第14話 旅立ち
俺が異世界の人間であると説明してから数日後
「よし、こんなもんか」
荷造りを一通り終える
三日分の食料と水、こちらの世界に来た時の服を麻袋に詰め込む
外に出る、日が昇り始めてからそこまで経っていない
暑くなく寒くもない、さわやかな空気に包まれる
絶好の日よりだ
俺は荷物を背負い村の入り口に向かう
この世界に来てからずっと世話になったアステノとは今日でお別れになる
勿論追い出された訳ではなく、俺自身の意思だ
今の生活に不満がある訳じゃない、それでもこの世界の事をもっと知りたくなった
前の世界では結局閉ざされた世界しか知らなかった事への後悔もあったかも知れない
俺が選ばれた事について、理由があるならそれも知りたいと思った
……この話をテオックにした時、反対されたが
村長とルシュも交えて話をし、俺の気持ちを伝えると
最終的にはテオックも納得してくれた
村長は最初から俺のやりたいようにやれば良いと後押ししてくれていたので、
説得は必要なかった
ルシュは少しショックを受けていた様子だったので、ルシュにそう思わせてしまった事が心苦しかった
村の門に近づく
門の下に人影があった
「お、来やがったな」
「テオック!それに村長、ルシュも」
「見送りに来ました、一人で行ってしまうのは私達も寂しいですからね。
それに……」
村長の言葉に続いてルシュが俺に向かって歩いてくる
俺と同じように背中に麻袋を背負い、セミロングの髪は後ろで結われている
服装もチュニックと腰に革ベルトと、動きやすいものになっている
俺の目の前に来たルシュが口を開く
「私も行く」
「えっ!?」
考えるより先に驚きで声を上げる
ルシュの顔を見る
その目は真剣なものだった
俺は村長の方を見ると、村長は困ったように笑い
「止めたのだけれど、どうしてもって聞かなくて」
と言う
様子を見るにかなり戦った後の様だ
俺がテオックを説得したが、同じ事をルシュは村長にしたのか
「私は記憶を思い出したい、世界の事も知りたい。
私も連れて行って」
ルシュは俺の目を見つめながら話す
ここまで真剣な様子を見て拒否する事は流石に気が引ける
何より、俺一人よりは遥かに心強いのは事実だ
「分かった、ルシュ、これからも宜しく」
俺の言葉を聞いたルシュの表情が緩む
「うん、ヨウヘイ、宜しく」
ルシュが俺の隣に立ち、俺達はテオックと村長を見る
「気をつけて行って来いよ」
「疲れたらいつでも帰ってきて良いのよ」
二人の言葉に俺達は頷き
「行ってきます」
と言いアステノを出た




