表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
幻想怪盗団~罪と正義~  作者: 陽菜
15/42

七章 ハッカーからの挑戦状 後編

 次の日、依頼が溜まってきていたのでアザーワールドリィに入ることにした。

「あれ?またゲンソウナビが……」

 また行けるところが増えたようだ。ターゲットの気配も遠くから感じる。

「とりあえず、進んでみるか……」

 エネミーを倒しながら進んでいくと、やはり壁が立ちふさがっていた。

「ここか……」

 前に立つと、その壁が開いた。まるで主の帰りを待っていたような感じだ。

(……主?)

 なぜかその言葉が引っかかったが、気にするほどでもないとジョーカーは車で先に進んでいく。

 何度か戦って、少し疲れが見えてきたのでアテナが運転を変わってくれた。

「そういえば、なんでジョーカーは運転出来るの?確か、まだ十六歳よね?」

 アテナが不思議そうに聞いてきた。それに答えたのはマルスだ。

「あぁ、こいつ、ゲームではやったことがあるんだと」

「ゲーム……え?それで出来るものなの?」

 アテナが驚いたようにさらに質問するが、マルスは首を横に振る。

「いや、多分こいつが特殊なだけだ。俺は出来ねぇ」

「失礼だな。ちゃんとゲーム画面を見てれば分かるぞ」

「どんなゲームしてたんだよ……」

 どんなゲームって、クラスメートに借りた至って普通のゲームだが。

「君ならいろんなゲーム出来そうだな」

「そうでもないぞ。乙女ゲーム?はしたことないし」

「あー。ジョーカーってそういったゲーム苦手そうだね」

「人の心情を読むのは苦手だからな」

「そう?むしろ得意そうなイメージだったけど」

「いや、なんて言うか……感情の起伏が乏しい上鈍感らしいからな、オレは」

「乏しいとか鈍感どころじゃねぇだろ、お前の場合……」

「いや、こいつ意外と感情の起伏あるぞ。近くで見たら分かるな」

「マジで?……あー、全く分かんね」

「今は変えていないんだから当然だろ」

 車内でこんな会話をしながらどんどん先へ進んでいく。

「そういえば、アテナって受験勉強とか大丈夫なのか?三年生だろ?」

「私は大丈夫よ、模試でも上位だし。むしろウェヌスとマルスの方が心配だわ」

「あぁ、確かにそれは言えるな。オレも心配している」

「一応、凛条高校は進学校だろう?大学行けるのか?」

「やべ……そんなこと考えたことなかったわ……」

「あたしも……」

「お前ら……少しは将来考えろよ……」

 こうして見ると、やはり高校生の集いだ。いや、テュケーは高校生なのか分からないけれど……知識量や理解力から見てそれぐらいではないだろうか。まさか自分がその集団に囲まれることになるとは思っていなかった。

 それと同時に、こんな子供が「正義」というあいまいな定義を証明出来るのかという心配もある。しかし、一度やり始めたのだからもう後戻りは出来ない。

 少しの不安を抱えながら、ジョーカーは依頼をこなしていった。


 夜、ヨッシーが心配そうに聞いてきた。

「お前、あっちに入った時辛そうだぞ?」

「何が?」

 前言っていたことだろうか?だとしたらよく分からないというのが正直な感想なのだが。すると彼は「お前、身体とか辛くないのか?痛かったりとかよ……」と言われたので蓮は驚いた。

「……なんでそれを?」

 相変わらず、幻想世界に入った時は全身が痛む。もはや気のせいでは済ませられないほど。でも、それは表に出さないようにしていたのに。

「お前、時々動きにくそうにしているんだよ。気付いていないかもしれないけどよ」

「そうなのか?」

「だから聞いてるんだろ?まさか図星だとは思わなかったけどよ」

 はぁ、とヨッシーはため息をつく。本当にこの少女は自分のことに関しては無頓着なのだから。

 蓮はヨッシーになら話してもいいかと思い、あの世界に行くと全身が痛むことを話すと彼は驚いたようだった。

「それ、本当に大丈夫なのかよ?」

「今のところは特に支障は出てないよ」

「そういう問題かよ……」

 それならあまり無理してほしくはないというのがヨッシーの本音だが、彼女は怪盗団の切り札でどうしても必要な存在だ。それに支障がないというのなら今のところは平気か……とヨッシーは割り切ることにした。


 次の日の放課後、開原に呼ばれたので蓮は保健室に向かった。

「失礼します」

「どうぞ、入って」

 中に入り、定位置に座ると開原は「早速で悪いんだけど、質問に答えてほしいんだ」と言ってきたのでその通りにする。質問に答え終えると、彼は感心したように呟いた。

「へぇ……君って強いんだね」

「そうですか?」

「うん。君はどんな理不尽な出来事にも前を向いている。大人でもなかなか出来ないよ、そんなこと」

 確かに、理不尽な出来事に直面すれば誰だって折れてしまうだろう。蓮だって実際はそこまで強くない。

「やっぱり君と話すと有意義な時間を過ごせるよ。ありがとう。これ、帰ってから食べて」

 開原から袋菓子とクッキーをもらい、蓮は帰路についた。


 夜、そういえばとあの占い師のところに行ってみた。

「あ、あなたはあの時の……」

「こんばんは。ちょっと興味があったから……」

 彼女はタロット占いを専門としているようだ。机にはタロットカードが並んでいる。

「いいですよー。私は早坂 千歳と言います。名前はなんですか?」

「成雲 蓮です」

 正直に答えると、ヨッシーが顔を出した。

「おいおい……そこは当ててもらおうぜ?」

「あら?ネコちゃんを連れているんですね」

「ネコじゃねぇ!」

 シャー!と威嚇するものだから蓮は慌ててカバンの中に押さえ込み、「ごめんなさい、うちのネコが……」と謝った。「ワガハイはネコじゃねぇ!」とカバンの中から聞こえてきたが、気にしないことにした。

「ふふっ、面白い人ですね。何を占ってほしいとかありますか?」

「何が占えますか?」

「うーん……じゃあ、とりあえず初心者コースにしますね」

 そう言って彼女はカードをめくり始めた。

「ふむふむ……金運がいいみたいですね。早く家に帰った方がいいかもしれません。あれ?でもこの配置……少し不穏ですね」

「不穏?どうしたんですか?」

「囚人……牢屋……更生……?あー、それにこのままいけば近い内に死んでしまいますね」

 死ぬって……そりゃあ怪盗稼業をやっているから死ぬ覚悟は出来ているけれど。

「ここまではっきり出ている人は初めてですね。こうなるともう運命は変わりませんね」

 死んでたまるかと心で思っていると、別の客が来た。

「あの……いいですか?」

「あ、はい。いいですよー」

 蓮はその客に席を譲り、遠くから見ていた。

 その客はどうやら上司の仕打ちに耐えかねて、早坂に聞きに来たようだ。彼女の占いはよく当たるという。そんな彼女の占いによるとこの客は今の仕事をやめないともっとひどい目に遭うようだ。

「あの、成雲さんならこういう時どうしますか?」

 急に話をこちらに振られ、蓮は考える。自分ならどうするか……。

「……ボクならめげずに仕事を続けますね。いざとなったら上司に喝を入れます」

「え、でもそんなことしたら……」

「……そう、ですね。わたし、もう少し頑張ってみます!」

 そう言ってその客は去っていった。

「あ、ちょっと……!はぁ、そんなことしても、運命は……」

 彼女が先程の客をもう一度占ってみると、信じられない結果になっていたようだ。

「え……!?変わってる……!こんなことって……!」

「どうしました?」

 蓮が聞くと、早坂は疑うような目を向けた。

「あなた、超能力者か何かですか?」

「ボクにそんな力はありませんよ」

 成雲家には「癒しの力」をはじめ様々な能力が伝わっているが、蓮に他人の運命を変える力は持ち合わせていない、ハズだ。しかしそれでも彼女は疑っている。

「だって、おかしいですよ!こんなこと……信じられません!なんでなんですか?」

「いや、ボクに聞かれても……」

「成雲さん!あなたの力が本当かどうか検証させてください!どんな占いでもしますから!」

 なんかもう、何かしらの力がある設定で進んでいるし。でも、占いの力が使えたらいいかもと考え直す。

「……分かりました。時間がある時にですよ?」

「ありがとうございます!」

 頭の中に「運命の輪」という言葉が浮かんだ。彼女も協力者の一人だったようだ。

 早坂と電話番号を交換して、蓮は帰った。

 家に帰り、少し片付けをしているとなぜか段ボールの中に五千円が入っていたので早坂の占いがよく当たるというのは事実だと分かった。


 次の日、ファートルで珍しく朝食を摂っているとあるニュースが聞こえてきた。

『次のニュースです。世界的ハッカー集団のアヌビスが怪盗団に向け挑戦状を出しました。それによると、この挑戦を受けなければ全国民の個人情報を流出すると言ったもので……』

 これを見ていた蓮は驚いたように目を見開いた。と言っても藤森は気付いていないのだが。

「はぁ、また「怪盗団」かよ……」

 まさかその怪盗が目の前にいるとは思うまい。

「迷惑な奴らだよな、なんで市民がこんな目に遭わなければいけないんだよ……」

「……そうですね」

 明らかに自分達のせいなので何も言えない。

「お前も早く学校に行きな。面倒ごとに巻き込まれないようにな」

「はい、ごちそうさまでした」

 もう面倒ごとに巻き込まれてるんだよな……と思いながら蓮は学校に行った。


 放課後、連絡通路に集まり、話し合いをする。

「おいおい……大丈夫なのか?ハッカー集団から挑戦状が来るなんてよ」

「大丈夫じゃないからこうして集まっているんだろ」

 さすがの蓮でもこの事態は想定外だ。明らかに専門外である。

「これは参ったな……ハッカーに対応出来る人間がいない」

「さすがに知り合いにいないぜ」

 当たり前だ。いたら逆に驚く。

「でも、皆の個人情報を流出させられるのはさすがにまずくない?」

「だから困っているのよ……応援チャンネルでも皆の必死さが伝わっているわ」

 これは大変なことになったと頭を抱える。

「なら、城幹の時みたいに情報収集でもするか?と言っても、今回ばかりはそこまで集まるとは思えないが」

「そうだね、アヌビスに関する情報収集は難しいかも……」

 ハッカー集団ともなると情報はほとんど得られない。なぜならそういう集団に限って情報が漏洩しないものだからだ。

 どうしたものかと頭を悩ませていると、電話がきた。相手は島田からだ。

「もしもし、どうしたんだ?島田」

『成雲、ぼくに手伝えることなら何でも言ってくれ!』

「……急にどうした?ボクはまだ何も言ってないぞ」

『だってあのアヌビスだよ?怪盗団なら世界的なハッカー集団を前に正義を見せてくれると信じているんだ!』

「そんなこと……いや、それなら丁度頼みたいことがあるんだ」

『何?何でも言ってよ』

「そのアヌビスについての情報が欲しい。調べられるか?」

『任せてよ。期待に添えられるかは分からないけどやってみる』

「それなら任せた。確か、二十日が終業式だよな?その時までに出来るだけ集めてくれ」

『じゃあ、放課後裏庭で情報を渡すようにするね』

「ありがとう。それじゃあ」

 電話を切ると、風花が「誰から?」と聞いてきた。

「あぁ、島田からだ」

「いいのか?堂々と頼んで」

 裕斗が不安げに尋ねると蓮は「あぁ、大丈夫」と答えた。

「どうせあいつにはボクの正体、知られてるし」

「それは大丈夫なのか?」

 裕斗が心配そうに尋ねるが、蓮は動じない。

「大丈夫。あいつは味方だから。それに、怪盗応援チャンネル作ったの島田だぞ?」

「そうだったのか?初めて聞いたぞ……」

 そういえば話していなかったなと思い出す。

「というか、良希や風花はともかく、むしろボクが怪盗だといまだにバレていないのが不思議なくらいだし」

「どうしてだ?」

 首を傾げる彼に蓮はヒントを出す。

「……初めて怪盗団騒ぎがあったのは?」

「四月後半から五月初めぐらいだな」

「ボクがこっちに来たのは?」

「四月前半だったか?」

「つまり?」

「……丁度時期が重なってるな。確かに、一番怪しまれてもおかしくない」

「そういうこと。だから学校生活も、今まで以上におとなしくしていないといけないんだよな……」

 実はこれがかなりの苦であったりする。優等生を演じることは慣れているが、たまには羽目を外したい。それが唯一出来るところが幻想世界なのだが。

 と、今はそんなこと考えている場合ではないのだ。

「……ハッキング、一か月で覚えられると思う?」

「やめておきなさい。あなたなら出来そうな気がするけど前歴あるんだし、見つかって捕まったら今度こそ少年院行きよ」

「そうだよな……」

 さすがにそこまで危険を冒したくはない。城幹の時でさえギリギリだったのに、さらに問題を起こしたらどうなるか分からない。

「……とりあえず、一時は様子見か……」

「それがいいだろうな。こちらも作戦をたてた方がいい」

 と言っても、ハッカーか……こちらにも対抗する術があればいいのだが。

 ――まさかここでも偶然と思えないことが起こるとは思っていなかった。


 木曜日と金曜日は良希や風花などと絆を深め、夜は敷井の治験につき合ったり金井のバイトをしたりしていた。そんな中、気になる情報が入った。どうやら藤森には息子がいるというのだ。もちろん、蓮はそんなこと知らない。

 そして藤森は、その息子と会ってほしいと言うのだ。

「え、急になんで?」

 急な展開に頭が追いつかない。すると彼はため息をつきながらこう言った。

「なんでか分からないが、お前に会いたいんだと。ったく、あいつどこでこいつのこと知ったんだか……あぁいや、お前のことを信用してないわけじゃない。ただ、あいつは極度の引きこもりでな……本当は高校一年になるハズだったんだが、いろいろあって外には出られないんだ。ほとんど部屋に引きこもっている」

 引きこもり……外に出られない……それは相当酷いのではないだろうか?なんでそんな子が自分にコンタクトをとりたいと思ったのだろうか。

 でも断る理由もないので蓮は「分かりました」と頷いた。


 次の日、蓮は初めて藤森の家にあがった。

「失礼します……」

 靴を脱ぎ、リビングに通される。意外と綺麗に整理されていて、確かに男性の一人暮らしだとは思えなかった。

「そういえば、お店は?」

「あぁ、俺は戻るから二人で話しとけ。なんか、二人で話したいんだと。飲み物は冷蔵庫に入ってるし勝手に食事も作っていい」

 引きこもりの子と、二人で……。初対面の自分に打ち解けてくれるだろうか?心配なのだが。

 そんな蓮の心配をよそに、藤森はファートルに戻っていってしまった。仕方なく、蓮はソファに座る。

「……ヨッシー、大丈夫だと思う?」

「分かんねぇよ……というよりお前、年下苦手なのか?」

「いや、むしろ好きだよ?大人と違って純粋だし」

 ヨッシーと話していると、足音が聞こえてきた。そちらを見ると、そこにはぼさぼさした藍色の髪の男の子が立っていた。

「こ、こんにちは……」

「こんにちは。とりあえず、こっちおいで?」

 優しく言うと、彼はおずおずといった感じに蓮の隣に来て座った。その水色の瞳はどこか怯えているようだった。

「え、えっと……その……」

「どうしたの?」

 ゆっくり話して、と言うと彼は蓮を見た。

「ま、まずは自己紹介からだよね!ぼ、僕は海野 りゅうって言うんだ!」

「ボクは成雲 蓮だよ。……あれ?」

 そこで違和感に気付く。今、彼は「海野 りゅう」と言った。でも、彼は確か藤森の息子だから「藤森 りゅう」のハズだけど……?

「あ、驚いたよね……僕、今は藤森って苗字なんだけど……お母さんがいた時の苗字が「海野」だったんだ」

「お母さん?……もしかして、君は養子なの?」

「うん……両親がいなくなって、しょうへいに引き取られたんだ」

 しょうへいって……養父を呼び捨てで呼ぶほど仲がいいのだろう。藤森はいい人だから。

「そうなんだ……お母さんは好きだったの?」

「うん!お母さんは女手一つで僕を育ててくれたんだって。それでね、ある研究員もしていたんだ。でも……」

「でも?」

 蓮が聞き返すと、彼は俯いた。

「……お母さん、二年前に目の前で車に飛び込んで自殺しちゃって……それから外には出られなくなって……」

「自殺……!?」

 それは少年が背負うにはあまりに重すぎる過去である。しかも、目の前で……相当ショックだったろう。

「親戚にも、酷いこと言われて……怖くなったんだ……」

「そうだったんだ……」

 蓮はただ、聞き役に徹する。

 どうやら彼の母親は、幻想世界を知っていたらしい。誰かから聞いたようだが、それが誰かまでは聞かされていないようだ。それで、その世界のことについて調べようと必死になっていたようだ。しかし、もうすぐ発表という時になって自殺を図ったという。それが二年前のことらしい。

(二年前……精神崩壊事件が起こった頃だな……)

 少し調べてみたが、精神崩壊事件が起こり始めたのも二年前らしい。偶然にしては出来すぎている気がする。

(もしかして、彼の母親は――いや、まだ確証はない)

 まさか、とも思ったが彼の証言だけではまだ分からない。

 と、こうして長々と話していると彼のお腹が鳴った。

「あ、そういえば朝ご飯食べていなかった……」

「なんか作るよ。何がいい?」

 聞くと、彼は「じゃあ、オムライスで」と言ったので蓮はすぐに近くのスーパーでオムライスの材料を買ってきた。

 オムライスを前に置くと、彼は目を輝かせた。

「すごくおいしそう……!いただきます!」

「ゆっくり食べなよ」

 引きこもりと言われていたからどんな子かと思ったが、かなりいい子ではないか。それが蓮から見た彼の感想だった。

 皿を洗い終えると蓮は気になったことを聞いた。

「そういえば、どうしてボクに会いたいと思ったの?」

 蓮としては別に構わないが、どうしても気になる。すると彼は黙りこんだ後、

「……が……だって……」

「え?」

「蓮さんが怪盗だって知ったから……」

 その言葉に蓮は驚く。なぜ初めて会った彼に正体がバレたのだろうか?

「その、友達とファートルで一緒に話しているのを聞いちゃった……」

「え?でも君、いなかったよね?」

「それは、その……と、盗聴してて……」

 なるほど、そりゃあ筒抜けになってしまうわけだ。

「って盗聴?」

 なるほどじゃない。今信じられないことを言ったんだけどこの子。

「えっと……じゃあ機械関係に強いのかな?」

 動揺を隠すように聞くと彼は頷いた。

「うん。機械をいじるのは好きだよ。誰にも関わらなくていいし……ハッキングも出来るから……」

「そ、そう……」

 どんな会話も筒抜けになってしまっていたとは……。どこで学んだのだろうか?そんなこと。

「でも、蓮さんと話していると、誰かと話すっていいかもしれないって思ったよ」

「……そうか」

「ねぇ、また話し相手になってくれる?」

 りゅうが目を輝かせて聞いてくるから、蓮は静かに微笑んで「あぁ、いいよ」と答えた。

 この後、藤森が帰ってきたので蓮はファートルに戻った。


 シャワーも浴びて寝る準備をしているとヨッシーが話しかけてきた。

「まさか、ゴシュジンの身内に怪盗団だとバレるなんてな……」

「そうだな……まさか盗聴されてるなんて思ってもみなかったよ」

 もしかしたら、今この瞬間も盗聴されているかもしれない。

「でも、目の前で母親が自殺、か……育児ノイローゼか何かか?」

「……いや、多分違う、と思う」

 ヨッシーの呟きに蓮は小さく否定する。その言葉にヨッシーは驚いたようだ。

「違うってなぜだ?」

「ほら、精神崩壊事件ってあっただろ?あれさ、約二年前から起こっているみたいなんだ。確か、りゅうの母親は幻想世界について研究していたんだろ?だからもしかしたらって思ってさ」

 もちろん、確証はない。だが、時期から言っても疑っていいだろう。もしかしたら「白い男」とも関わりがあるかもしれない。ヨッシーは「そうか」と言うだけだった。

「それにしても、お前やっぱり持ってるな!機械いじりが得意な奴が身近にいたなんて。これならどうにか出来るんじゃないか?」

「あぁ、アヌビスのこと?でも、りゅうを巻き込むわけにはいかないだろ。まぁ、取引したなら話は別だけど」

 確かに、盗聴できるスキルがあるのならアヌビスも撃退出来るかもしれない。しかし、相手は年下、しかも最近まで他人と関わることをよしとしてこなかった子だ。急に頼むのは酷な話なのではないか。

「なら、取引してみろよ」

「話し相手になる代わりにって?さすがに対価がそぐわないだろ。撃退するにはリスクがかかりすぎる」

 もっと他のことなら、そのリスクを背負っていいかもしれないが。

「でも、そうも言ってられないぜ?英雄が一転して悪者扱いされるかもしれないしな」

「それはそうだけど……」

 だからと言って、彼を巻き込む理由にはならない。

 ――この会話を、本人が聞いているとは思ってもいなかった。


 次の日の朝、藤森が「りゅうはどうだった?」と聞いてきたので、テーブル席に座っていた蓮はいい子だったと話した。

「そうか。お前には普通に話せるんだな、よかった」

「……あの、どうして彼と会わせる気になったんですか?」

 蓮は気になっていたことを聞いた。普通、一緒に住んでもいないのに前歴者を自分の息子と会わせるだろうか。

「あぁ、まぁあいつが会いたいって言っていたってのもあるんだが……俺はどうしても、お前が聞いたようなことをする奴だとは思えなくてよ」

「え……?」

 いつの間にか、机の上に二人分のコーヒーが置かれていた。

「教えてくれないか?その前歴の真相をよ」

 前に座り、彼は蓮の顔を覗き込む。蓮は下を向き、コーヒーを見ながら少しずつ話し始めた。

 話し終えると、彼はどこか納得したようだった。

「やっぱりな……お前、どこも問題なかったからおかしいと思ったんだ」

「信じて、くれるんですか?」

「当たり前だろ?お前みたいなお人好しなガキが、傷害事件なんて起こすわけねぇ」

 藤森はコーヒーを一口飲み、優しく微笑んだ。

「安心しろ。ここはもう、お前の居場所だ」

 初めて言われたその言葉に、蓮は思わず他のことも話してしまいそうになった。

(ダメだ、地域のことや、家のことまで……)

 さすがにそこまでは重すぎる。話すことで笑顔を曇らせたくない。

 ――頼ることで人生を狂わせてしまうことがあることを、知ってしまったから。

 だからこれは、誰にも話してはいけないのだと。そう思った。


 次の日、りゅうに呼ばれた蓮はカバンにヨッシーを連れて、再び藤森の家に行く。

「どうしたの?話って……」

 彼の部屋の前で尋ねると、彼は部屋の中から小さく話し出した。

「あ、あのね。その……僕の心、盗んでほしいんだ」

「え……?」

 急に何を言い出すのか。彼は「そうしたら」と続ける。

「僕、蓮さんの役に立てる、よね?取引すれば、頼ってくれるんだよね?」

「え、何のこと?」

「……聞いたんだ、おととい……怪盗団は今、大変なんでしょ?アヌビスを撃退しないといけないんでしょ?僕なら出来るよ、それくらい。でも、危険だから、それに見合う取引しないといけないんだよね?……だったら、僕の心を盗んでほしい。そして、僕を外の世界に出してほしいんだ」

 その声は真剣だった。外の世界に出してほしい……その言葉を聞いて、蓮は納得した。

 ――あぁ、彼はずっと外の世界に出てみたいと思っていたのだと。だから自分に会いたいと言ったのだ。他人に会うのが怖いハズなのに、それを我慢してまで。

「……分かった。でも、ちょっと待ってほしい。全会一致しないと、心は盗めないから」

「分かったよ。……ありがとう、わがまま、聞いてもらって」

「ううん。むしろ助かったよ。こちらこそありがとう、気を遣ってくれて」

 彼には見えないだろうが、蓮は微笑んで答える。

 ――今は、彼に頼ろう。

 そのためにはまず、皆にこのことを伝えなければ。

「あのさ、部屋にいるのもなんだし、何か食べる?一応、何でも作れるからさ」

「……じゃあ、ハンバーグがいい。それから、デザートはプリンで」

「分かったよ。どうせなら一緒に作らないか?」

「いいの?」

 蓮は材料を買ってきて、りゅうと一緒に作る。プリンは市販のものを買ってきた。

「どう?自分で作った料理は」

「すごくおいしい……!これ、本当に僕が作ったんだよね?」

「そうだよ。ボクなんて、久しぶりにハンバーグを食べたよ。おいしい」

「そういえば、ずっと気になってたんだけど。蓮さんって女の人、なんだよね?」

「うん。それがどうしたの?」

「いつも「ボク」って言ってるよね?なんでなの?」

「あぁ、まぁ癖とでも思ってくれていいよ」

「そう。あと、そのにゃんこは普通に食べてるけど大丈夫なの?」

「ヨッシーは普通のネコじゃないからね」

「ネコって言うな!」

「こら、威嚇するな」

 ワイワイと食事をして、片付けをした後蓮は帰った。


 夜、皆に明日ファートルに集合してほしいと送った後ベッドに転がった。

「それにしても……」

 あの後、蓮はナビにりゅうの名前を打ち込んだ。一度「藤森 りゅう」でやったのだが、それでは反応がなかったので「海野 りゅう」と押すと反応したのだ。それ自体は別に構わないのだが。

「デザイアって、悪人じゃなくてもあるんだな」

「歪んだ欲望が作り出す世界だからな、歪みが強ければ、たとえ悪人じゃなくてもあるぞ。……まぁ、確かにほとんど悪人だけどな」

 なるほど、確かにあんなことがあれば歪んでしまってもおかしくはない。デザイアが出来ても不思議ではないだろう。

「明日、皆に言わないとな……」

「そうだな、もしかしたら次のターゲットになるかもしれないしな」

 とにかく今日は寝ようと目を閉じる。ヨッシーが横で寝た気配を感じ、小さく瞼を開ける。

「……眠れないな」

 また悪夢を見るかもしれない。そのせいで最近よく眠れた気がしないのだ。まだ動けるので今のところは何の問題もないのだが、これが続くといずれ支障が出てくるだろう。この調子が続けば皆を守るどころか迷惑をかけてしまう。

「……ボクは、まだやれる」

 自分に言い聞かせるようにそう呟いた。


 次の日、学校から戻ってきてしばらくすると皆が来た。

「よう、レンレン!」

「殴るぞ?」

 来て早々いきなりあだ名で言われたので蓮は拳を握る。その様子に良希は慌てて謝る。

「ごめんて!だからやめて!」

「全く……急にあだ名で呼ぶな」

 拳を緩め、二階にあがるように促す。蓮は飲み物を注いだ後、二階にあがる。

「適当に座って」

 飲み物を置きながらそう言った。風花ともみじはソファに、良希と裕斗は近くにあったイスに座る。蓮も適当にイスを持ってきてそれに座った。

「それで、話とはなんだ?」

 裕斗がお茶を飲みながら聞いた。蓮は「実は」と休日にあったことについて話し始めた。

「なるほど……つまり、心を盗むかわりにアヌビスを撃退してくれる、ということか」

「あぁ。いい取引だと思うんだが……どうだ?」

 蓮が皆に聞くと、良希は「いいんじゃねぇの?」とお菓子を食べながら言った。

「そうね、実際それしか方法はなさそうだし……」

「うん。あたしも賛成」

「俺もいいと思う」

「全会一致だな!」

 ヨッシーの言葉に全員が頷いた。

「夏休み入ってからの方がいいんじゃないか?何が起こるか分からないし」

「そうだな。そっちの方が安心できるだろ」

 裕斗の言葉にヨッシーが頷く。

「じゃあ、キーワード探しは金曜日でいいな」

 蓮が確認する。全員賛成のようだ。

「いちいち連絡通路に集まるのもめんどいから、今度からここに集合しねぇ?」

「賛成、マスターの家からも近いし」

 そこまで決めて、解散した。


 次の日、もみじに呼ばれ蓮は生徒会室に向かった。

「どうしたんだ?」

 生徒会室のソファに座り、蓮は尋ねる。

「実は、ゲームセンターに行ってみたいの」

 もみじがそんなことを言うものだから蓮は思わず彼女の顔を見た。もみじは至って真面目に言っているようだ。

「えっと……急にどうしたんだ?」

 それは専門外なのだが、と思っていると彼女は「高校生は大体ゲームをやってるでしょ?」と言った。

「それはそうだけど……ボク、ゲームセンターなんて行ったことないぞ」

「だから、一緒に行くの。駄目かしら?」

 もみじが少し落ち込んだような口調になった。前に一緒に経験しようと言ったのは蓮の方なので、渋谷のゲームセンターにつき合うことにした。


 ゲームセンターで射撃ゲームやクレーンゲームなどを一緒にした。二人共初めてなのにそれなりに出来ていたので周囲から驚かれていた。

「こんなのがあるのね……」

「勉強になったか?」

 蓮が聞くと、もみじは「えぇ」と頷いた。満足そうだ。

「それにしても、皆こんなことをしているのね」

「意外と楽しかったな」

 こんな風に遊ぶことはなかったからどうなんだろうとは思っていたが、やってみると意外と面白い。射的ゲームなんかは銃を使う時に活用出来そうだ。

「これからもつき合ってね」

「あぁ、いいぞ」

 もみじにつき合ったことで絆が深まったような気がした。

「それじゃあ、またね」

 駅前でもみじと別れた。


 次の日、終業式が終わった後に裏庭へ向かうと、既に島田がいた。

「島田、何か分かったか?」

 ベンチに座り、尋ねると彼は「あぁ」と頷いた。

「アヌビスは元々義賊だったみたいなんだ。悪い企業とかの裏側を調べ上げて表に出していたんだって。だけどある時から個人情報を流出させたり奪ったりするようになったみたいだ。それから世界中にアヌビスを名乗る集団が生まれてきたんだって。匿名だから名前までは分からないよ。噂では、怪盗団に挑戦状を出したのは日本のアヌビスなんじゃないかって言われてるよ」

「なるほど……ありがとう、十分だ」

 とにかく、早く取り掛かった方がいいということだけは分かった。明日にでも情報を共有しよう。

「ぼくに出来ることがあったらいつでも言ってよ」

「分かった。ありがとう」

 島田にもう一度お礼を言い、蓮は帰路についた。


 次の日、ファートルに集まり、島田から貰った情報を共有した後キーワード探しをしていた。しかし、どれもヒットはせず。

「あの家を何だと思っているんだろ……」

「本人に聞いてみたらいいんじゃない?きっと答えてくれるよ」

 風花の言葉に賛成し、皆で藤森の家に向かう。

 いくら玄関のベルを鳴らしても出てこなかったので、藤森に心で謝りながら勝手に家の中に入った。そして、りゅうの部屋の前に行く。

「りゅう君、ちょっといい?」

 しかし、他の人がいくら声をかけても反応がない。どうやらよく知らない人とは話せないようだ。

「りゅう、聞きたいことがあるんだ」

 蓮が声をかけるとりゅうはすぐに反応した。

「どうしたの?蓮さん」

「おぉ、反応したぞ……」

「家の……そこの居心地はどうだ?」

 尋ねると、りゅうは黙った後、

「苦しい……」

 と答えた。

「なんで苦しいと思うの?」

 さらに質問を重ねる。

「外に出られない。そのままこの家で……僕は死ぬから」

「死ぬ?なんでそう思う?」

 皆がぎょっとした中、蓮は聞いた。

「この家が僕の墓場だから」

「……墓場、か」

 蓮も東京に来る前は家が墓場だと思っていたことがある。だから彼の言葉に共感出来た。

 墓場、とナビに入力すると反応があった。

「待ってて、これから心を盗んで見せるから」

「ありがとう、蓮さん……」

「それじゃあ、ポチっと」

 良希がその場でナビを起動する。蓮は慌てたが、周囲を見るとりゅうは巻き込まれていないようだ。それに安心する。

 目の前にはデザイア……ではなく砂漠が広がっていた。

「あちぃ……」

 良希が呟く。これは予想外だった。

「中心はあっちにあるな」

 ヨッシーがマスコットの姿で見た方向にはピラミッドがあった。あれが、りゅうのデザイアらしい。

「ヨッシー、早く車を出してくれないか?」

 皆の方を見ると、かなり暑そうにしている。このまま歩いていくとなれば体力が持たない。ヨッシーもそれを悟ったのだろう、すぐに車を出してくれた。

 蓮がピラミッドまで運転していると、誰かに見られている気配を感じた。そちらを見ると、良希と裕斗が見ているではないか。

「……どうした?」

 蓮が尋ねると、二人は目を逸らす。何だったのだろう?

「蓮、蓮、その……胸がすけてるから」

 隣に座っている風花が小さな声でそう言った。胸?と疑問符を浮かべるが、そういえば夏休みに入るからとさらしを巻いていないことを思い出した。確かに汗で服がすけている。

「蓮、もう少し女の子としての自覚を持ちましょうね……」

 もみじが呆れたようにそう言った。


 デザイアに着くと、本格的なピラミッドが広がっていた。裕斗はかなり興奮している。

「おぉ……これこそ美だ……」

「見学のために来たんじゃないんだぞ……」

 蓮は呆れながら、入り口を見つける。

「ここだな、入ってみよう」

 オタカラを盗めば、りゅうは改心する。警戒はされていないし、簡単だと思いたいのだが。

 中に入っても警戒される様子はない。このままいけばすぐに盗めそうだ。しかし、先に進むとりゅうのフェイクが立っていた。古代エジプトの王子といった風貌だ。

「りゅう?」

「……………………」

「こいつがりゅうなのか?」

「うん、そうなんだけど……」

 なぜか話さない。蓮と話す時はいつも楽しそうにしていたのに。

「どうしたの?」

 もう一度呼ぶと、彼は口を開いた。

「……蓮さん」

「あ、しゃべった」

「オタカラはどこ?君のデザイアだから分かるハズだよ」

 蓮が聞くと、彼は首を横に振った。

「盗めるなら盗んでみるといい。ここはこんなことになっているんだから」

 挑戦的な口調を発した後、りゅうが耳を塞いでしゃがみ込んだかと思うと周囲から彼に対する罵声が聞こえてきた。人殺しだの育児ノイローゼだの産まなければよかっただの、子供が聞くにはあまりに酷い言葉ばかりだ。

 彼が消えたかと思うと、皆急に怪盗服になった。警戒されたようだ。それだけなら問題ないのだが、急に大玉が落ちてきて、転がってきたのでそれから必死に逃げた。間一髪、なんとかひかれずに済んだ。

「危なかったな……」

「あぁ、今回は予想外のことが多い。今は準備した方がよさそうだ。一度戻ろう」

 ヨッシーの言葉に頷き、現実に戻った。

「まさかあんな罠が来るなんてな……」

 ファートルに戻ると、良希が机に突っ伏してそう言った。

「そりゃあ、ピラミッドだからな。罠があるのは当然だろう」

 というより、デザイアで罠がなかったことがない。

「攻略か……一筋縄ではいかないだろうな」

 りゅうは今まで他人を拒絶してきたのだ、何があるか分からない。これまで以上に気をつけないといけないだろう。

「とりあえず、十分な準備をしてから潜入するか」

 リーダーの言葉に全員が頷いた。


 夜、温泉に入った後スマホを見るとチャットが入っていた。

『なぁ、本当に協力してくれんだよな?』

『あぁ、そう言っていた』

『僕、疑われてるの?』

『うおっ!誰だよ!?』

『あぁ、りゅうか?そういえばハッキング出来るって言ってたもんな』

『うん。こんばんは、蓮さん』

『蓮、結構慕われてるな。良希も見習え』

『なんで俺だけ!?』

『でも実際、すごい慕われてるわよね。なんでなの?』

『ちょっと話しただけだよ』

『うん!蓮さん聞き上手でついいろいろ話したくなっちゃうんだ』

『分かる!あたしも話聞いてもらったもん!』

『確かにな。つい相談してしまう』

『それで、りゅう。何か用か?』

『どうだったの?僕のデザイアってやつ』

『うーん……ちょっと難関、かな?でも大丈夫、ちゃんとやって見せるから』

『ありがとう』

『それじゃあね』

『うん』

 りゅうが乱入したチャットが終わり、蓮は一度ベッドに転がったが、夏休みの宿題を全て終わらせようと起き上がる。

「どうしたんだ?」

「いや、夏休みはもう潰れるだろうし、宿題を全部終わらせようと思って」

 と言っても、授業中にほとんど終わっているので大丈夫なのだが。

「そうだな。あとちょっとだろ、頑張れよ」

 ヨッシーに励まされ、蓮は笑う。これぐらい、すぐに終わる。

 夏休みの宿題が終わったのは十二時過ぎだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ