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異世界で俺が棍棒を使って無双する話  作者: くるっくる
第2章 棍棒の冒険者
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第16-4話 初めての依頼 その4

不意に聞こえた声にその方向を見る

ルシュもハッとしてそちらの方向を向いている


この林道の先から声がする


切羽詰まった声だ、

ゆっくり考えている時間はない



「ルシュ!」

俺の呼びかけにルシュは間髪入れずに返事をする

「うん…!」


俺とルシュは荷物を持ち、声のする方向に走った


----------------------


声のした場所に近づく


「ヨウヘイ、あれ!」


俺より少し先を走るルシュが俺に話しかける


そこには尻もちをついているオークの青年と、1メートルはあろうかと言う緑色の巨大な虫がいた

虫はオークの青年に向かってじりじりと距離を詰めている


「化け物め、こっちだ!」

俺は手に持っているメイスを虫に投げつける



虫に当たったメイスは鉄板に当たったような、だがくぐもった音を出して弾かれる

虫がこちらを向く

複眼となった大きな目が正面に二つ、鋭い顎を持ち、アリと蜘蛛の間の様な平べったい胴体をしている

言うまでもなくこれは魔獣だろう


俺はオークに話しかける

「大丈夫か!?」


「ありがとうございます!身動きが取れなくて…」

オークの青年からは安堵が感じられる

青年の足には白い糸の様なものが絡みついている


虫の魔獣の注意はこちらに向いている、注意を彼に向けさせないようにする必要がある


動きはそこまで素早くはなさそうだ、正面にさえ立たなければ何とかなりそうな気がする

「俺は右から行く、ルシュは左から回り込んでくれ!」

「うん!」

俺は右側に回り込む、ルシュは言葉通り左側に走る


魔獣がどちらを追うか動きが止まる

「来い!棍棒!」

俺は右手に鋼のメイスを呼び出し、魔獣の頭に叩き付ける


「んなっ!?」

振り下ろした右腕が大きく弾かれる

硬いだけじゃなくて弾力もある、鋼のメイスで駄目なのか…!


弾かれた勢いでメイスが腕から零れ落ちる


俺がのけぞっている間に虫の魔獣がこちらを向く


「っ!」

魔獣の前脚がこちらに伸びるより早く後ろに跳び、距離をとる


着地で少しバランスを崩し、膝を付く


「ヨウヘイ!」

心配しているルシュの声がする



体勢を立て直そうとすると、魔獣の頭が動く

その口が開くと、白い糸が飛んできた


その糸が右足に絡みつく

「これは…!」

粘性が強く、地面に足が縛り付けられた状態になる


魔獣がじりじりとこちらに近寄ってきた

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