第19-2話 イルミニの依頼
翌日
俺とルシュはイルミニの魔法店に向かった
店内に入ると、準備を整えた状態でイルミニが座っていた
「良く来てくれたわね…
では行きましょうか…」
-------------------------
俺達三人はマーテンの街を南西から出る
マーテンの南西から伸びる道の先に、森が広がっている
今回の依頼は、依頼者であるイルミニの護衛になる
彼女が森で採集を行うので、俺とルシュが彼女の安全を確保する
後は移動中の荷物持ちも行う
俺達は草原の中にある道を森に向かって歩きながら話をする
「私たちがこれから向かう森…
西の森ともマーテンの森とも呼ばれている場所よ…」
イルミニが森の説明をしてくれる
「森は危険な場所なんですか?」
俺がイルミニに質問すると、イルミニは俺達の方向を向きながら口を開く
「いえ…マーテンに近いし
冒険者が訪れることも多いから…
魔獣はいるけれど、そこまで危険ではないわ…」
そう言い、少し間を置いてからイルミニが続ける
「私は戦う事は苦手…
身を守るくらいの魔法も魔道具もあるけれど、採集に集中したいから…」
「なるほど…」
イルミニさんは魔法が得意な筈だから、戦闘もこなせるかと思ったがそうではなかったか
勝手に魔法=攻撃する手段と思い込んでいた部分があったからだろうか
「私達が守るから、大丈夫」
ルシュがイルミニに話しかける
その言葉にイルミニが微笑んだ気がする
瞳が見えないのであくまでそんな気がする、だが
森の入り口に差し掛かる
クステリの森と比べると浅い、と言う印象を受ける
木は低く、光が差し込む場所も多い
道はある程度踏み慣らされており、脇道に逸れない限りは迷う事は無さそうだ
ここで俺がイルミニの前、ルシュが彼女の後ろに付ける
「森の中は足場が悪いから気をつけてね…
採集する場所に向かうわ…」
イルミニが俺達に注意を促した所で、ルシュが口を開く
「イルミニって目隠ししてるけど、見えてるの?」
俺もずっと疑問に思っていたが、何となく尋ね辛かった質問だ
「見えるわ…
私は目があまり良くないから、代わりに魔力を使って見ているの」
いまいちピンとこないが、魔法の使い方の一つと言う事だろうか
「そうなんだ…」
声色的にルシュもいまいち理解できていないような気がする
「さあここから森に入るわ…
しっかり護衛してね」
イルミニの言葉に俺達は頷き、森の中に入っていった