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異世界で俺が棍棒を使って無双する話  作者: くるっくる
第1章 異世界と魔族の村
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第11話 宴

陽も落ち宵闇が辺りを包み込む頃、アステノの中央広場では多くの村人が集まっていた


地面の上に麻の敷物が敷かれ、広場の周囲を取り囲むように松明が設置される


広場の中央には大きな鍋が3つと、巨大な木の板が敷かれその上でラズボードの解体が行われている



ラズボードの解体は慣れたテオックや村の中でも力のある者達が行なっている


俺は設営を手伝い、今は調理の補助として薬味をすりつぶして混ぜる等を行なっている

ルシュは最初は俺達を手伝っていたが、ラズボードの退治、運搬と一番の活躍をしていたので、

それ以降は休んでいて良いと言われ、俺の傍に座っている



……一通りの準備が整った後、村人達は各々の家から酒や保存食を持ち出してきた

そして、誰が切り出した訳でもなく宴が始まった


-------------------


村人達が鍋に入ったラズボードの肉をよそい

火で炙った肉を配る



俺もよそわれたラズボードの肉に口をつけてみる


かなりクセが強い、イノシシの肉は臭みがあると聞いた事があるが、まさにこんな味なんだろうか

ただそれでもかなり美味いと感じる


「ここへ来てすっかり慣れちゃったのかも知れないな……」

誰に言うでもなく呟く



隣ではルシュがゴブリン調合屋夫妻のミック、アゼロの会話を聞いてる

村長もすぐ傍で話を聞いてるので、何の話をしているかは理解出来ているだろう


ルシュはさっきまでラズボードを仕留めた事について皆から質問攻めにされて少々困っていた所だ(通訳する俺自身も)



テオック、ラピド、アルデリンが傍に来て酒を勧められ、飲みながら談笑する

暫く話をした後、三人は肩を組んで他の村人のところへ歩いていく

完全に酔いが回っているのかその足取りはふらついている、



周囲を見渡すと誰しもが楽しそうに笑っている

俺は空を見上げる


森に囲まれた村の上には数え切れないくらいの星が輝く空がある



ふと物思いにふける

「前はこんなじゃなかったなぁ…」


ふと感慨にふける


「朝起きて、仕事行って帰って寝て……

そういやいつもコンビニの飯だったな」


この世界は俺の今まで生きてきた世界とは全く違う


それこそゲームや漫画の様な剣と魔法の世界だ

ただ、その世界の俺は勇者なんかじゃなく、ただ奇妙な能力を持つだけの一般人

決して大活躍する主人公なんかじゃない



それでも


「ここまで笑いあったのっていつぶりだったかな」


危険な事も沢山あったし、きっとこれからもあるだろうけど、

今こそが生きていると感じる



「……ヘイ、ヨウヘイ」


呼びかけられている事に気付く


その方向を見ると村長が俺を覗き込む様に見ていた


「すみません、少し考え事をしていました」


「いえ、いいのよ、今のあなたの姿勢が少し大変じゃないかと思って声をかけたのだけど、

大丈夫そうですね」


そう言った村長の目線を追うと、ルシュが俺に寄りかかって居る事に気付く

ルシュはほとんど動かず、小さく肩を上下に動かしている


「今日は大仕事だったものね」

村長は優しい瞳でルシュを見ている


「ええ、今日は大樹の水場へ行ってラズボードを退治して、運んでくれましたから」

俺の言葉に村長は小さく微笑み


「以前あなた達を襲ったラズボードを退治出来たのはとても喜ばしいわ」

でも…と村長は続ける


「今回は二人の助けになったから良かったけれど、

この森には外部からお客様が来る事もあるから……。

みだりに竜にはならないように釘を刺したかったのだけれど、

お小言は今度にした方が良いわね」

と言った


「そうしてもらえると俺も嬉しいです」


こうして宴の夜がふけていった

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