第7話 マーテンからの帰路
マーテンでの二日目を終え、三日目はアステノに戻る事になった
マーテンの東から街道に出て、宿場まで歩く
途中で旅人達とすれ違いながら、俺は二日目の出来事をテオックに話した
「ほ~、物好きなじいさんがいるもんだな。
俺はアステノとマーテン以外の場所なんてほとんど行った事ないぞ」
そういえばリユードとリヨの種族については分からず仕舞いだった、
テオックは分かるのだろうか
取り敢えず尋ねてみた
「ん、ああ、多分魔人だろうな。
魔族の中でもこれといった種族に当て嵌まらず、人族に近い姿をしてるんだよ。
まあ俺からすれば人族の姿が魔人に近い、だけどな」
魔人は魔族の中に属していて、もっとも他の種族みたいなはっきりとした境界がなく
一口に魔人と言っても姿形、能力に至るまで全く違うそうだ
実際定義が出来ないからこう区分されているのかも知れない
「しかしリユードねえ、どこかで聞いた事があるような……」
テオックは少し考え込んでいたが、思い出せなかったので
どうでもよくなった様だ
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宿場には昼過ぎに着いた
まだ時間としては早いが、ここからアステノまで歩くには少し距離が遠い
なので今日はここで一泊して次の日に出発する事になる
テオックは疲れたーと言いながら早々に部屋に入って寝てしまったので、
日中は宿場の付近を散策したり、宿の中にある酒場で軽食を食べて過ごした
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夕食を済ませた後、俺とテオックは酒場で呑んでいた
宿場の酒場は木造のテーブルと椅子が並べられていて
ここに居るのが俺とテオックだけだからか、酷く閑散とした印象を受ける
昼間にも他に客を見なかったから、この宿の宿泊客は俺達だけかも知れない
俺が一杯目のリキュールを飲み終える直前、酒場に一人のオークが入ってきた
酷く焦った様子で、俺達を見つけるなり声を掛けてくる
「テオックとそこの人族の冒険者、悪いけど手伝ってくれないか!?」
「あんた隣の宿の…どうしたんだ?」
テオックが答える、何度か宿場を使っているからか顔見知りの様だ
「不死者がここに向かってきてる!」
「へ?アンデッド?」
俺は思わず聞き返した




