第1話『偶然の出会い』
初連載作品です!完結予定の中編(?)です!
よろしくお願いいたします!
『今から始まるのは、ありふれた恋物語のひとつ。生徒と先生の恋のお話』
『あ、私?私はいわゆる天の声よ。”てんちゃん”って呼んでね!』
『ちょいちょい出てくるからよろしくね!』
『さてさて、面白そうな恋バナみたいだし、一緒にのぞいてみちゃいましょう!』
『では、はじまり~はじまり~!』
〇小野家・朝
ジリリリリリリリ……!!
朝の訪れを告げる、目覚まし時計の音が鳴り響く。
「…ん…んん……あぁもうっ!うるさいっ!!」
寝ぼけ声を出した女の子はドンッ!と目覚まし時計を乱暴に止めた。
寝ぐせが着いた髪をかきながらうだる気に起き上がる。
「いま何時……って、もう7時半!?学校遅刻しちゃうってやっばい」
ばたばたと支度を始める。
髪を簡単に整えて、パジャマから制服へ着替えて、学生カバンをつかんだ時、
「まなとー、ご飯できてるわよー」
階下から母親の声が聞こえてくる。
「いまいくー!」
焦ったように答えると、階段をどたどたと駆け足で降りていく。
リビングに駆け込むと、待っていたのはあきれ顔の母親だった。
「おはよう、まなと。今日も朝からバタバタねぇ」
「なんで起こしてくれなかったの?!」
「ちゃんと起こしたわよ、3・回・も!そのたびに『あと5分~』とか言ってたのはあなたよ」
「え!?ほんとに!?ごめん!遅刻するからもう行く!えーと…パンだけでも!」
「あ、こら!またお行儀が悪い!」
母の忠告も何のその。パンをくわえて走り出す女の子。
朝からバタバタな毎日は、小野 まなとにとっては当たり前の日々だった。
「ひ(い)ってきまーふ(す)!!」
〇通学路・朝
全力で駆けていくのは小野まなと。
友達に見られたら”めっちゃガンダじゃんw”と言われるのは必至だ。
「やばいやばいやばい。ほんとぎりぎりだ。急がないと…」
まなとが所属しているテニス部の顧問は遅刻にとてもうるさいのであった。
もし遅刻でもしようものなら厳しい叱責はもちろん、追加練習が課されるのはほぼ確定なこともあり、走り疲れ以上に顔色を悪くしているまなと。
下り坂で走るスピードが上がる。
下り坂の先は見通しの悪い交差点。
いつもならちゃんと確認して進むのだが、今のまなとにそんな余裕は1ミリもなかった。
とすれば、起こる事は必然とお分かりであろう。
「……えっ!?あ、あぶない!!」
「え、おい、あぶな!?」
人とぶつかったのである。
ぶつかった二人は仲良く尻もちをついた。
ぶつかられた男性がぶつかるときに上手く受け身を取ってくれたのか、まなとが駆けてきたスピードの割にはまだ平和な結果だった。
「いったぁい……。あっ!大丈夫ですか?ほんとごめんなさい……」
「いてててて……おい危ないだろ!」
謝るまなとに対して、きちんと注意する男性。
そんな男性は何かに気づくと、いきなりパッと勢いよく視線をそらした。
言わないわけにもいかないと思ったのか、どこか言いづらそうにまなとに伝える。
「……って、おい……見えてるぞ……」
「えっ……って!あああっっっ!?!?!?!?」
サッと隠して立ち上がり、ぶつかった以上に涙目なまなと。
「パンツ見られたぁほんと最悪……。おじさん、ぶつかったのこれでチャラね!……ってほんとにまずい!間に合わない。急げ~」
「あ、おいちょっと……。行っちゃったよ。」
男性は勢いよく駆けていくまなとの後ろ姿を呆然と見つめた。
お互いケガもなかったし、まぁこれ以降会うことはないだろうと思い、不幸な出来事を自分なりに整理するために深くため息をついたのであった。
「ふぅ……お互いケガがなかったからよかったものの。というか、おじさんはないだろおじさんは……」
少し老け顔なことは自覚はあるが、まだお兄さんの年齢である男性にはダメージが大きかったのはそっちであった。
落としたカバンを拾おうとしたとき、目の前に手帳のようなものが落ちていることに気づいた。
「ん?これはあの子の生徒手帳か?……って、おいまじかよ……」
まなとの生徒手帳だったが、そこに書かれた学校名を見て、男性はさっきよりも深く大きくため息をついた。
この後に絶対に起きるであろう、大きな面倒事を想像してしまったから……。
『はい!さっそくてんちゃん登場よ!』
『それにしても、なんという予想通りのベタすぎる展開……』
『さぁ、この出会いは果たして運命の出会いになるのでしょうか……?』
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