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自分の命と世界の命

作者: 高森
掲載日:2019/04/21

世界は200年後に滅ぶ。と、神様が私に宣告した。

それと同時に、世界を救う方法も提示された。


その方法とは、私が生け贄となることだった。


考える期間は3日しか無い。

そしてすでに、2日経っていた。


私は考えた。


この話は私しか知らない。

私が神様の提案を蹴っても、誰も私を恨まない。

また、200年後ならどのみち私は死んでいるだろう。

ならば200年後の世界なんて私には関係無いし、そのために残りの人生を手放す必要も無い。


それに……、私が犠牲になっても、誰も私に感謝なんてしない。

さらに付け加えるならば、今生きている人間も200年後には全員死んでいる。

滅びの時を迎えることすらない。


全員がいつも通りの日常を送り、当たり前に寿命を全うする。


なら、私だってそうしてもいいじゃないか。


文明は滅びると相場が決まっている。

ほんの少し先で滅びるか、いつかの未来で滅びるかの差でしかない……。


同じことを何度も考えながら2日が過ぎ、ついに3日目の朝を迎える。


結論は出ましたか?


神様は私に問いかけます。


はい。


私は迷うことなく返事をし、簡潔に選択を述べる。


私を生け贄に使ってください。


そう聞いた神様は、少し驚き気味に言葉を返した。


あなたにとってはデメリットしかない選択ではありませんか?

残りの人生を、放棄するのですか?


そう言われることは分かっていた。

だから私は、ここでも迷わずに返答する。


そうです。救える多くのものを捨てて生きても、どうせ失う命で救わなかったことを後悔するだけです。

私は、苦悩の人生を送りたくないので命を捧げるだけです。


それを聞いた神様は、ふむと返事をして申し出を受け入れた。


分かりました。

では今から魂を分解します。何か言い残すことはありますか?


神様は最後に、私に言葉を残す権利をくれた。


そうですね……。


私は迷いながら言葉を選び、1つの結論にたどり着く。


私はここにいた。


……と、そう言い終えて、私の人生は幕を下ろした。

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