第19-3話 イルミニの依頼 その2
西の森に入り、俺達は道なりに進んでいく
入り口では浅い印象を受けたが、
進んでいくと少し印象が変わる
全体的には深い森と言えたクステリの森と比べると、
確かにそこまで深さを感じる訳でもなく、
全体的に光の差す明るい森ではあるが、
苔の生えた岩、群生する野草、所々にある小川等
変化に富んだ森だと感じる
俺は前方を、ルシュは後方を警戒するが、
鳴り響くは鳥と虫の声
静かな森そのものだ
暫く先に進むと、道が分かれている場所に出る
分かれ道になっている場所には看板が立っている
「左が泉、右が洞窟か…」
看板にはそう書かれている
「ここは右よ…」
イルミニさんが向かう先を指示する
「洞窟に用事があるの?」
ルシュがイルミニに尋ねる
「どうかしら?それは後のお楽しみにね…」
イルミニは返答をぼかす
彼女の放つミステリアスな雰囲気はどことなくアステノの村長、メラニーを髣髴とさせる
などと俺は考えながら、道を更に進んだ
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十数分は歩いただろうか
未だ魔獣の気配はない
「まって…」
イルミニの声に俺とルシュの足が止まる
「魔獣!?」
気配はしなかったが、来てるのか!?
「いえ、ここから小道に入るの…」
「あっ…」
勘違いだったか、先走った恥ずかしさでちょっと顔が熱くなる
確かに良く見ると道の左側に小さな小道が出ている
何となく歩いていたら気付かないくらいには小さい
「ふふ、もう少しよ…
行きましょう」
俺は頭を掻きながら小道に入って進む
小道に入ってから、周囲に小さな水たまりがちらほら見え始めてくる
泉と言うほどのものではなく、大きくても1メートル程度の広さのものしかない
「こっちは洞窟じゃないよね?」
ルシュの質問にイルミニは頷く
「ええ、ここが目的地よ」
イルミニの言葉に呼応するかのように、
俺達の目の間に小さな空間が広がった




