントなどといったものの危険性を十分に理解することができ、それどころか宇宙にも似たようなものがあると言ってインターネットまですぐに使いこなしてしまった。


 だが、ここまで何の問題もない宇宙人にも一つだけ欠点がある。


 「中野さん。ぽぽちゃんが宇宙人だとバレないでできるお仕事、何かありませんかね」

 「どうした?急に」

 「この惑星での食べ物代を稼がないといけませんし、宇宙船が小惑星に衝突した時に外付け装置の一部がそのまま宇宙のどこかに行ってしまったので修理のために必要な材料をこの惑星で調達しないといけないのですよ」


 地球に来た宇宙人が困ること、それは金策である。これが惑星連盟に加盟する惑星であれば何の問題もなかったそうだが、非加盟のそもそも宇宙人の存在が一般的でない惑星では確かに大きな問題である。


 実際に宇宙人が一般的でない惑星に宇宙人が現れたことによってその惑星の住民が混乱に陥るというのは何度も繰り返されてきた避けようのない事態なのだという。


 そのため惑星連盟では非加盟惑星の現地住民との接触は必要最低限に留めて現地の文明、特に技術革新についてはその惑星単独で惑星連盟への加入条件でもある光速以上の移動技術を開発するまで関わってはいけないことになっているのだそうだ。


 確かにこの地球でも宇宙人の存在が明らかになれば、この存在を放ってはおかないだろう。果たしてそんな時、こんな可愛らしい小さな宇宙人はどんな事態に巻き込まれるだろうかと考えれば人類が宇宙人と出会うのにはまだ早すぎるように中野も思う。


 だが一方で、そんな都合のいい仕事・・・。


 「どうですかね?中野さん」

 「稼げるかどうかは別にして、一つだけある・・・」

 「おおっ!早速教えて欲しいのです」


 そんな都合のいい仕事、思いつくものが一つだけ中野にはあった。



・・・・・



 「ブイチューバー?」


 初めて聞いた言葉に金欠の宇宙人は顎に手を当てて首をかしげる。


 「とりあえず見た方が早い」


 ブイチューバーといえばアバターという仮の姿を使い本人の姿を一切出すことなく動画の投稿や配信を行なう者たちのことである。


 問題は稼げるか稼げないかはやってみないと分からないということであり、実際のところ中野は企業に属さず個人ブイチューバーとして活動したがチャンネル登録者が2桁しかいかなかったことからすでに引退しており、そのうえ収益化してそれなりに稼げるようになるまでには色々な条件や審査など時間がかかることとなる。


 だが、幸いにして挑戦するだけなら引退した中野のモノをそのまま使うことができるということを考えればブイチューバーという仕事はそれなりにハードルの低い仕事であった。


 「魔法使いとか、ぽぽちゃんと同じ宇宙人とか色々な人がいますけど、全部設定で中野さんと同じ地球の人がその役を演じているだけなんですね」

 「そういうこと。ここに写っているのは絵であってカメラで人の動きに合わせて絵が動いてるだけ」


 こうして一通りのブイチューバー達の動画や配信を見てみることとなった本物の宇宙人であるが、宇宙人を自称しながらも普通に活動している偽物の宇宙人の姿を見てとても興味を引かれたようだ。


 「決めたのです。ぽぽちゃんこれをやりたいのです」

 「本当にやるの?」

 「当たり前なのです。食べ物についてはしばらく中野さんのお世話になりますが、必要なお金は自分で稼ぐのがぽぽちゃんのモットーなのです。食べ物代も修理に必要な材料費もぽぽちゃん自身が稼ぐのですよ」


 こうして本当に稼ぐことができるのかも分からない道ではあったが、遭難した金欠の宇宙人は自身のモットーに従いブイチューバーとなることを決めた。


 そしてその後、地球人と宇宙人によるブイチューバーとしての設定や構想を考えることとなり宇宙人によるブイチューバー活動の第一歩がこうして始まったのである。





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