第15-3話 やるべき事 その3
「そうだったんだねー、二人で旅をすることにしたんだ」
ピウリが果実酒を一口飲む
俺とルシュはピウリの案内でとある酒場に入っていた
店内にはオークとオーガの客もいるが、ゴブリンの客は10名位は居る
ゴブリンの隠れ家的な店なのだろうか
「お待たせしました、どうぞ」
オークの店員さんが料理を運んでくる
果物の様な物の中に豆が詰められた料理
黄色い野菜の入ったスープが俺たちのテーブルに置かれる
「まずは食べよっかー」
ピウリの言葉で俺たちは料理に手を付ける
豆の料理は塩味が少し強いが、豆との相性が良く、美味い
スープは酸味が強くツンとした味、中に入っている野菜がぷにぷにしていて何とも言えない味と食感だ
ルシュは空腹だったのか、どちらの料理も夢中で食べていた
……
「アタシはここの料理が好きでねー
マーテンの北西にストって言うゴブリンの村があるんだけど、
そこの料理がここで食べられるからねー」
客にゴブリンが多いのはそういう事だったのか
「でも他の種族でも口に合うと思うんだよね」
ピウリのくりくりした瞳を見るとスープの味がなんとも言えなかったとは言い出せなかった
「ああ、おいしかったよ、ありがとう」
「うん、凄く美味しかった」
ルシュはお気に召したようだ
「今回はアタシが出しておくよー、連れてきたからねー」
食後の果実酒を飲みながらピウリが話す
「いや流石にそういう訳にはいかない」
俺はピウリの言葉に慌てて発言する
俺の言葉を聞いてピウリはニッコリと笑い
「いやー未来のお得意様への先行投資だからねー
その分うちをごひいきにしてくれたら良いんだよー」
と話す
「なるほど、そういう事ならごちそうになるよ。
ありがとう」
「ありがとう、ピウリ。
しょーばいじょうず」
これも村長から教わったのか、ルシュも俺に続く
「どういたしましてー」
ピウリはニコニコ笑っている、この人懐っこさには絆される
「そういえば店は留守にしていて大丈夫なのか?」
「うん、フリドー君が店番してるからねー。
もう暫くは大丈夫だよー」
ピウリの言葉からフリドーに対しての信頼の厚さが伺える
「話は戻すけど、冒険者になるためにマーテンに来たんだよね?
ならギルドに登録も必要だけど、お金はある?
マーテンのギルドは登録料一人50ラントだよー」
50ラント、思ったより高い気がしたが、こんなものなのかも知れない
「二人で100ラントか、大丈夫だよ」
ピウリは頷き
「じゃあ次は寝泊まりする場所を決めなきゃいけないねー」
という
以前マーテンに来た時に利用した宿、クルーノなら一泊10ラントで決して高くはない(ハズ)
俺はそこを利用するつもりでいた
「クルーノって宿にしようと思ってるんだ、前にテオックと来た時に泊まってたから」
俺の言葉にピウリが少し考える仕草をする
そして少し間をおいてから口を開く
「冒険者になっちゃうとあそこでは泊まれないかも知れないねー」
と言った




