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プロローグ
悔いを残らないようにとよく言っていたものだがそう心がけて生活していても、こうもあっさり生命が飛ぶとそりゃあ後悔があっても仕方ないだろう。
渡ろうとした交差点の数十メートル先でコンクリートの冷たさを文字通り全身で体感した。痛みは無い。だが体は動かず意識も遠くなっていた。眠さとはまた別の、抗うことの出来ない不思議な感覚。
(...死ぬって案外心地いいもんだな)
遠のく意識、なくなる感覚。僕はもう天命に身を任せ死を受けいれた。
だが、この期に及んで一つだけ気がかりなことが出来てしまっていた。
「しま.....った....。...あし....た....みずきと.....ライブ...に....いくやくそ....く...が...」
世のどんな遺言よりこれ以上ダサいものは無いだろうと思いながらそこで息絶えた。
はずだった。