第7-7話 アステノへ
俺が起きた時にはもう正午になろうとしていた
急いでテオックを起こし、遅めの朝食を摂って出発の準備をする
外にはアロンとセドが居た
エルカンはまだ寝ているからもう少ししてから起こすらしい
彼らはマーテンに向かうので、俺とテオックは別れを告げ、宿場を後にした
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「いやー飲みすぎちまったなあ、まいったまいった」
テオックが暢気に喋る
もう少し遅く出発しているとアステノに着く頃には夜になってしまう
宿場周りの草原は夜でも危険は少ないが、アステノのあるクステリの森はそうはいかない
夜にクステリの森に入るのは魔獣に出くわす可能性が高いので危険だ
アステノへの帰路の途中、テオックとは昨夜のスケルトンとの戦いの話題が中心になった
俺はほとんど周囲に気を配れない程に必死に戦っていたが、それはテオックも同じらしかった
俺の目にはテオックの方が遥かに戦いが上手かったと思っていたが、あれでも一杯一杯だった様だ
実際にはアロンがフォローしながら立ち回ったお陰だったらしい
「そういえば、お前の棍棒を出す魔法って、鉄の棍棒も出せたんだな」
「俺も知らなかったんだ、試しにやってみたら成功したんだよ」
あの時はまさか…と思ってやってみた事だったが、見事に成功した
この能力も捨てたものではないなと思った
「やっぱりそうだったんだな、じゃあ鉄以外の棍棒って出せるのか?」
……確かにそうだ、木製と鉄製の棍棒は出すことが出来た、なら他の材質の棍棒が出せてもおかしくはない
「そうだな、やってみようか」
その後、歩きながら色々な棍棒を出すことが出来ないか試してみた
とりあえず木製、鉄製は出すことが出来た
「金の棍棒とか出して売れば大金持ちになるんじゃないか!?」
良い事を思いついた様にテオックが提案する
「次のを出したら消えるんだから、そういうのは流石にダメだろ…
じゃあ、来い、棍棒!」
念じてみるが何の変化も無い
「ちぇっ、そう上手くは行かないもんだな」
何でも呼び出せる訳では無さそうだ
その後も幾つかの材質で試してみた。
呼び出せた材質は、石、土、鋼、銅、青銅、銀
呼び出せなかったのは、金、水、ダイヤ、サファイア等の宝石類
他にはテオックの提案にあったミスリル、
俺の知識にあるステンレス
この辺りも呼び出すことが出来なかった
一般的な材質で、固形を保てる物と言う事だろうか
何にせよ、鉄や鋼製の棍棒は使い道があるはずだ
そんなこんなで太陽がやや傾き始めた頃にクステリの森に入り、
アステノに着く頃にはすっかり黄昏が降りてきていた




