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第10話 痛いよりまし!


「よーし!ダンジョン攻略行きますか〜」


「いきますか〜」


柔らかい声でクリスタが応じる。




あれから、ケイラとエルは孤児院を営むようになった。本当に改心していた。いつか、顔を出してやるとしよう。


そして、俺とクリスタのパーティーは元勇者であるサルトルの悪行を突き止めたとして、それなりの地位と名誉を得ることになった。


ここからだ!最強の騎士になりに行くぞ!


────ドゴォォォォォォン!!!


────ドゴォォォォォォン!!!


────ドゴォォォォォォン!!!


まぁ、ただの破壊作業であることに変わりは無いのだが…


しかし、クリア報酬はそれなりに貰えた。これで武器屋のおじさんに貸しを返せるだろう。


俺は、武器屋につくとバレないように金銀財宝をたくさん置いておいた。勝手に投資したと思ってくれればいい。




「ア〜ベル♡最近ダンジョン攻略いっぱいして疲れたでしょ?私がマッサージしてあげる♡」


「お、本当か!?マジで助かるよ〜!最近、背中の筋肉が痛むんだよな…」


エクスカリバーは相当重い。持っているだけでも俺にとっては筋トレだ。


「それじゃあ、背中からやるね〜」


────ボキッボキボキボキ!!!


「グハッ!!」


痛ってぇぇぇぇぇ!!!


な、なんだ!?敵襲か!?


「どうかな〜?気持ちいい?アベル?」


クリスタだったのか!?俺はマッサージを注文きたよな!?


「ク、クリスタ…もうちょっと優しめに…」


「分かった…やってみる…」


ちょっと落ち込ませてしまったらしい。


けど、これで死ぬよりましだ。


ん?マッサージやめちゃったのか?そこまで落ち込ませるつもりは…


「クリスタ!!ごめ…」


────ちょん。ちょん。ちょん。


ん?何をやっているんだ?


クリスタは人差し指で俺の背中を本当に少しづつ触っていた。


こいつに限度というものはないのか…まぁいいか。また、強くしろと言うとさっきみたいになる。痛いよりましだ。


まぁ、今日は2人でくつろぐとするか…




『たす…けて…たす…けて!!』


ん?誰かが魔力で俺たちに信号を送ってきているようだ。


「クリスタ!聞こえたか!向かってみるぞ!!」




向かった先には…人だかり…?


いや、盗賊同士が奴隷(エルフ)の密売をしている…?


「あなたたち、何をしているのですか?」


クリスタが先行してしまった!?まずいな…


「なに!?聖女様!?なんでこんなところにおられるのですか…?」


盗賊の1人が刃物を突き出しながらクリスタに近づく。


「おい!クリスタ逃げ…」


「はぁ、私を刃物で殺そうとするのですか…まったく…その立ち方で良いんですか?刃の向きはそれで良いんですか?あなた、人殺したことあります?」


「はぁ!?何言ってんだこのクソアマ!!さっさとやっちまうぞ!!」


「1人の女の子相手に男2人でかかるんですか…ダッサ…」


「クリスタ!!危ない!!」


間に合わ…


────グサッ!!!


「ほら?私の方が早い」


勝てるのか…確実に強くなっている…


「あなたも私も殺そうとしましたよね?」


────グハッ…


「なら、仕方ありませんね」


「他の方も私と殺し合いたい方が入れば是非」


『びぃぃぃぃぃぃぃっっっっ』


盗賊共は全員逃げていったようだ。


「クリスタ!!大丈夫か!?怪我はないか?」


俺はすぐにクリスタのそばにかけよる。


「へっ!?あっはい…//大丈夫…です…その…そんなにくっつかれると死ぬんだけど…」


俺はいつのまにかクリスタに抱きついていた。


「あ、あぁ!ごめんごめん!!」


この盗賊たちどうするかな…このまま殺しておくのも可哀想だし一応「死者蘇生」しとくか…


「死者蘇生!」


そして、どっかに投げ捨てておく!!




『あの…助けてくれてありがとうございます!』


奴隷から解放されたエルフたちはクリスタに向かって、いっせいに駆け寄る。


「ん?エルフじゃん!めずらし〜!!」


「よし!もうお前たちは自由だぞ!」


『あの!アベルさんとクリスタさん…ですよね?』


エルフたちはなぜか俺の名前を知っていた。



「面白かった!」


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