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異世界で俺が棍棒を使って無双する話  作者: くるっくる
第1章 異世界と魔族の村
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第13-4話 予兆 その4

その日の夜


俺は村の中にある草むらに仰向けに寝転がっていた


何でもないと思っていた日に、まさか異世界から来た事を説明するという

俺にとって余りにも衝撃的な出来事があったからなのか

寝付けなかったのだ



空にある月を見る


「そういえば、この世界にも月はあるんだな…

いや、太陽もあったな」


今日の月は青白い

これまで見た月は俺の世界と同じで黄色だったと思う


天候か何かの影響だろうか、魔法がある世界なんだからこれくらい不思議なものではないか


周囲の民家はまだ明かりの点いている所もあれば、既に消灯している家もある


そよ風が吹いてくる

夜風がとても気持ち良い


まだ眠れそうには無かった


……どれくらい時間が経っただろうか


「ヨウヘイ」


頭上から声がした


寝そべった状態のまま顔を上に向けて声の方向を見ると、そこにはルシュが居た

覗き込む様に俺を見つめていた


「ルシュ、どうしたんだ?」


月の光を背に、影となった顔が少し見辛いがルシュで間違いない


「ヨウヘイが寝転がってるのが見えたから、気になって来たの」

そう言ってルシュは俺の隣に座る


「ヨウヘイは何をしていたの?」

俺を見ながらルシュが質問する


「何となく寝付けなくて。

ちょっと考え事してたんだよ」


「お昼の事があったから?」


「うーん、どうなんだろう、そうかも知れない」


少しの間の後、ルシュが月を見上げて口を開く


「ヨウヘイは、元のセカイに帰りたいと思った事、ある?」


「う~ん……」


実際この世界に来た最初は考えたことがあったが、

俺は元の世界では既に死んでいる身であること、

世界の生活を送る上で考える余裕が無かったこともあり、この考え自体に既に諦めがついていた気がする


最近は頭によぎることも無かった


「あると言えばあるけど、ここで生きるのに忙しくて考える暇も無かったかな」



「そっか……」


暫くの間静寂が周囲を包み込む



(何かこう、使命みたいなものは無いのか?)


テオックの言葉を思い出す

俺がこの世界に来た時、あの女の人に使命やら目的やらの話はされなかった


でももしかしたら俺がこの世界に来た意味があるのかも知れない


(そうだろう、君にも見て欲しいとワシは思っているよ。

勿論旅は危険も付きまとう、必ずしも美しいものばかりではない、

それでも楽しいものだよ)


マーテンでリユードさんから言われた言葉も脳内に浮かぶ


元の世界でも俺の知ってる世界は俺の周囲にあるものだけで、

後はテレビやインターネットみたいなメディアで知るものしかなかった


今の世界では…


「今の世界では、自分の力で世界を知ってみたいかも…」


ルシュが俺を見る


つい口をついて出てしまった


ルシュは何も言わず、また空を見上げる


「もう遅くなってきたから、そろそろ戻ろうか」


俺の言葉にルシュは頷き、それぞれの家に戻った

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