第16-6話 初めての依頼 その6
「その魔獣はシャグですね」
俺達はオークの青年と別れた後、ギルドの受付で達成報告をしていた
その中で虫の魔獣の話をした時にモアさんは答えた
「結構危険度の高めの魔獣です。
街道に出る事は珍しいんですけど…」
「これについての報酬とかは…」
唐突に発生した魔獣を討伐した事について俺は尋ねてみた
それにモアさんはちょっと申し訳なさそうに笑い
「依頼が出ていない魔獣については討伐報酬は無いんです…
すみません」
そこで少し考えるそぶりを見せてからモアさんは口を開く
「でも身体の一部を素材として売ることは出来ますよ!
シャグは殻が高価ですね」
モアさんの言葉で俺とルシュは顔を見合わせる
「あ~…そうだった」
あの時は状況が状況だったのでそこまで気が回っていなかった
どちらにしてもシャグはルシュにボコボコに殴られていたので
剥ぎ取れた個所は少なかっただろう
「まあしょうがない、怪我無かっただけで良かったよ」
「うん」
俺の言葉にルシュも納得している様だ
「報酬はお支払いできませんが、シャグを討伐して頂いた事について
ありがとうございます」
シャグは駆け出しの冒険者が相手にするには厳しい魔獣らしく、
魔術師がいない場合は腕力があり、それなりに優秀な武器が無ければ太刀打ちが難しい魔獣で、
冒険者としてはそれなりにベテランの討伐対象になるらしい
……俺はほとんど何もできなかったが、ルシュは十分太刀打ち出来ていた
ルシュに頼れば少しくらいなら無理も出来るか…
「いやいや…」
首を振る
ルシュに頼りきりはダメだ
俺自身も強くならないと
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「報酬は30ラントだったね」
帰り道、俺とルシュは並んで歩く
ルシュはガワ退治の報酬が3匹分に増えていた事に満足した様だ
「今日はちょっと良い夕食にしようか」
俺はルシュに提案する
どこかで食べていくか、何かを買うかは決めていないが
それはルシュの好みで良いだろう
「うん、何を食べよう…?」
目を輝かせたルシュと一緒に、俺は帰路についた




