第12-3話 森の集落 その3
村長は家の中に残り、俺とルシュは外に出る
村長はそこまで時間は取らせないと言ったが、どれくらい掛かるかは分からなかったので、
取りあえず村道の傍にある休憩用のベンチに腰掛ける
さっき喜んだばかりだが、今はルシュは少し不安そうな表情になっている
本当に何とかなるのか懐疑的なのかも知れない
「ルシュ、もう村には慣れたか?」
俺はルシュに声を掛ける
「えっ、うん。
皆優しいし、メラニーのお陰で皆とお話出来る様になったから」
「そうか、良かった」
「私の様子を気にしてくれたんだよね、ありがとう、ヨウヘイ」
俺が気を遣って違う話題を振ったことに気付かれていた様だ
見抜かれていた事に気恥ずかしさから俺は頭を掻く
「そんなつもりは無かったんだけどな」
……10分ほど二人で話をしていると、
ルシュがハッとした表情で村長の家を見る
直後、村長の家の扉が開き、村長が顔を出す
「終わりましたよ、中に入ってください」
俺とルシュが村長の家の中に入ると、テーブルの上に俺が手渡したプレートが置かれている
パッと見、何も起こっていない様に見えるが、良く見ると中央の石が薄紫色になっている
「ルシュ、これを持ってみて」
「うん」
村長はプレートをルシュに手渡す
それから村長はルシュから少し距離を取り、ルシュを見つめる
これで既に魔道具の効果が出ているのだろうか、俺には何も感じ取る事が出来ない
それをよそに村長は
「どうやら成功したみたい、では出発の準備をしましょうか」
と微笑みながら告げた




