第15-2話 やるべき事 その2
翌日、まだ日が昇り始めたくらいの時間に目覚める
先日は早めに就寝したので、これでも十分休めている
俺が目覚めてから間もなくしてルシュも目が覚めたようだ
マーテンに着いた後の事を考えると、早めに行動した方が良いと判断し、
朝食を酒場で済ませてから俺とルシュは宿場を後にする
……マーテンへの道中、数組の旅人とすれ違う
当然ながら魔族ばかりだ
人族と魔人(本当は竜族だが)の組み合わせはは珍しいみたいで話しかけられる
彼らと挨拶しながら西に進む
そろそろ正午に差し掛かろうかと言う時間に、ぽつぽつと民家や畑が視界に入る
すぐに多くの建物が視界に広がる
「うわぁ…」
ルシュが感嘆の声を漏らす
「ヨウヘイ、早く行こう」
ルシュに急かされ、足早にマーテンへと向かった
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マーテンの入り口の門をくぐり、マーテンに入る
多くの魔族が往来する賑やかなマーテンにルシュは目を輝かせる
「凄い、魔族が沢山いる…!」
キラキラした瞳でルシュはキョロキョロ周囲を見る
「ルシュ、少し休むか?」
ある程度平坦な道を進み続けただけだったのか
ルシュにはそこまで疲労した様子は見えなかったが、俺はルシュに提案する
「ううん、大丈夫。
行こう」
ルシュは俺の隣に立つ
俺は頷き、まずは以前宿泊した宿クルーノに記憶を頼りに進む
俺とルシュの二人組は街の中でもそれなりに目立つのか、
視線をところどころから感じる
これは以前マーテンに来た時にもあったので、今更気にしても仕方がない
ルシュは少しそわそわしているが、視線は俺に対してなので、直に慣れるだろう
道を進むと、向こうからこちらに向かって駆け寄ってくるゴブリンの少女が居た
「やっぱりヨウヘイだーひさしぶりー」
「ピウリじゃないか」
「そうだよー」
俺を見上げながらピウリが答える
「隣の子は初めて見るねー。
こんにちわー」
「こんにちは」
ピウリに話しかけられたルシュだが、特に戸惑うことなく返事する
村長に言葉を教わった経験がここで生きている様だ
ここでピウリの目線がルシュの胸元に移る
ルシュが首に掛けている魔道具に気付いた様だ
ピウリは俺を見て何も言わずにニコニコしている
何となく何を考えているのか分かる気がする
「アタシはピウリ、あなたのお名前は?」
「ルシュ」
「よろしくねールシュ」
ルシュがアステノに来た後にピウリが訪れた事は無かったので、これが初対面になる
二人はすぐ打ち解けそうだ
ピウリは少しだけルシュと会話した後、俺に向かって話しかける
「ヨウヘイ、テオックはいないのー?」
「実は、アステノから俺とルシュだけ出てきたんだ、冒険者になろうと思って」
俺の言葉にピウリは少し驚いた表情になる
「ええっそうなの!?
詳しく聞かせて。
立ち話もなんだし、昼食まだなら一緒に食べるついでに教えてよー」
俺とルシュは顔を見合わせてから、頷く
ピウリの言葉に従う事にした




