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12話 余命宣告


────うっ…臭いよ〜アベル…


「ま、まぁ分かるがその言い方やめろ。俺が傷つくだろ…」


俺たちは例のダンジョン前にやってきたのだが、そこはあまりにも強烈な悪臭を放っていた。


「エルフちゃんたちはこの匂いにつられてきたのかな…あんなに可愛い顔してるのに…」


「まぁ、好みは人それぞれって言うしな…」


にしても臭いと思ってしまうが。


「とりあえず中に入るか…頼まれたからには最後までやるぞ!」


「うへぇー…分かりました…」




魔物はいつもと変わらなそうだな…


「なーんだ!いつもと同じ感じだね〜くっさいだけっぽい!」


「あんま油断すると…」


────カチッカチッカチッ…


ん?時計の音?


その音は唐突にダンジョン内で鳴り出した。


「アベル…?何か様子がおかしいよ?妖精さんが逃げて行ってる!!何か来る気がする!!」



────ドクッドクッドクッ…


なんだ…急に体が…


え?


────グサッ!!


突然、目の前にフードを被った男が俺を切った。


え…?それは…エクスカ…


「ちょっと!!あんた何やってんの!?アベル!!アベル!!」


やばい…口に力が入らない…「死者蘇生」を詠唱できない…


「死者蘇生」


クリスタが俺に治癒魔法をかけている間、男はそう言い残しそこからさってしまった。




«今の君は本当の自分ですか?その体は自分自身で勝ち取ったものですか?この世界では君は3度死んでいることになっているようですね。では、本当の世界では何回死んでいるのでしょう?






意識が…ある…?








────ん?ここは…武器屋…?


「おい!てめぇら何やってんだ!?泥棒だ!!泥棒がいる!!みんなでやっつけろ!!」




────ここは…初めてのダンジョン攻略か…


「うぉ!!金銀財宝だ!!これで大金持ちだ!!」


そこにいる俺はポーションを置いていくらしい。


…なんで俺はポーションに(こだわ)っている…?






『これは俺たちの本当の過去だ』


その男は突然現れた。いや、その男ではない。俺だ。俺が俺の目の前にたっている。


「な!?それは…どういうことだ…?」


『俺は過去を書き換え続ける。そして、もうじき死ぬ。世界の(ことわり)から外れたからだ。次はお前の番だ。アベル!!』


「え!?ちょっと待ってくれ!!何を言っているのか意味がわからない!!もう少し教えてくれ!!」


『お前は俺だ。ならできる。ひとつ言うのだとすれば…』


『バッドエンドを破壊せよ』



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