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幻想怪盗団~罪と正義~  作者: 陽菜
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五章 冤罪事件の真実と正義の証明 前編

次の日、準備をしていると電話がかかってきた。裕斗からだ。

「もしもし」

『もしもし、夏木だ。今時間いいだろうか?』

「もちろん。何の用だ?」

『ありがとう。まず、白野だがよく分からない。だが、前より穏やかになった。それから、寝込んでしまって白い男のことは聞けていない』

「そうか……」

 フェイクの言葉が真実なら、その白い男は蓮と同じ形の仮面、つまり黒いラインが入っていないドミノマスクだったよなと思い出す。

『とりあえず、もう少しだけ様子を見てみる。……なぁ』

「なんだ?」

『白野は、人が変わったようになるんだよな?』

「あぁ。改心が成功していたら、だが」

 恐ろしいことを言うようだが、完全というものはどこにもない。成功例が一つしかないということもあり、保証は出来ないのだ。

『そうか……』

「後悔しているか?」

 蓮は苦笑いを浮かべる。たとえ後悔しているとしても、もう手遅れだ。白野は変わってしまう。しかし、彼は、

『まさか。奴は人を食い物のようにしてきた。当然の報いだ』

 と言った。彼は強いなと蓮は思う。

「そう。でも辛ければいつでも言ってほしい。その時は協力する」

 だが、一人で抱えていてはいずれつぶれてしまうかもしれない。そう思って言うと、

『そうだな。そうするよ。……初めてだ、人に頼るなど』

 裕斗はそう答えた。今まで白野のせいで相談出来なかったのだろう。その苦労や苦痛はよく分かっているつもりだ。

『では、そろそろ切るぞ。時間をとらせてすまなかった』

「別に構わない」

 電話が切れたのを確認すると、蓮はカバンを持って下に降りた。

「もう行くのか?」

「あ、はい」

 藤森に聞かれ、蓮は頷く。電話をしていて時間が押してきたのだ。

「では、行ってきます」

 蓮は藤森にそう告げ、ファートルを出た。


「そろそろ夏服にするの?」

 昼休み、風花に聞かれ蓮は頭にはてなマークを浮かべる。

「ほら、もう暑くなってきたでしょ?ほとんどの人もう夏服だし、蓮はどうするのかなって」

 そういうことか。確かにほとんどの人が既に夏服だ。しかし、蓮には自傷行為癖があるので腕の包帯が目立つ夏服は着ることが出来ない。この高校に更衣期間がなく自由にしていいという校則に感謝する。

「いや、ボクは中間服にするよ」

 だが、年中冬服というのもさすがに暑い。明日から六月なので中間服を着ることにした。

「そう?でも暑くない?」

「大丈夫。慣れているから」

 そう、慣れているのだ。夏場でも長袖を着て過ごすということに。

「……………………」

 そんな蓮を、ヨッシーは机の中から悲しそうに見つめていた。

 窓の外は曇っていた。


 放課後、何もすることがないが怪盗達は集まっていた。

「今日はどうする?」

 裕斗が聞くと、蓮が「なら、アザーワールドリィに行ってみるか?」と言った。

「アザーワールドリィ?」

「皆のデザイア、らしい。詳しいことはよく分かっていないが、そこでデザイアのない人達も改心させることが出来るんだ」

 実際に久重さんも改心したしな、と言うと裕斗は驚いた表情をした。

「久重さんって……」

「お前の思っている通りだよ。白野の元弟子だろ?彼に頼まれて白野を改心させると決めたんだよ。お前を救ってほしいと頼まれてな」

「あの人が……俺を……」

 彼は俯いた。まさか元兄弟子に頼まれたとは思っていなかっただろう。

「あの時は、白野の悪事がまだ分かっていなかった時だったんだ。お前も何も言わなかったしな……しかも、良希が問い詰めたら警察に通報されかけるし。あれは驚いたぞ」

 あの時、蓮がメガネを外していなければどうなっていたか……。

「それは……本当にすまないと思っている」

「いいよ、別に。お前はあいつに支配されていたんだから。いわゆるマインドコントロールってやつだろ」

「……そうかもな」

 そんな会話をしているが、良希と風花は理解していないようだった。

「まいんど……何?」

「さぁ……?」

「お前ら……レン見習って勉強しろ」

 ヨッシーが二人を見て呆れた声を出す。すると風花が思い出したように「そういえば」と蓮に顔を近付けてきた。

「蓮って、学年一位だったよね?中間テスト。廊下に張り出されていたよ」

「そうだったのか?」

 白野のデザイア攻略に夢中で全く知らなかった。でも確かに、学校内では転校生が学年一位だったとかそんな噂になっていた気がする。

「あーそうそう!確か英語以外全部満点!英語も一問間違えただけ!すげぇよな、さすがリーダーだぜ!」

「あぁ、あのテストか……簡単な問題ばかりだったな……」

「簡単って……すごいね」

 三人で中間テストを思い出していると、

「英語以外満点?すごいな、今度ぜひ勉強を教えてもらいたいものだ」

 裕斗がそう言ってきた。彼はそこまで頭が悪そうに見えないのだが。

「ちなみに、裕斗は?」

 気になって聞いてみると、

「俺は毎回五位以内に入っている。一応、特待生だからな」

「特待生?え、お前すげぇの……?」

 良希は裕斗が特待生であるとは思っていなかったらしい。だが、美術科コースであるなら彼の絵は確かに特待生をもらえるほど上手なものだ。だから蓮はそれについてはそこまで驚かなかった。だが、勉強も出来るとは予想していなかった。

 ――でも、特待生なら勉強が出来ないといけないか。

「なら、今度のテストの時は皆で勉強するか?」

「いいな、そうしよう」

「うえ……もう次のテストの話かよ……」

「あんたは出来ないんだからこの話してて損はないでしょ」

「お前もだろ!」

 良希と風花に教えられる人が一人増えただけでもありがたい。蓮だけでは手に余ってしまっていたからよかった。本当に。

「あ、もうこんな時間か。今日は解散するか」

 結局、話し込んだだけで幻想世界に入ることはなかった。


 夜、蓮は牛丼屋のバイトに行った。

「お前、よく行こうと思うよな……」

 あの仕事量は異常だった。それでも行こうとする彼女にヨッシーは感心する。曇るからとメガネは外していた。

 今回は他の従業員もいるようだ。これならそこまで忙しくない……と思っていたのだが。

「ねぇ、そこのお嬢ちゃん。早く切り上げておにいさんたちと遊ばない?」

 今度は柄の悪い男達に絡まれる。しかもさらしを巻いているのになぜか女だと気付かれているし。

 これは裏方に徹した方がいいと蓮は厨房に引っ込む。

「大変だね……成雲さん。おれがかわりに注文取ってくるから、そっちは任せるよ」

 先輩に言われ、蓮は「分かりました」と言った。

 バイトが終わり、先輩に「お疲れ、これ、今日の給料だよ」とバイト代をもらった後、ファートルに帰る。

「今日は災難だったな……」

「あぁ……まさかバイト中に絡まれるとは思ってなかったぞ。しかも女だって気付かれてたし」

「お前、中性的な顔だが、どちらかと言えば女顔だからな」

 ヨッシーの言葉に蓮はそうか?と思う。中性的な顔ではあることは認めるが、そんなに女顔か?

 でも確かに、裕斗にはすぐに見破られたし噂が流れている学校内でも言い寄ってくる男は意外と多い気がする。前に不良に絡まれそうになった時がいい例だ。

「それに、メガネを外したら美人だからな、言い寄ってくる男の気持ちも分かるぜ。変な奴と付き合うなよ?」

「美人って……風花の方が美人だろ。むしろ素顔を晒している方が恥ずかしい」

 照れ隠しでもなんでもなく、本心からそう思っているらしい。だが、ヨッシーの言う通り蓮はメガネを外すと雰囲気が変わる。本当に別人だ。

「仲間の中でお前の素顔知ってるのはワガハイだけだよな?なんか得している気分だ」

「そういえばそうだな。幻想世界でも仮面付けているわけだし」

 アルターを召喚する時は仮面がなくなるが、それ以外ではつけている。事実上、怪盗団の中で素顔を見ているのはヨッシーだけだ。

「いずれ見られるにしても、最初に見ることが出来てよかったぜ」

「そうか」

「だが、お前のその顔……どこかで見たことがある気がするんだよな」

 その言葉に蓮は疑問符を浮かべる。こちらに来るまであの世界のことは知らなかったから、ヨッシーとは会ったことがないハズだ。それとも、今まで会ってきた人の中で似たような人がいたのだろうか?

「まぁいいや。今日はもう寝ようぜ」

「そうだな。おやすみ」

 ヨッシーに言われ、蓮はベッドに寝転がった。ヨッシーも蓮の横に丸くなる。


 目の前に、泣いている自分自身がいる。

 ボクは、道具……。

 跡継ぎのためだけに生まれた「生きた人形」なの……。

 目の前の彼女はただそう呟いていた。

 ボクは人形なんかじゃないと言いたかったが、口が開かなかった。

 運命の鎖に縛られた、人生を決められた人間。それが「成雲 蓮」という人間だ。

 そして目の前にいる彼女こそ、本当の「蓮自身」なのかもしれない。

 ――ボクは、皆が思っているほど強い人間じゃない。

 それは、自分がよく知っている。

 蓮は目の前の自分自身を慰めることなど出来なかった。


 目を開く。頬が濡れているのが分かった。

 ――さっきの、あの夢は……。

 一体何だったのだろう?悲しい夢だった。

 時間を見ると、まだ二時過ぎ。ヨッシーを起こさないように起き上がり、涙を拭う。

 自分は無実の罪で業人となり、ここに来た。そうでなければ今頃、地元にいたハズの人間。まさに、先程見たあの「蓮」の言う通りだ。

 ――自分の信じる「正義」とは、一体何だろうか?

 運命に縛られ、家のしきたりに縛られ、挙句の果てには無実の罪にさえ縛られた、そんな自分の思う「正義」とは?

 蓮は、悪人を成敗し困っている他人を救うことこそが「正義」と思っている。だからこそ怪盗を続けようと思った。そして二つ目の結果が明日出ようとしている。

 だが、心では疑問に思っている。本当にそれでいいのかと。出口のない迷宮に迷い込んだようだ。しかし、彼女にとって怪盗団が心のよりどころであることは確かだ。

 ――答えは、いつか出せばいい。

 それまでは皆の望む「成雲 蓮」を演じようと、蓮は思った。


 数時間後、ヨッシーが起き「お前、また早く起きてたのか」と呆れられた。

「そんなんだと、また倒れるぞ?」

「大丈夫、多分」

「いや多分って……」

 ヨッシーはため息をつくと、「まぁ、大丈夫ならいいが」と言った。

 中間服に着替え、学校に行くと、島田が話しかけてきた。

「なぁ、成雲」

「なんだ?」

「今度は白野に予告状出たんだって?一部の生徒の間で噂になってるよ」

「なぜそれをボクに?」

 蓮が冷たく言い放つと、彼は「そうだよね、きみには関係ないよね」と笑った。動じていないようだ。これこそ協力者だと蓮は思う。

「それにしても、怪盗団のあのマーク。かっこよくなったなぁ。誰が書いたんだろ?」

「……怪盗の中に芸術家でもいたんじゃないか?」

 しかし仲間が増えたことをほのめかすような発言は忘れない。彼にはバレてしまっているのだ、下手に隠しても仕方ない。

「あー、そうか。その可能性もあるね」

 彼もそれに気付いたのだろう、蓮の言葉に素直に頷いた。そして彼は目で訴える。

『白野の弟子でも引き入れたの?すごいね!』

 それに蓮は同じように答えてやる。

『そうかもな。それはご想像にお任せするよ』

 すると、チャイムが鳴ったので島田は自分の席に戻っていった。彼との絆が深まった気がする。


 放課後、裕斗に呼ばれたのでそちらに行く。場所はあばら家の前。

「どうした?裕斗」

 蓮が尋ねると、裕斗は「手伝ってほしいんだ」と言った。

「何を?」

「君には先に伝えておこう。俺はここを出ていく。だから荷物をまとめようと思ってな」

「それはまた急になぜ?」

 彼は身寄りがなかったのではなかったのだろうか?

「もうここには住めないからな……結果が出るまではここにいるつもりだが」

「そうか……」

 それならと蓮は彼を手伝う。今後どこに住むかは分からないが、準備していて損はないだろう。

 彼の荷物は意外と少なかった。これまで人と接する機会がなかったという。

「これでいいか?」

 蓮が聞くと、彼は「あぁ、ありがとう」と微笑んだ。最初の頃は思い詰めていたような顔だったが、最近は笑顔が増えているなと思った。

 それに比べ自分は全く変わらない。無表情の仮面をつけ続けている。そう思うと一人だけ置いて行かれているようだ。

「ここを出ていく時は教えて」

「もちろんだ」

 そんな醜い自分を隠すように放った蓮の言葉に裕斗は頷いた。彼との絆が深まった気がした。


 裕斗の手伝いを終えた時にはもう暗くなっていた。裕斗に駅まで送ってもらい、ファートルに戻ってきた。

「おかえり、今日は予定あるか?」

 藤森に聞かれ、蓮は首を横に振る。すると彼は「今なら教えられるぞ」と言ってくれたので蓮は荷物を二階に置き、エプロンをつけた。

「そういえば、メニューの件考えたんですが、見てもらっていいですか?」

 蓮が聞くと、彼は「もちろんだ」と笑った。紙に書いたレシピを見せると、

「おぉ、よさそうだな、これ」

 蓮が考えたのはコーヒーのケーキだ。苦いものが苦手な人にも食べられるように砂糖が多めだ。

「時間がなくてまだ試作品は作ってないんです。土曜日の朝、作っていいですか?」

 そう聞くと、藤森は「ちゃんと早起きしろよ?営業中は作らせないからな?」と言った。

「ありがとうございます」

 許可を得たので、蓮は明日材料を買ってこようと思った。


 次の日、大きなニュースがあった。

『あの日本を代表する画家、白野氏が突如会見を開きました。内容は弟子達の盗作と虐待を日常的にしていたという内容です。数日前には白野氏に怪盗からの予告状が来ていたということも分かっています。……』

 会見では白野は泣きながらそれを認める内容を話した。それを見ていた怪盗達は……。

「やったぜ!成功だな!」

「これが「改心」か……よかった」

「怪盗のこともちゃんと言われてる!」

「立て続けに二度も起こってるからな、こんな偶然、ないぜ?これで怪盗団を信じてくれる人も増えるだろ」

 それぞれ喜んでいた。蓮は静かにそんな彼らを見ていた。正確には、考えごとをしていたと言った方が正しい。

「何だよ、蓮。静かだな」

 良希が蓮の肩を叩く。そこで蓮の思考は現実に戻った。

「いや、だって……」

「白い男のことか?」

 ヨッシーの言葉に蓮は頷いた。あれだと白野は警察に捕まってしまうだろう。そうなれば簡単に会えなくなってしまう。情報を得るのは難しくなるだろう。

「確かに気になるが……今はどうしようもないだろ」

「そうだな……」

 ヨッシーに言われ、蓮も頷く。それでも、どこか引っかかるのだ。

「それより、今回もしない?白野の改心と裕斗が仲間になった記念として打ち上げ!」

 風花が切り替えるように言うと、良希が「いいな!」と言った。

 それで、どこでするかという話だが……。

「お前の居候先はどうよ?」

「確か、喫茶店なんでしょ?あたし、行ってみたい」

「え、えっと……無理かもしれないぞ?」

 さすがにそれだと許可を得ないといけない。それに、ファートルに来て何をしようというのだろう?

「鍋なんてどう?季節外れだけど」

「ふむ、いいな。しめはおじやで」

 ……なんか、皆の中で既に決まっているようだ。

「……分かった、許可を取るから」

 結局、蓮の方が折れた。

「じゃあ、日曜日ね!楽しみにしているから!」

 ……他人事だと思って、と思わなくもない。


 ファートルに戻ってきて、蓮は藤森に日曜日のことを伝えると、

「あぁ、いいぞ。せっかくの友達だ、遊べばいい」

 とありがたい言葉を得た。二階にのぼり、皆に許可を得たことを告げる。

 そして、金井からチャットが届いていたのでミリタリーショップに向かった。

「よう、バイトちゃん。今日は雑用をやってほしいんだ」

「分かりました」

 蓮は掃除をしたり店番をしたりした。

「お前、慣れているんだな」

「地元でバイトしていたので」

 そう答えると、彼は笑みを浮かべた。

「へぇ。そういやお前の名前……成雲 蓮、だったか?確か、名家のお嬢様の名前と同じだよな?」

「はい、そうですよ?ボク、一応成雲家の令嬢です」

 そう答えると彼は「へぇ……」と蓮を興味深げに見た。

「そうか。なら、なぜここで危険なシゴトをしようとする?」

「興味を持ったからです」

 半分は本当だ。本では身分の高い女性ほど危険なことをしたがる傾向にあるが、蓮も同じようだ。

「お嬢様ってのはそんなもんなんかねぇ?」

「さぁ?少なくともボクはそうってだけですよ」

 金井に聞かれ、蓮はそう答えてやる。彼との絆が深まったような気がする。

「閉店時間だ、もう帰っていい」

 そう言われ、蓮はファートルに帰っていった。


「お前、持ってるよな!」

 ケーキの材料を買ってきて、寝る準備をしていると、ヨッシーに言われた。

「……何が?」

「ユウトのことだよ。あいつもアルター使いだったなんてな。しかも、芸術家なんてなかなかいないぜ?」

「偶然だろ」

 確かに奇跡に近しいことはたくさん起こったが、それは全て偶然だと思っていた。

 ――次に起こることを知らなければ。


 土曜日、五時に起きて早速考えたレシピ通りに作ってみる。ケーキの生地を作って、その中にドリップしたコーヒーを入れる。

 ケーキを焼き、生クリームを泡立てていると藤森が来た。もうそんな時間だったのか。

「お、やってるな」

「はい。もうすぐ焼きあがるので試食してみてください」

 そう言うと同時に焼き終わった音が聞こえた。蓮はそれを取り出すと、少し冷まして切り分け、皿に乗せた後生クリームを添えた。そして、コーヒーと共にそれを前に出した。

「どうぞ」

「おう、じゃあいただくぞ」

 藤森がそれを食べる。すると、

「コーヒーの風味が失われないで、なおかつコーヒーの苦みが苦手な人でも食べれる……いいな、これ。レシピ教えてくれないか?」

 どうやら採用されたようだ。もちろんだと蓮は頷く。彼との絆が深まった気がする。

「今後も、レシピが思いついたら教えてくれ」

「いいですよ」

 今日はファートルの手伝いをしようと思っていると、風花から連絡が来た。

『今日、一緒に遊べない?』

「遊びに行きな。ケーキは冷蔵庫にでも入れておけ」

 藤森にそう言われたので、蓮は返信した。

『大丈夫だ』

『それなら、お買い物行こう?』

『分かった。だが、前みたいに女物の服を着せないでくれよ?』

『え~……楽しみだったのに』

『……とりあえず、そちらに行く。場所は渋谷駅前でいいか?』

『うん』

 予定が決まり、蓮はヨッシーを連れて渋谷へ向かった。


 風花の買い物につき合っていると、良希に会った。

「よう、お前ら!何してんの?」

「見て分からない?買い物」

 風花がそう言うと、彼は中身を見て、

「服ばっかだな……女ってそんなもんなの?」

 と蓮に聞いてきた。

「さぁ?まぁいいだろ、別に」

 蓮は女だが、今まで男として育ったからかそれはよく分からない。しかし、風花がそれでいいのなら別に構わないと思う。

「そうか……」

 良希は納得していないようだが、蓮の言葉に頷いた。こうして話すことで、二人との絆が深まった気がする。

「今日はありがと。また明日!」

「俺も帰るぜ」

 二人と別れ、蓮もファートルに帰った。


 夜は特にすることもなかったので蓮は潜入道具を作ることにした。

「キーピックがなくなってたよな……」

「あぁ、シロノのデザイアで全て使ってたもんな」

 それならと蓮はキーピックを作り始めた。煙幕玉はまだ使っていないので大丈夫だ。

「お前、上手くなったよな」

「そうか?」

 確かに、器用さはあがった気がするが。

 いつの間にか、十本ほど作っていたのでこれ以上はいいかと作るのをやめる。

「それにしても、宝箱いくつあるんだよ……デザイアの中に」

「さぁ、だが多く作ってて損はないだろ?」

「そうだけど……」

 ヨッシーとそんな話をした。彼と絆が深まった気がする。

「じゃあ、今日はもう寝ようぜ」

 彼の言葉に頷き、蓮はベッドに転がった。


 ガシャン、という音に目が覚める。牢獄世界の夢だ。

「おい、起きろ!囚人!」

 ユリナに急かされ、蓮は起き上がる。

「おめでとう。虚飾の美術館を崩壊させたようだな」

 シャーロックがそう言ってきた。虚飾の美術館、というのは白野のデザイアのことだろう。

「それにしても、やはり怪盗を続けることになったな」

「……そうですね」

 忘れていたが、彼には怪盗を続けることになるだろうと言われていた。彼にはこうなることが見えていたのだろうか?

「やはり、お前は世界の歪みに挑む「運命」なのだな」

「世界の、歪み……?」

 初めて会った時、「世界の歪みに挑む覚悟はあるか?」と彼に聞かれたことは覚えているが……。

「お前の更生が順調なのを褒めてくださっているのだ!感謝しろ、囚人!」

「そうですよ、主が囚人にそう言うなんて滅多にありません。心に刻みなさい」

 双子に言われるが、そんなこと言われても、と思う。しかし、そんな中でも彼らの絆が深まった気がする。意外だ。

「お前の更生が順調で嬉しい。じき刻限……」

「時間だ、囚人」

「戻りなさい……」

 そう言われ、周囲が歪んだ。


 目が覚めると、チャットが入っていることに気付く。裕斗からだ。

「朝から何の用だ……?」

 打ち上げは夕方からなのに。そう思いながら見てみると、

『今日、あのあばら家を出るよ』

 そう書かれていた。それは別にいいのだが。

『どこか行くあてはあるか?』

 彼は身寄りがなかったハズだ。だからこそ白野に引き取られていたわけだし。それともどこか見つかったのだろうか。すると彼は、

『いや、ないな。だから今日は君の居候先にでも……』

『……それも許可を取れと?』

『頼めるか?』

『…………分かった』

「お前優しいな……すげぇ急なのに」

『ありがとう。出来ればずっと住むというのは……』

『ボクは一応女だ』

『無理か?』

『……一緒に考えようか。それ次第では一緒に住むのは構わないぞ?』

「いいのかよ!?」

「いやだって、ヨッシーがいるし」

 さすがに(ネコとはいえ)同居人がいればヌードを迫られるとか変なことはしないだろう。相手がいくら変人でも。

「はぁ……藤森さんに聞くか……」

 ため息をつきながら蓮は下に降り、まだ営業前で準備している藤森に聞く。

「あの、友達が帰るところなくて……ここで過ごしたいと言っているんですけど」

 居候なので頼みにくいが、こればかりは仕方ないと割り切る。すると彼は、

「お前がいいなら、別に構わないが……あまり散らかすなよ?」

「すみません……急に」

 許可を得たので、裕斗に連絡する。

『大丈夫だそうだ』

『恩に着る』

『じゃあ、夕方な』

『あぁ』

 藤森の前でチャットを送っていると、

「友達と仲がいいんだな。大事にしろよ」

「はい」

 そう言われ、蓮は頷いた。


 夕方、駅まで三人を迎えに行き、鍋の材料を買ってファートルの中に入れた。

「いらっしゃい。……女の子だけだと思ったら男の子もいるのか」

「お邪魔します」

 風花が礼儀正しくお辞儀をする。藤森は裕斗の大荷物を見て蓮に小さな声で聞いた。

「おい、朝言ってた、帰るとこがない友達って男の子だったのか?」

「え?はい、そうですが……」

「それ先に言えよ……」

 彼はため息をついた後、

「まぁ変な気起こさなければいいか……。コーヒー奢るよ。蓮、手伝え」

「分かりました」

 蓮はエプロンに着替えると、すぐにコーヒーカップを人数分準備した。その間に藤森がコーヒーをドロップする。

「手際がいいな」

 裕斗が蓮を見ながらそう言った。

「いや、よく手伝っているし……」

 何度か手伝っているから、仕事内容をすっかり覚えたのだ。

 「お前も座って飲め」と言われ、蓮はおとなしく裕斗の隣のカウンター席に座る。風花と裕斗はコーヒーが飲めるようだが、良希は苦手なようだ。予想通りと言えば予想通りである。

「そういや昨日作ったケーキ、まだ余ってるんだろ?ごちそうしてやれよ」

「ケーキ……?あぁ、昨日の試作品の」

 そういえば冷蔵庫に保存したままだったことを思い出し、蓮はそれを取り出す。

「おぉ、おいしそうだな」

「一応、コーヒーケーキだけど良希でも食べられると思う」

 切り分け、それを皆の前に出す。

「試作品だけど、食べてみて。多分おいしく出来てるから」

 蓮が言うと、三人は喜んで食べ始める。藤森にバレないようにヨッシーにも少しだけ与えた。

「ん!おいしい!お店の味だよ!」

「あぁ、美味だ……おかわりはあるか?」

「確かにこれなら食べれるぜ!すげぇな蓮!」

 三人がそれぞれ感想を言う。それならよかったと蓮は胸をなでおろす。

「そろそろ皆を上にあげてやれ」

「分かりました」

「俺は八時まで下にいるから、なんかあったらすぐに言えよ」

 藤森に言われ、蓮は皆を二階へあげた。藤森は風花を呼び止め、何かを話している。その後、風花もあがってきた。

「へぇ、意外と普通……」

「そうか?女が住むには殺風景すぎね?」

 風花の感想に良希はそう告げた。

「人をあげるなんて思っていなかったんだよ。自分一人だけならそこまで必要ないし」

 そもそも友達が出来るとは思っていなかった。

「ここ、アトリエみたいだな。ここに住みたい」

「駄目だからな?」

 裕斗の言葉にヨッシーが止める。蓮はそんな彼らを気にせず机と椅子を出し、カセットコンロと土鍋を取り出した。

 風花と蓮で鍋を作り、それを皆でつつく。ヨッシーには蓮が取ってやる。

「うまいな!」

「これはいい味だ」

「お前ら、いい嫁さんになるな!」

 男性陣がそう言ったので風花は頬を赤く染める。蓮はいつも通りだ。

 そうして大体食べ終わった頃には皆満足そうだった。

「ふぅ……食った食った」

「ワガハイも腹いっぱいだ」

 良希とヨッシーがそう言うと、

「まだしめをやっていない」

 裕斗がそう言うので良希は「今度にしとけ。さすがに腹いっぱいだ」と言った。そしてまだ食べている蓮に対して、

「お前まだ食ってんのかよ」

 と聞いた。蓮はキョトンとした後、

「食べ残しは良くない」

「真面目か?」

 いつものやり取りだ。

 ふとソファを見ると、風花が横になって寝ていた。

「風花は寝てるな」

「あぁ、疲れてたんだろ」

「コマイの時からずっと動きっぱなしだったからな」

 他のメンバーが話していると、不意に裕斗が話しかけてきた。

「そういえば、良希と風花は中学が同じと聞いたが」

「中学の時のフウカはどんな感じだったんだ?」

 その質問に良希は答えた。

「あぁ、本当に同じってだけだ。高校で別のクラスになってからあまり話さなくなったな。ただ、見た目がこれだからな……友達は少なかったと思うぜ」

「お前達は?」

「俺?」「ボク?」

「俺の過去はすっかり知られてしまったんだ、お互いを知るにはいい機会だと思うんだが」

 自分は失うものがないということか。まぁ確かに、彼のことばかり知っているというのも不公平か。

「いいぜ。親不孝もんの話だがな。俺、父親が小さい頃に出てってさ、お袋が一人で俺を育ててくれたんだ。だからスポーツ特待生になってお袋を楽させようとしたかったんだけどな、去年狛井に手ぇあげちまってよ。それでお袋が呼び出されて、教師に散々言われたんだ。その時、お袋はじっと我慢してよ、帰りに言われたんだ。ひとり親でごめんって。あの時のお袋の顔、今でも忘れらんねぇ」

「酷いな」

「大人は皆平等だと教えるが、現実はそうではない」

 皆が感想を言うと、

「まぁ、レッテルっつったらこいつこそ大概だがな」

 良希は蓮をさし、そう言った。

「あの話か。そういや詳しいこと聞いたことなかったな」

「…………」

 ヨッシーの言葉に蓮は黙りこんだ。本当はあまり思い出したくない、けど。

「嫌でなければ、話してくれないか?」

 裕斗の言葉に蓮は頷き、話し出した。


 あれは、地元にいた時の話。確か、十二月のことだったハズだ。その時は、メガネをつけていなかった。

 ボクはバイト帰りで、その日はいつもより遅くなってしまったんだ。使用人達に心配をかけないようにって近道を使っていた。

 そしたら、どこからか声が聞こえてきたんだ。そっちに向かうと、男性が女性に言い寄っているところだった。男性は酔っぱらっているみたいで、女性を車に引き入れようとしていた。

「うるさいな……お前達みたいな奴は黙って俺の舵取りに従ってりゃあいいんだよ」

 男性は女性にそう言っていた。

 女性はボクの姿を見て、

「助けて!」

 そう言ったんだ。このままじゃいけないって思って、ボクは走って近付いて、

「困っているじゃないですか!離してあげてください!」

 男性にそう言った。するとその男性はボクの方を見た。その時は、どうしてかさらしを巻いてなくてさ、すぐに女だって知られたんだよ。それに、すぐに成雲家の人間だと気付かれてさ。

「なら、お前が相手してくれるか?」

 そう言われて、ボクは後ずさりをした。嫌な予感がしたからだ。

 そしてその嫌な予感は的中した。腕を掴まれ、車の中に入れられそうになった。

「離してください」

 ボクが言っても、その男性は離さなかった。力づくで抜け出そうにも、力の差は一目瞭然で意味がなかった。怖くなって、その人が力を緩めた隙に突き飛ばしたんだ。そしたら、その男性はよろけてガードレールに頭をぶつけちゃって。ボクを睨みながら、

「このガキ……!訴えてやる!」

 そう叫んだんだ。だけどどう見ても正当防衛だったから、そんなことしても意味がないって思ってた。女性も、

「この子は何も悪くないじゃないですか!あのお金のこと、言いますよ?」

 そう言ってくれた。だけど、ボクはかなり運が悪かったらしい。その男性はかなりの権力者だったらしいんだ。

「そんなの、お前が勝手にしたって言えばどうにでもなる」

「そんな……」

「お前、警察にこう言え。そこのガキが俺に突然殴りかかってきたんだ。しかも、援交迫ってな。……お前の人生は終わりだ」

 そう言わなければ殺すぞと。女性は脅され、俯いた。

 そんな中、警察が来た。

「ここで騒ぎがあると通報されてきたのですが……」

「あぁ、そこのガキが俺に援交迫って断ったら殴ってきたんだ」

「……はい、そうです。その子が彼を殴って怪我をさせました」

「なっ……!」

 ボクは信じられないと思った。まさか、助けた女性に裏切られると思っていなかったから。

「君、警察署まで来てもらおうか」

「待って!ボクは何もしていません!」

「まぁまぁ、話は署で聞くから」

 警察に腕を掴まれ、ボクはパトカーに乗せられた。

「俺の名前は出さないでくれよ」

 男性のこの言葉を聞きながら。

 それからボクは必死に否定し続けたけど、一月、家庭裁判所で判決を受けた。

「被告人・成雲 蓮。一年間の保護観察処分に処す」

 その判決が信じられず、ボクは俯いてしまった――。


「それで前の高校は退学処分。周囲からも色々な噂を流されたんだ」

 そこまで話し終えると、三人共怒りの表情を浮かべていた。

「ひでぇ……!聞いてるだけで腹立ってきたぜ!」

「女性の方もだんまりか」

「そういう奴の心こそ盗むべきだ!そいつはどこの男だ?」

 ヨッシーに聞かれるが、

「……分からない。暗がりだったからな」

 そう、あの時は混乱して男性の顔などちゃんと覚えていられなかった。ただ、剃髪の男性だったことだけは覚えている。

「そうか……まぁ、暗がりの上逮捕なんてショックを受けたら覚えてられねぇよな……」

「それに、もう判決が出たんだ。今さら仕返ししても、前歴は消えないよ」

 蓮がそう言うと、裕斗が、

「だが、俺達なら正せるんじゃないか?誰にも知られずに。そうして本当の正義を見せつけ、世間の目を覚まさせればいい」

 と言った。良希も「そうだぜ!そのための力だろ!絶対!」と拳を握りしめた。すると、

「……ちょっと、何熱くなってるの?」

 風花が起きてきた。起こしてしまっただろうか?

「あ、ごめん」

「いいよ、途中から起きてたし」

 途中からって、どこから聞いていたのだろう。別に聞かれても構わなかったけど。

「なんか、皆の話を聞いてたらさ、あたし達似た者同士だなって思ったの。それに、皆どこかで会ったことあるような……そんな感覚。なんか、不思議だね」

「……そうだな」

 確かに自分達は似た者同士だ。大人達から利用され、蔑まれた人達の集い。だから、どこかで会ったことがあると思うのだろう。

「ワガハイだけ違うな……振り返られるほどの記憶がない……」

 ヨッシーが悲しげに呟く。

「だからこそ、記憶を取り戻すために協力するんだろ?」

「思い出したとして、俺達のようにろくでもないものだろうがな」

 蓮と裕斗がヨッシーに告げると、彼は尻尾をピーンと立て、

「そんなわけない!ワガハイは紳士だからな!」

 と自信満々に言った。蓮はかすかに笑い、スマホを見るともう九時過ぎ。藤森は既に帰っている時間だ。

「あ、時間。二人は大丈夫か?」

 蓮が聞くと、良希と風花は慌てて「やばい!」と叫んだ。

「片付けはボクがしておくから、帰りなよ」

 そう言うと、二人はお礼を言って帰っていった。蓮と裕斗は後片付けをし、ヨッシーを洗った後一緒に温泉に行った。

「じゃあ、また後で」

「あぁ」

 そう言って蓮は女湯に入った。この時間なら、女性客はいない。

「ふぅ……」

 ゆっくり浸かって、疲れをとる。そして着替え、外に出た。裕斗は既にあがっていたようだ。蓮を待っていてくれていた。

「あぁ、すまない」

 蓮が謝ると、彼は「いや、いい」と笑った。そして、蓮の身体を見る。

「……どうした?」

 何かおかしいところでもあるのだろうか。すると彼は「君は本当に女なんだな」と言った。

「あぁ、そういうことか」

 ヨッシーにも同じことを言われたことがある。しかも、二度も。

「とりあえず、ファートルに戻るぞ」

「そうだな」

 ファートルに戻ってくると、ヨッシーが「おかえり」と出迎えた。二階にあがると、裕斗はソファに座った。

「寝ないのか?」

「あぁ、この時間は絵について考えることにしている。君こそ寝ないのか?」

「これから勉強をする」

 蓮は勉強机にノートと教科書を広げ、勉強を始めた。ヨッシーは机の上に座り、裕斗がそれを見ている。すると不意に彼が口を開いた。

「蓮、君の絵、描いてもいいか?」

「別に構わないけど」

 急にどうしたのだろう。描きたくなるようなところでもあったか?

 勉強をしている人と絵を描いている人と、それを見守っているネコ。そこに会話はなく静かに時が流れていた。

 時間も十二時過ぎになったところで、蓮は教科書とノートを閉じる。そして、

「いいもの描けたか?裕斗」

 絵を描いていた男に尋ねた。彼は「あぁ、かなりいいものをな」と笑う。

「へぇ……じゃあ、今度見せてもらおうかな。今日はもう寝よう」

「そうだな」

「あ、お前ベッドの方がいいんじゃないか?ソファだと狭いだろ」

 蓮が言うが、彼は「いや、ソファでいい。お前の寝場所をとるつもりはない」と告げた。ヨッシーは堂々と寝ていた時があるのだが。

「……そうか?それならいいけど。何かあったらすぐ起こせよ」

 それだけ言って、蓮は眠りについた。

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