第1-3話 異邦
俺が先ほどまでいた広場から森の中に小さい道が続いていて、
その中をテオックを先頭にして進んでいく
森の中は見慣れない木々が鬱蒼と茂っていた
「村までに着くまでにはどれくらい時間かかるんだ?」
「ん~、多分日が傾くくらいまでには着くだろうな」
まだ日が高かったから、決して近所と言う訳では無さそうだ
自分の服装は某アパレル店で購入したトレーナー、チノパンとスニーカー
コンビニにいつでも行けるスタイルだったが
なんとかこの服装でも問題なく歩く事が出来そうだ
「ヨウヘイはどこから来たかとか、何か覚えてる事はあるのか?」
テオックは俺が記憶喪失であると思っているらしい
実際、他所の世界から来たなんて説明をしてもややこしい事になるだけだ
記憶喪失という事にしておいた方が良いか……
「いや、覚えてないんだ」
「…そっか、まあその内思い出せるだろ」
テオックが楽観的な声で応える
気を遣ってくれているのかもしれない
とりとめのない会話をしながら2,3時間ほど歩き続けると、
次第に小道の幅が広くなり、森が開けてくる
遠くに建物らしきものが見え始めてきた
「もうすぐだ、あそこが俺の住んでる村、アステノだ」