〜空の子〜
「おいっ、時雨。こんな所で寝ると風邪ひくぞ?」
『・・・。また、人の子か…。人の子、よく聞け!
神々は風邪など引かぬ!』
「ハッそうだよな 笑。てか、人の子言うな!俺には、ちゃんと“湊”っていう名前あるんだ!!」
『ふふっ…。湊、またお兄ちゃんに揶揄われてる。』
これが…最後に覚えてる、平和な日だった。
「…時雨!!」
湊に呼ばれ服を掴まれた気がした。でも振り向いた時には、何もかもが終わっていた…。
村さえも人さえも居なかった…。
そして時が過ぎたくらいに“暦”が消えつつあった。
『お兄ちゃん…私、先に行くね。また同じ時代に出会えたら今度は…』
静かに消えていった…。
最後に何を言おうとしたのか分からなかった。
下界では“暦”が居なくなったと同時に、
真っ白な雪が降り…雪が積もり世界が白くなった。
暦が消えていってから、僕も間も無くして消えた…
僕は綺麗な雪ではなく、雨だった。
今までに溜め込んできた想いが“雨”として形に、
一部地域では〈大洪水〉になったとか…。
僕は何十年何百年と時の経過と共に流れ、そして現代へと辿り着いた…。
「沙織!!お前も俺に口答えをするのか!?そもそも口答えする権利があるとでも思っているのか!?」
僕がまだ5歳の時の話だ。父さんは、母さんと結婚してから焦っているらしい。そういう匂いがする…。
ーその日の夜ー
リビングから叫び声が聞こえた…。
時間はちょうど深夜の2:00に針が指していた。
「理陽人!やめて!!私は、契約を破ろうとしてないわ!」
「契約を破ろうとしていないだと?!よくもそんな事が言えたな!!こうなったら、この元凶となった忌々しいアイツらに吐かせるまでだ!!!」
そこで“小夜”が起きてきた…。
「お父さん…お母さん…。何やってるの?」
「あっ、小夜。なんでもないのよ。ただ2人とも酔ってて叫んでしまっただけだから…」
『小夜よ…。お主は寝よ。我が添い寝してやる。さぁベッドで行くぞ』
「うん…!朱莉様と寝れる〜。嬉しい。」
ただベッドで会話を聞いているだけだった。
〈 俺も“朱莉様”と寝たかった〜!!〉
でも喧嘩は今日だけじゃ、治らなかった…。
次の日も遅くまで続いた…。
そんなある日、父さんの背後に“黒いモヤ”みたいなのが見えて疑問に思い、おばあちゃんの所に相談しに行った…。
「ねぇ、おばあちゃん。父さんの背後から黒いモヤみたいなのが見えただけど…。何があるの?」
「凛空っ…!?お前さん…黒いモヤが見えたじゃと!?ありがとう…次遊びに来るとき、父さんも連れておいで。」
おばあちゃんは俺の口から“黒いモヤ”って聞いた
途端に一瞬だけ俺じゃない方を向いていた…。
でも、おばあちゃんの言う通りに遊びに行くたびに
父さんを連れては帰るを繰り返した。
けれど対処するには“遅すぎた”。
小夜の力が強力になりすぎてしまった。
だから、母さんの結界術で抑えようとしたら…父さんが勘違いを起こた。
「沙織…お前はやっぱり、契約を破ったのか。」
「違うわ!!ただ封印が解けそうだったから、張りなおそうとしていただけ。」
「そうだよ!父さん!!母さんは家族を守ろうとしてたんだよ!!」
そのとき…父さんは俺を叩いた…。
頭の中で血の味がした…。目が回って、倒れてしまった。その傍で小夜が泣いていた…。
〈 小夜を守れないなんて最低だ!!〉
俺は、0.1秒という世界感で父さんに向けて“力”を
使った。世界の均衡…ならびに掟を破った…。
〈 あぁ…終わったな。でもこれでいいんだ。〉
それで終わろうとした、そのとき…。
小夜から強大な力を感じた…。俺と同じ過ちを繰り返してはいけない!!
〈ダメだ!小夜。使うな!!〉
そこからは何も覚えていない…。
覚えているのは、小夜は力を使わずに母さんと
逃げれた事だけだった。
あのあと、おばあちゃんや“朱莉様”が来て、父さんに取り憑いていた悪霊を追い払ってくれた…。
でもそこにはもう一人の守護神が居たらしいが…
“???”というらしいが頭にモヤがかかって
思い出せなかった。