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〜時の子〜

“時の子”・“空の子”。

2人が願ったりした時に「時空の扉」と呼ばれる、

この世とは違うその人自身が望む世界へと行ける扉。

この力は、元々危険なもので“桜庭家”で代々厳重に封印されてきた。

大昔、戦争があった。その戦争を止めたとされるのが

“時空の神”だった。これ以降、姿を現さなくなった

“時空の神”。何処へ行ってしまったのか。

現代になり、再び力を宿したとされる双子が現れた。

双子は本来の役目を思い出し進み始めるのか…。

それとも…。

 これは、時空の神の始まりの物語。

ある家に双子の神様がいました。その子らは仲良く

暮らして、寝る時も泣く時も喜ぶ時もいつも一緒に

いた。だがしかし、そこに亀裂が出来始めた…。


「お願い。お父さん!凛空と一緒に居させて!!」

「駄目だ!!小夜!君の母親が力を1人で行使しようとしていた。そのため、君の母親は契約違反をした!」

         〈契約書〉

【第一条:1人で力を行使した場合、即刻離婚をして男の子の方は父親が預かり、女の子の方は母親が預かる。】


「理陽人!私は、そんな事をしていないわ!!封印が、解けそうだったから結界を張り直そうとしていただけ。」

「そうだよ!父さん!! 母さんは、家族を守ろうとして僕と小夜の力を借りようとしただけなんだ!」

その時お父さんは、凛空お兄ちゃんの頬を叩いた…。

あの瞬間、“凛空お兄ちゃんとはもう会えない”という事に気づかされた…。

私は、凛空お兄ちゃんが叩かれる前の時間帯まで戻したかった…。だけど、《使うな!》っていわれてる気がして使うのをやめた…。


         そのとき.

     時の歯車が落ちた音がした…。


         時は流れ…。


私の名前は“小夜”。私の家族は、今は母親だけだ。

昔はまだ誰がいた気がした…。

私のお母さんの名前は“時雨 沙織”。(旧姓:桜庭)

あの有名な桜庭家の一族で、唯一守護神を持っている。

ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー

◎桜庭家とは◎

桜庭家とは、昔から結界術に優れている家系。

危険な呪物や世界を破壊出来るくらいの強大な力を

代々強力な結界術で封印してきた。

諸説あるが、唯一これは正しいとされている。

「神々に信頼され、知恵を与えられた一族」と。

ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー

そして、私はお母さんの家系の血を濃く継いだようで、私も結界術が使えるそうだ。

「ねぇ、お母さん。」

「なぁに?」

「私って、お兄ちゃんいるの?」

「ん〜。どうかなぁ?もし、お兄ちゃんが居たとして、どうしたい?」

「会って、遊んでみたい〜!!」

この子はあの日からその前の家族で暮らしていた日々の記憶が、ごっそりと消えている。

たぶんお父さんの力が影響しているのと、

あとは、時の歯車が…。


時空の狭間とは、人が決して動かしてはいけない入ってはいけない場所。ある1人の神を除いて…。

それ以外の人が、入ると。不法侵入で“死神”に連れて行かれるとか。


『沙織…。君の娘であり、神である。“時の子”の力が、また増えたようだよ。』

「朱莉様。そのようですね…。早く、凛空を見つけないと。手遅れになりますかね…。」

『あぁ。おそらくな…。湊に気付かれぬようにやれよ。』

「はいっ。」


朱莉様というのは、桜庭家の守り神であり私一個人の、守護神である。神名“天光の神・朱莉”。

朱莉様いわく、私も神様だったらしいけど記憶がない。

記憶がないっと言っても、断片的な部分だけ残っているのだが…。

 

        ー次の日の朝ー

「おはよう。小夜。」

「おはよう〜…お母さん。今日の朝ごはん何?」

「今日はね、フレンチトーストよ。夜は神前料理だよ。」

うげぇ。今日の夜は、神前料理かぁ〜。と思いつつ

朝ごはんを食べた。

〈お肉。食べたいなぁ〜…。〉

「おはよう〜。小夜。今日一日、お肉は食べちゃいけないよ。心の中で思っててもダメじゃよ。」

「あっ!おじぃちゃん、おはよう。安心して!お肉絶対に食べないから。」

「なら安心じゃ。」

「お父さん…。今日の朝ごはんは、固形物なので喉に詰まらせないように気をつけて下さいね。」

「年寄り扱いをするな!!まだ私は45歳だ。」

私はクスッと笑った。

笑った理由は、私に対して“おじぃちゃん口調”だから

お母さんが、ワザと年寄り扱いをしている所だ。

〈それにしても、おじぃちゃん。45歳だったの!?

結構いってるかなぁって思ってたけど。全然だった。〉

 

     ー夜中・和室にて会話中ー


「あのっ!バカ婿は…。そっちの家が“空の神”を祀っているから結婚を申請したのに。離婚するとは何事か!!」

「まぁまぁ。お父さん。“空の神様”を祀っている事なんか。今、知りましたから…。そう怒らないで。」

「そもそも、契約書を交わさなければ。凛空もこっちで引き取れたんだぞ!絶対先方の家の戦略だ!!」

急に和室の中で、一気に血の匂いがして父の方をみたら吐血していた…。

「はっ!?お父さん!大丈夫!?」

「当主!今、救急車呼びましたので。安心して下さい!」

たぶん父が吐血したのは、小夜の力を抑えるために強力な結界術を施していたが前よりも小夜の力が強くなったのかもしれない。早く…凛空を見つけないと…。


        ー翌々日の朝ー


父さんは無事に昨日退院して小夜と元気に遊んでいた。

そして私は、ようやく決断した。

「お父さん。私、しばらく家を出るね。」

「?お母さん。何処かへ行っちゃうの?」

「小夜…。私ね、ちょっとだけ修行してくるね。小夜を守れるくらいの力をつけてくるからいい子で待っててね。」

「うんっ!わかった!!」

「沙織、行くのか…。よし、湊様に悟られないような結界を張っておく。気をつけろよ。」

「ありがとう…お父さん。すぐには戻れないかもしれないから小夜のことお願いね。」

「あぁ。任せとけ。」

 私は家を出る前に、家の中心部にある特別な場所で、手を合わせ礼拝をした。

 〈行ってきます!! 〉

そういった時に《いってらっしゃい》と聞こえた気がした。


『沙織よ。何処に行くつもりだい?まさか理陽人の家にでも乗り込むのか?それだったら力を貸すぞ。』

「ありがとうございます。朱莉様。でも、乗り込みはしませんよ。あと、普段からお力をお貸しください…。」

『うむ…では、何処に行くと言うのか?』

「公園ですよ。昔、小夜と凛空を一緒に遊ばせていた公園へ。あそこだったら、たぶんいる気がして…。」


 家から数十分ほど経ったくらいの場所にある。それ程大きくない公園で、予想は的中した。その公園で1人男の子が遊んでいた。

周りを見渡しても親の姿は見えない。

「こんにちは。僕、1人で遊んでるの?」

「・・・。」

『沙織…。それ不審者が言いそうな言葉、第1位の言葉だぞ。』

「いいじゃない!!別に!私だって、穴があったら入りたいぐらいこの場にいるのが恥ずかしいの!」

〈忘れちゃったかな…?そうだよね。あの日以来、会えないままだったから。〉

「こんにちは、母さん。久しぶりですね。小夜は元気にやっていけてますか?」

「凛空…久しぶりね。実はお願いがあって、この場所に来たの。」

「お願いですか?小夜のためなら。」

「小夜の力を抑えるために、一緒にまた結界を張ってくれないかしら。」

「まさか…僕と離れ離れになったのが鍵となって、小夜の力が増してしまったのですか!?」

「ええ…。そういえば、なぜ喪服を着ているの?」

「あー…えーっと…。実は何週間か前に、父さんが僕を使って時空の狭間に行こうとして、死神に連れていかれて死んでしまって今日お葬式があって…。」

「あのバカ!何やってるのよ!!時雨家なら、それがどれほど禁忌か分かっているはずよ!」

「でも、いいじゃないですか。これで自由になったんですよ!」

 凛空の表情を見るに、今まで苦労してきたのだろう。たぶん理陽人のせいだ。

でも、あの頃の優しい凛空には戻らないだろう…。

その事だけは、確信してしまった…。

『おい!沙織!!しっかりせぃ!!』

「朱莉様…っ。」

『お主が、息子と会話している間にちょいと探ってみたのだが…。お主の目の前にいる此奴は息子でもなんでんもないぞ!』

「えっ!?それはどう言う事ですか!?」

『たぶんその辺にいたお主の息子に似た子供に霊を捕まえて邪悪な石で悪霊に変換させ植え付けておる。』

「そんな…可哀想なことを。一体誰がやっていると言うのですか!?」

『理陽人の守護神である“湊”だ。おそらくお主が動いたのを気付かれたのかもしれん。』

「そんな…。気づかれないように、父に結界を張ってもらったのに無意味ってことですか!?」

『あぁ。』

 だとすると、家にいる小夜と父が危ない!!でも、

ここから離れれば他にも被害が出るどうすれば…。


 どこからか聞き覚えのある声が…。


[ 時よ 戻りたまえ 祓えたまえ 空よ 

 銀河の輝きよ 我は望む この者の時間の遡りを

 我の名は“空の子”なり この者を除霊したまえ ]


 その瞬間…霊が笑顔で天に昇って行くのが見える。

さらに口元を見ると“ありがとう…助けてくれて。”と呟いていた。


「母さん!大丈夫ですか!?」

「凛空なの?本物の凛空なの?」

「もう僕のことを忘れてしまいましたか?“時雨 凛空”ですよ!」

「よかった…。」

 私は、その場で泣き崩れた…。朱莉様は、こちらを見て呆れた顔をしていらしたが、〈しょうがなくないか〉と思ってしまった。

「最近、多いんですよ!こういう事件が…。」

「こういう事件?」

「あの日の父さんがおかしかったので、母さんの家の方のおばぁちゃんにお祓いしてもらったら悪霊が憑いてたんです!」

「その悪霊が、今回の事件と関わりがあるという事?てか、おばぁちゃん(母さん)も共犯だったの?」

「ごめんなさい…秘密にしてて。でも、そうしないと母さんや小夜が危ないと思って。」

「良いのよ。お父さんは大丈夫なの?」

「はいっ。昨日、酒の飲み過ぎ以外は大丈夫です。」

「あの人も、相変わらずのようね。」 

「とりあえず家に帰って、父さんに報告しておきます。これからの事は、追って連絡します。」

「ありがとうね。」


 この世がもっと危なくなったのは、過去の出来事が原因なのかそれとも“湊”と言う父さんの守護神が現れてからなのかがイマイチ分からないままだ。

 

       そして…。

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