第18-2話 農作物を守れ その2
ギルドを出て街の北に移動する
マーテンの北側は俺達が入ってきた東側よりも宿が多い
大通りを除けばこの道の方が人(魔族)も多い
交通路としてはこちらの方が使用されている様だ
更に北に進み、次第に建物の数が減ってくると
次は畑が目の前に広がる
マーテン北側の農村地帯は北部東西に広がっており、かなり広い範囲に及ぶ
遠目に他の冒険者たちの姿が見える
彼らがルッタ相手に戦っている様子も見える
同じ依頼を受けているとは言え、場所が近すぎると互いに迷惑が掛かるだろう
俺達は街道から離れ、更に北東に向かって移動した
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視界には既に数体のルッタが見えている
見た目は濃い緑色したトノサマバッタと言った感じで、見た目はとても似ている
複眼となっている二つの目の間にある白い楕円の甲殻を除けば
見てみると、既に畑に侵入している個体もいる
「来い、棍棒!」
鋼のメイスを呼び出し、農作物に夢中になっているルッタに
走り、振り被って上から殴りかかる
ルッタはそのまま無防備にメイスを受ける
昆虫の殻の固い感触を受けるが、そのまま下に振りぬく
ルッタは俺の一撃を受け、瀕死の状態になっている
やはり強力な魔獣ではない様だ
魔獣に手心は加えられない、俺はルッタの頭にもう一振りメイスを振り下ろす
一体目のルッタを仕留めた後、俺は隣にいるルシュに振り向く
「ルシュ、手分けしてルッタを倒そう」
「うん」
ルシュは素早く近くにいる別のルッタに向けて走っていく
ルシュがこの魔獣相手に後れを取ることは無いだろう
俺も別のルッタに向けて走る
ルッタの手前数メートルの場所に近づくと、ルッタが俺の目の前から消える
「何だ!?」
上を見ると、ルッタが高く跳躍していた
唖然とする俺をよそ目にルッタは数十メートル先に着地する
「くそ、すばしっこい…な」
この表現が合っているか分からないが口に出す
魔獣は基本的には狂暴で攻撃的だが、このルッタに関しては例外の様だ
草食の昆虫、バッタと同じような行動だ
逃げたルッタを追って走る
ルッタに追いつき、次こそはとメイスを振り被ると、
次はルッタは小さく跳ねた
「…っ!?」
自分の身体が後ろに突き飛ばされたように浮く
2,3メートルは吹き飛び、尻もちをついた時にルッタに後ろ脚で蹴られたのだと気付く
「くっそ…」
身体は何ともない、草地や畑で蹴られる分には怪我をすることは早々無い事が分かる
しかし…
「思ったより骨が折れそうだ…」
また跳躍して逃げたルッタを追いかけながら俺はそう呟いた




