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エッセイ

小説が書けないってことをひたすら愚痴るだけのエッセイ

作者: 江古左だり

 小説が書けない。


 悲しいくらい書けない。日に日に書くことができなくなっている。


 今私はありとあらゆる手を使ってなんとか文章を捻り出そうとしている。


 その『過程』をみなさまに見て頂こうというのがエッセイの趣旨だ。


 Twitterで『書けない書けないああ書けない』って愚痴ったら「それをエッセイにしてみては?」とご提案いただいたのでしたためております。



 ◇



 見本として『桃太郎異聞』という話を考えました。エッセイを書くためだけに考えたので本編ありません。ご了承ください。


『私はこのように小説を書いていますよ』という見本です。



 ◇





【適当にシーンを書く】

=======================

「思い出したぞ! 私はお前に育てられたのに。お前を『父』と呼んでいたことが心の底から恥ずかしい」

「鬼の首を持って帰らないと、故郷の婚約者に会えないワン」

「ウッキー! みんなまとめて片付けてやるっキー!」

「もう桃太郎ったら知らないんだから!」

=======================


 このように『見せ場』だけをバラバラに書いていく。思いつくのは『散歩』『皿洗い』『風呂場』などだ。同じ動作を繰り返す(リズム運動)中に思いつくことが多い。

 思いついたら即メモを取る。すぐ忘れるからだ。


 《17年前にはこの段階で小説が書けた。『見せ場』だけを繋げて文章を入れ替え、あとは隙間に説明文を書いていればできた》








【箇条書きのプロットを書く】

 エピソードを箇条書きに書く。

 《2年前はこの段階で書けた。頭の中で全て場面が漫画絵になるので順番にそれを書いていけばOKだった》


=======================

 ◾️桃が流れてくる

 ◾️桃太郎誕生

 ◾️犬、猿、キジを仲間にする

 ◾️鬼ヶ島に到着

 ◾️鬼をやっつける

 ◾️宝物を持って帰りめでたしめでたし

 ◾️桃太郎と孔雀日女の結婚式

=======================







梗概こうがいを書く】

 まだ書けない。『全体を見通してないからだ』と思ったので『梗概』を書いてみることにした。


『梗概』とはあらすじのこと。WEB小説における『あらすじ』とは宣伝文(物語の見せ場や、セリフ)であるが、これは作者本人しか見ないため淡々と起承転結を書く。ネタバレも入れる。


=======================

 おばあさんが川で桃を拾うと、中から元気な3歳くらいの子がでてきた。今までのことは何も覚えていない。長じるにつけ、鬼の悪行から村を救おうと決心する。犬、猿、キジを仲間にして鬼ヶ島へ。鬼と戦ううちに過去の記憶が蘇り、鬼の頭領に育てられたことを思い出す。桃太郎は葛藤するが、正義のため頭領を討ち取った。頭領は死ぬ間際に桃太郎を拾ったときの話をし、『桃の宝珠』を桃太郎に返す。


 宝物を持ち帰る桃太郎一行。


 ◾️犬は『鬼の首』

 ◾️猿は『桃太郎の村という居場所』

 ◾️キジは『桃の宝珠』


 を取り戻し、全員幸せになる。


 キジは孔雀日女に戻り褒美として人間の体を手に入れ桃太郎と末長く幸せに暮らしたのだった。

=======================


 やーもうここまで書いたら書けるでしょと思ったのに書けない! なんでや! もうええやろ!






【詳細なプロットを書く】

『たぶん長いのが悪いんだ』と思ったので、シーンごとに細かく切ることにした。

 工程を分けることによって文章一回の負担を少なくする作戦だ。


=======================

 ◾️桃が流れてくる。

 ある日おばあさんが川へ選択に行くと桃が『どんぶらこ どんぶらこ』と流れてきた。

 おばあさんはとっさに着物のはしを結びつけて桃を拿捕する。なんとか桃を川岸に引き上げると、家に持ち帰った。桃を斧で切ろうとした瞬間、光とともに桃が割れる。中から3歳くらいの可愛らしい男の子がでてくる。


(これをエピソード分全部書く)

=======================


 はい! ここまで詳細にシーンごとのプロットを書きました。もう書けるでしょ。さすがに書けるでしょ。


 ………………。


 …………………………。



 書けねぇ〜〜〜〜〜〜〜〜っ。






【書けるシーンから書く】

『最初から順番に書こうとするから詰むんだ』と思い、盛り上がるシーンから書くことにした。


=======================

 キイン!


 冷たい音がした。

 村の人々の苦しみを集めて凝固させた『パワー』が禍々しく妖刀にまとわりつく。


『世界で一番オレのおっとうが強い』


 誇りに思っていた男が今目の前の自分を殺そうとしている。


 鍔迫つばぜり合いになったが、どちらも引かなかった。


 憎しみと相反するように桃太郎から涙がこぼれ落ちる。


「カカカカッ! あいも変わらず弱い餓鬼ガキだ!」


 頭領が嘲笑った。


「どうして……あなたはどうして……」


 桃太郎は涙を拭かず刀の向こうの父を睨んだ

=======================


 はい! いいんじゃね!?

 この調子で書いていこー!


 だがそれ以降筆が進まなくなる。







【キャラクター表を書く】

『キャラクターの輪郭がハッキリしてないから、キャラが動いてくれないんだ』と思ってキャラ一覧を書いた。


=======================

 ■桃太郎

 神の幼生であったが、鬼に育てられる。3歳のときに『神の印』がでたため、鬼に記憶を封じられ殺されそうになる。間一髪のところ孔雀日女に助けられ桃の中に匿われる。鬼の追跡から逃れるため川に流された。

 面立ちの爽やかな若者に成長。正義感が強いが対応はあくまでクール。

 本名【桃桃桃邇邇芸命】


 ■犬

 元気で正義感いっぱい。

 由緒ある一族の血統で、成人の儀式のため修行に出された。成果(鬼の首)を持ってこないと家に帰れない。

 思い詰めると独断専行に走りがちであり、良かれと思ってやったことが桃太郎一行をピンチに陥れる。戦闘以外はがっしりとした肩幅の侍姿。

 必殺技は『噛みつき、吠え声』


 ■猿

 コミックリリーフ。

 犬と反対にイタズラが過ぎて村を追い出された根無草。気楽。だいたいふざけたことを言って、桃太郎たちを和ませる。戦闘以外はひょうきんな召使いの姿。

 自分が永住できる居場所を探している。

 必殺技は『引っ掻き』


 ■キジ

 桃太郎を助けた天女『孔雀日女くじゃくひめ

 正体を隠してキジのフリをしている。ときどき真の姿を表し(天女)桃太郎たちを導く。

 桃太郎と両片思い。桃太郎を導く天女のときは絶世の美女だが、人間に変化へんげすると5歳くらいの幼女になる。実は桃太郎とくっつかないため天より枷をかけられており、近くにいるときは大人の姿になれない(←萌えポイント)戦闘以外は桃太郎の背中にしがみついている。

 桃太郎が地上に落ちたときに紛失した天の宝『桃の宝珠』を探している。

 必殺技は『幻惑』

=======================


『だいぶハッキリしたぞ』と嬉しかったがまだ書けない。






【大前提を書く】

 こぴーらいたー作家@風倉さんという方がTwitterに書いてくれたことを当てはめてみた。


『明快なビジョンがないから書けないんだ』と思ったからだ。


=======================

 ■満足させたいターゲット層

 15歳〜25歳。男性。割とアクションが好きな層。


 ■ターゲットに味合わせたいメイン感情

「桃太郎かっこいい〜!」

「技すげぇ〜〜!」

「親子愛泣ける〜!」

「ひめちゃん萌え〜!」


 ■ターゲットに味合わせなくない感情

 かっこ悪い


 ■物語の空気感

 前半は明るく、鬼ヶ島に入ってからはシリアス


 ■理想的展開

『連載希望』って言ってもらえること


 ■想定文字数

 3万字


 ■作品テーマ

 従来の桃太郎に『神話的要素』や『親子間の葛藤』などを絡ませることによって、深みや重みをもったバトル漫画的な小説として再構築する。

=======================


 よ〜し! ええで〜!!

『さすがにここまで書いたら書けるやろうが』って思いました。書けないんです。オッソロシイ〜。





【地の文を無視してセリフを書き出す】

 →NEW!


『会話文』なら無限に書ける。地の文が苦手。シナリオを書くように場面を書いていけばいいんじゃね? という作戦。

 地の文は後から入れればいいじゃん。


 →悪戦苦闘中。



 ◇



 ちなみに私は『なろうラジオ大賞』に応募するため『1000字小説』も書いており、こちらはプロットすら立てない。いきなりスマホに文字を打ち始める。


 結末を考えずに『見通し』だけで書いているので、途中で結末が変わることもある。


 なのでもういっそ1000字で小説書けば? と思うのだが、1000字だから簡単なわけではないんで。つうか消化不良でも出さなきゃいけないのが1000字小説なんで、書いたあと『あと200字欲しかった』と泣くのが1000字なんで。


 1500字くらいで書こうかなと思っております

٩( 'ω' )وイエイイエイ!



 ◇



【Twitterの反響】

『文豪の作品を読んでみては?』

『いっそのことこの窮状をエッセイにしてみては?』

『つぶやきで書いてみては?』

『あらすじをどんどん拡張していけば?』


 などなどご提案いただきました。


 あと『酒を飲む』って方法があるんだけど、私下戸なんでやらない(やれない)

『イラストを描く』て手もある。イマジネーションを高めるためにはかなり有効なんだけど、絵が描けないんで無理。


 もういい加減文章の神様降りてきて〜。

。゜(゜´ω`゜)゜。


 てなわけでなんの救いもなく放りっぱなしでエッセイ完!


書けないっ!!



 *『桃太郎異聞』は掲載されません。

 *書いているのは全然別の話です。

こぴーらいたー作家@風倉さん

https://twitter.com/kazakura_22/status/1674339951184584705


☆お☆ま☆け

【梗概】と【あらすじ】を見比べてもらうため【あらすじ】も書いてみました。

【梗概】は作者本人が起承転結を理解するためのもの。【あらすじ】は読者に対する宣伝文です。


【あらすじ】

=======================

「鬼の首を討ち取って必ずこの村を平和にしてみせます」


 桃から生まれた桃太郎は16歳になった日、おじいさんとおばあさんに誓った。


 旅の途中で犬、猿、キジを仲間にすると天女『孔雀日女』に導かれ鬼ヶ島にたどりつく。


 そこで桃太郎はある記憶を思い出し、一行は大ピンチに陥る。




「鬼の頭領……あなたは……あなたは……!!」




 猿の爪がうなり! 犬が鬼に噛みつき! キジが鬼を惑わせる!!


 手に汗握るバトルアクションストーリー!!




ーーー桃太郎は闘いを通して真の姿を取り戻すーーー


=======================


『面白かった!』『スランプあるある!』と思ってくださった方は下にある応援ボタン(☆☆☆☆☆)を押してもらえると励みになります!ヽ(*^ω^*)ノ


【エッセイ】日間1位☆週間1位☆月間16位☆四半期70位☆感謝☆☆


たくさんのご提案ありがとうございました〜。

↓↓無事書けたので貼っておきます↓↓


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書けなかった小説はこちら『丸鼻こと興梠不律がざまぁされるまで』 桃太郎の『も』の字もないです。
― 新着の感想 ―
[良い点] わざわざお気遣いありがとうございます(o・ω・o)。 萌えをお伝えできればノープロブレムです(*´・ω-)b。
2024/02/08 01:39 退会済み
管理
[良い点] 実は桃太郎とくっつかないため天より枷をかけられており、近くにいるときは大人の姿になれない(←萌えポイント) 15から25歳でも男性でもないのに萌えてしまいました(。>д<)。 …
2023/12/07 04:54 退会済み
管理
[一言] 未来屋 環様の割烹から来ました。 ここまでやっても書けないのか、という驚きがまず最初。 そして、例題として描かれている内容のクオリティの高さ。 これはこれで是非作品として読みたいって思い…
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