第10-2話 再び大樹の水場へ
「大樹の水場か……」
以前にも行った事がある、クステリの森の中にある巨大な木々がそびえる水場
神秘的な光景に感動した場所ではあるが……
「あそこは雨が降ってから少しすると、ハーブや薬草だけじゃなくて、結晶も出来る事があるんだよ」
「結晶?」
「ああ、魔素が固まって結晶になるんだよ、俺達には使い道が無いけど、
魔道具の材料になるからピウリが買い取ってくれるんだよ」
「なるほどな…」
隣を見るとルシュが俺とテオックを交互に見ている
流石にこの辺りの言葉までは正確に理解出来ていない様だ
俺はルシュに今の会話を伝えると、ルシュは嬉しそうに喋る
「大樹の水場、行ってみたいと思ってたの」
ルシュの言葉を聞いて頬が緩みながら俺は頭の中に引っかかっている点を考える
以前あそこで採集をしている時にラズボードに襲われた
ラズボードは狂暴な魔獣で、一応追い返すことは出来たが
まともにやりあったら仕留めるどころか、やられかねない
「あ~、こないだの事考えてるのか」
俺の表情から察したのか、テオックが声を掛けてくる
「まあクステリの森自体魔獣がいる場所だからなあ、前は運が悪かったんだよ、
今回は大丈夫、もしも出会っても逃げたらいいんだよ。
俺はいつもそうやって逃げてるから」
完全に気休めの言葉だが、ここで生活する上でこのリスクは避けられないか
しかし……
隣で目を輝かせているルシュを見ながら、不安を感じていた




