天才だけどヤキモチ焼きな婚約者に浮気相手を殺すと言われたけど、私、絶対に浮気なんてしてませんからね!
「なぁ、メロディアーナ。お前、俺のこと、本当に好きか?何か俺に隠してることがあるんじゃないか?」
ランチを楽しむ生徒たちで溢れる貴族学園の中庭で。メロディアーナは真剣な顔で問い詰めてくる婚約者を、キョトンとした顔で見つめ返した。
「ジーク、急にどうしたの?隠し事なんてないけど」
両手には図書館で借りてきた分厚い魔術理論の古書。一刻も早く続きを読みたい。けれどジークの真剣な表情が、適当な返事では誤魔化されないと告げていた。
「最近、やけに冷たくないか?図書館通いなんてして。俺と別れて別の男と付き合うつもりじゃないのか?もしお前に他に好きな男がいるのなら……」
「いるのなら?」
周りからゴクリとつばを飲む音が聞こえる。
「まずはそいつを闇に葬るから教えてくれ」
衆人環視の中で何を言っているのだ。ジークの言葉にメロディアーナは思わず吹き出した。
「闇に葬ると言われて、名前を言うと思う?」
むろん、他に好きな男なんかいないが。けれども否定するより早く、ジークの体からゆらりと漆黒の魔力が立ち上る。
「いるんだな。相手は……誰だ」
ヒッと声を上げ、後退る人たち。魔導王国四大公爵家の嫡男であり、魔神に愛されし戦いの天才であるジーク。だがその強すぎる力は、憧れとともに人々の畏怖の対象でもある。
だからメロディアーナは日々、ジークの強すぎる魔力をコントロールする方法を探していた。まぁ、すでにひとつ答えは見つかったのだけど。
「め、メロディアーナさまっ!」
周りからの懇願の声。ああ、またあれをやらなければならないのか。メロディアーナは頭を抱えた。
魔神のごときジークを鎮められるのはただ一人。彼の愛する聖女だけ。
メロディアーナは荒ぶるジークにそっと近付くと、真っ赤な顔でキスをする。
「……愛してるわジーク」
瞬間、黒い魔力は嘘のようにパッと晴れる。
「そ、そうか!そうだな!」
にこにこと微笑むジークに周囲から安堵の声が上がる。
キス以外にないものか。毎回恥ずかしくてたまらない。けれどもどんなに探しても、それ以外の方法はみつからない。
───なぜなら彼女もまた、愛の女神に愛された聖女なのだから。
こうして魔神を鎮める聖女として、毎日愛する彼にキスを捧げるメロディアーナなのでした。
おしまい
四月咲香月様から、素敵なFAをいただきました〜(*^^*)
メロディアーナ嬢
メロディアーナ嬢バストアップ
恥ずかしいけどっ!
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