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第10-7話 アステノにて
陽が傾き始めた頃、アステノでは村人達が帰路に付く中
ラピドとアルデリンの姿があった
「助かったよラピド、僕だけじゃちょっと重くてさ」
「別にどうってことはない、テオックとヨウヘイが戻って来たら飲むぞ」
「ああ、うん、そうだ…ね?」
空を見ているアルデリンの様子を不審に思い、ラピドが尋ねる
「どうした?
何か見えるのか?」
ラピドもアルデリンの見ていた方向を眺め、それに気づく
「おい、なんだありゃ!?」
空に見えるのは西日を背にした大きな黒い影
大きなその影は次第に村へと近づいてきている
他の村人達も気付き、村が騒然とする
そして遂には村の上空に差し掛かり、そこで移動をやめる
その巨大な影だったものは、白い角と青白い肌をした竜であった
「おーい!」
そして村人達に向かって竜から声がした
竜の背に二つの人影が見えた
「テオック!ヨウヘイ!」
アルデリンが声をあげる
竜は少しずつ地面に降りてきている
「じゃあもしかしてこの竜は、ルシュか?」
竜の姿に圧倒されながらもラピドがつぶやく
陽平とテオックは竜の背中に乗っており、
竜の腕にはラズボードが掴まれていた




