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派遣勇者の世直し観光記  作者: あおまる軍曹
第一章【レグナ王国編】
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第037話「派遣勇者と模擬戦①」

第一章【レグナ王国編】

第037話「派遣勇者と模擬戦①」




 「ここが今回の模擬戦闘用に用意した訓練スペースです。」


 団長のジン達に連れてこられた場所にはすでに数十名の騎士が集まっていた。あの中の数人がこれから模擬戦で戦う相手なのだろう。


 「先ほども説明した通り、我が王国騎士団第三師団から選抜した三チームと模擬戦を行っていただきます。武器は訓練用の物を使用、魔法やスキルの使用は問題ないですが相手を死に至らしめるものや回復魔法で回復不可能な攻撃は禁止とします。相手が全員戦闘不能となるか降参した場合が勝利条件です。なにかご質問は?」


 「いえ、私はありません。」


 そう答えると訓練用の武器を選ばせてくれたので俺は今使用している剣に近い長さや重さの物を選ぶ。


 「では一戦目ですね。騎士団からは練兵所から上がってきたばかりの新兵四名。新兵ですがその中でも特に優秀な者を選抜しました。彼らの勉強になると思いますので是非相手してやってください。では一チーム目前へ。」


 ジンの声掛けで若い騎士四名が前へ歩み出る。若いが身体もしっかりとしており、何より模擬戦だがやる気に満ち溢れていると言った感じだ。


 「さて新兵諸君、この者を倒せた場合は騎士階級を新兵から格上げする。しっかりと実力を発揮せよ。」


 (なるほど昇格のチャンスを与えているからやけにやる気が出ているんだな…。)


 「では…。始めっ!!」


 「「「ウォォォォッ!!」」」


 開始の合図で三人の新兵たちが一斉に距離を詰めてきた。三人のスピードはほとんど同じで切りかかるタイミングもほとんど一緒だ。練兵明けなので動きがまだぎこちないがこれだけタイミングが合っているのは訓練が行き届いているからなのだろう。


 俺はタイミングが同じ事を逆手にとって三人の攻撃を剣一本で受け止める。三人分の威力が一度に掛かってくるがレベル差が大きいのでこれくらいは軽く受け止められる。


 「「「!!」」」

 

 三人もまさか三人分の攻撃を同時に受け止められるとは思っていなかったのか驚愕の表情を浮かべる。


 「でりゃぁぁっ!」


 四人目の新兵が俺の後ろに回り込んできて背後から攻撃を仕掛けて来た。もともと三人の攻撃の合間にこの四人目が本命の攻撃をしかけてくる作戦だったのだろう。しかしこれまで数多くの魔物との乱戦をしてきた俺にこの程度の不意打ちは効かない。

 俺は受け止めていた三人の剣を一気に押し返し、横一線で繰り出される剣撃を宙返りでひらりと躱した。


 「「「「おぉ…。」」」」

 「「「スゴイっ!」」」


 ギャラリーの騎士団やルー達から感嘆の声が上がる。


 宙返りしたことで四人目の新兵の背後に入ったのでまずは一人目を倒させてもらう。

 四人目が一撃で戦闘不能となったことで三人は同時攻撃から連続攻撃に切り替えてきた。しかしこれでは一対一とあまり変わらない状況になってしまうので俺は向かってくる者から順番に攻撃を入れていった。


 新兵チームとの試合はすぐに決着がついた。


 「流石に騎士とは言え、新兵程度では相手にならないですね。」


 倒れた新兵たちが運び出されるのを確認するとジンが次のチームを送り出す。


 「次のチームは第三師団の中隊長四人です。先ほどの新兵とは違いますからね。」


 前へ出てきた中隊長達は三十代位の男性三人と女性一人、ロングソードとバトルアックス、ランスを装備した男性中隊長と女性の方は少し小ぶりなメイスを装備している。


 「始めっ!」


 「「「〈肉体強化〉!」」」


 男性中隊長達はスキルで身体強化をかけるとランス隊長が突進してくる。


 「〈槍連撃〉!ハァッ!!」


 素早い槍での多数突きが飛んでくる。俺はそれを躱すと攻撃の最後に出来た隙を狙う。

 しかし、その隙をカバーするように続いてロングソード隊長の攻撃が飛んでくる。


 「〈三連斬り〉!」


 この素早い三連続の斬撃を俺は剣で受け流すが、ここでもこの攻撃の終了に被せてバトルアックス隊長の攻撃が続く。


 「ぬぉぉ!〈丸太割り〉!」


 見た目通りパワータイプなバトルアックス隊長の攻撃は上段からの重たい一撃は剣で受け止めるものの、先ほどの新兵三人分を超える威力だった為、受け止めた際に地面が凹む。


 (思わず受け止めたけど、剣の耐久がヤバそうだな…。)


 「―――!!」

 「まさかジョーの一撃を避けずに受け止めるなんて!」


 俺はバトルアックス隊長を押し返し一度距離を取る。


 (流石に四対一だと攻撃の隙を見せてくれないか…。訓練武器もいつまで持つか分からないしな…。)


 距離を取っている間にメイスの女性隊長が三人に補助魔法をかけていた。流石に中隊長クラスだと戦闘中の少しの時間も無駄にしない。


 (仕方ない。少しスキルを使って強引に行くか。)


 こちらが動く前に三人が向かってきた。


 「〈縮地〉」


 俺は移動スキルで向かってくる三人を通り過ぎ、一気にメイス隊長の背後に回る。


 「「「「消えたっ!?」」」」

 「…ほう。」


 「アニー!後ろだ!!」


 ランス隊長の声に反応したメイス隊長は振り向きざまにメイスで攻撃してくる。

 俺はその攻撃を躱してから腹部に拳を打ち込んだ。


 「…!う、ぐ…。」


 強烈な一撃を食らったメイス隊長は悶絶して倒れこむ。


 「「でりゃあ!」」


 ロングソードとランスの二人が向かってくる。先に切りかかってくる相手の剣をめがけて俺も斬撃を打ち込むとついに強度の低い訓練用の剣は相手のロングソードと相打ちとなり互いに二つに折れてしまった。

 俺はすぐさまロングソード隊長の横っ腹に回し蹴りを放つ。完全に俺の回し蹴りを食らう形となったロングソードの隊長はすぐ後ろに来ていたランス隊長を巻き込んでそのまま吹き飛んでいく。


 「おご…。」


 後方へ吹き飛ぶほどの回し蹴りを受けたロングソード隊長と、彼と一緒に吹き飛んで壁と彼に挟まれる形になったランス隊長もその意識を手放す。


 「クソ…。もう俺だけになっちまったか。とても勝てる感じじゃないが相手が武器を失くしている今、少しの可能性に賭けてみるとするか。」


 「いくぞぉ!」


 突進してくるバトルランス隊長をゆっくりと待ちかまえる。


 「〈攻撃加速〉!〈兜割り〉ぃ!!」


 攻撃速度を上げ最初の一撃より強力な一発が繰り出されるが俺はそれを寸前で躱して隙の出た相手の胴体に拳を突き入れる。

 鈍い音と共にバトルアックス隊長が膝から崩れ落ちた。


 「お…。お見事…。」



 「まさか中隊長達がこれほど軽々破られるとは。」

 「あの男は何者なのだ…。」

 「まさか連れている少女達もあれほどの強さなのか…?」


 流石に武器破壊があったものの中隊長達をほぼ寄せ付けない戦いにギャラリーの騎士達から戸惑いの声が聞こえる。これはダックスとマイルも同様のようで驚愕の表情だった。


 「副団長…。あれはヤバいですよ。」

 「あぁ…。まさかこれほどの強者とは…。」


 騎士団達に戸惑いの空気が立ち込める中、顔色の変わらない団長のジンが新しい訓練用の武器を手渡しながら声を掛けてくる。


 「お見事ですな。では三チーム目をお相手してもらいますが休憩はいりますか?」

 「いえ。大丈夫です。」


 「…。そうですか。では三チーム目前へ。」


 ジンの合図で前へ出てきたのは想像通りの二人組だった。

評価ポイント入れてもらえるとやる気出ますね(^^)

我ながら現金な性格だなぁ…。と思ったりしています。

まぁ、閲覧していただけてるだけでも幸せなんですけどね。

これからもがんばります。

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