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異世界で俺が棍棒を使って無双する話  作者: くるっくる
第2章 棍棒の冒険者
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第42話 新たな旅立ち

「ヨウヘイクン達マーテンから出て行っちゃったって」

ハーピィのチティルがムーグとレゾルに話をする


「出て行ったって、遠出してるって事か?」

オークのムーグがサラダを食べながら尋ねる


「ううん、旅に出ちゃったって、ヨウヘイクンの家にいたイルンって子が言ってた」

チティルの返事にムーグは目を丸くする


「従者雇ってたのか、さすがにあの屋敷だと当然か」

ムーグの言葉にチティルは首を振る


「ううん、友達だって。

居候させて貰ってるって言ってたよ。

可愛いキキーモラの娘だったよ」

チティルの言葉にムーグはふーん、と返事をした


「寂しくなっちゃったね…」

チティルが木の実を食べながら呟く


少しの間の静寂


「生きていればまた会うこともあるだろう、それが冒険者だ」

レゾルが言う


その言葉にムーグは頷く


「俺は、いや、俺たちはもっと強くならなければならない。

俺たちは俺たちでやるべきことをやるだけだ」


「おうよ!」

レゾルの言葉に続くムーグ


「将軍様強かったもんね、確かにもっと強くならなきゃ!」

チティルも同意する


「あ、でもイルンちゃんがいつでも遊びに来てって言ってたから、今度二人も連れていくね」

チティルは明るく笑った


---------------------

「店長、こっちの整理終わりました

次はどうしましょうか…?」


キキーモラの娘、イルンの目線の先にはイルンよりも頭一つ分は背の低いゴブリンの少女の姿


「ありがとーイルン、もうすぐお昼だから休憩しててー。

こっちもクーシとフリドー君に代わってもらうから」

ゴブリンの少女は雑貨店の店主のピウリ

これからイルンと共に昼の休憩に入るところだった



「もう大分慣れてきたねー」

ピウリの言葉にイルンは微笑む


「はい、ここだと皆さんもいるし、楽しく働けてます。

必要とされるってこんなに嬉しいんだなって、ヨウヘイさんとルシュさんが行っちゃってから

凄く感じちゃって…」

そう言ってイルンは少し俯く


「そうだよね、寂しかったらさ、少しおうちを空けても大丈夫だから、

アタシのお家に遊びに来なよ。

アタシたちも遊びに行くからさー」

ピウリはイルンに目線を合わせて笑いながら言った


「はい、ありがとうございます、店長…!」

イルンの言葉にピウリは頷く


「昨日さ、レゾル達がウチに来たんだよ、

マーテンの大手パーティーだよ、アタシの店も有名になってきて、

これからどんどん忙しくなるからさ、がんばろうね!」


ピウリの言葉にイルンは力強く頷いた


---------------------

「アネイル様、本日の朝の業務はここまでです」

身なりの良いコボルトの男が話しかけてくる


「…ふぅ、やっと終わった…」

そう言いながら椅子から立ち上がる金髪の魔人の女性はアネイル


「トゥスさん、昼からは私は魔獣の討伐隊に参加でいいですよね?」

アネイルはコボルトの男、トゥスに尋ねる


「早朝の時点ではその予定でしたが、急遽城の南東部の建設場に向かってもらいたいです」

トゥスはアネイルの期待を裏切る発言をする


「ええっ?

私はその、剣を振る方が…」

話す途中のアネイルを遮るようにトゥスが口を開く


「アネイル様、現在のガリュエヌの領主はロウザン様のお孫様である貴方様です。

貴方がいらっしゃることで現場の士気も上がります。

討伐隊は非常に優秀な者たちです、任せていて問題は無いでしょう」

アネイルの言葉をばっさり切り捨てる


「それはそうなんですけど、私はもっと剣の腕を磨いて騎士としての研鑽を…」

とアネイルは抗議するが


「アネイル様、騎士を目指されるのであれば猶更です、騎士、そして貴族としてのふるまいも今後は身につけなければなりません。

それは武芸だけではありませんから。

何より、貴方がいてくださることが何よりもこの城の者たちを活気づけます」

と言った


その言葉に黙り込むアネイル


「うー…わかりました。

でも明日は討伐隊に参加しますからね!」

と言った


大人びた雰囲気の女性であるアネイルだが、妙に子供っぽく見える言動だ


「今のところはその予定ですので、また明日に状況が変わればお伝え致します」

極めて冷静に返事をするトゥスを前にアネイルはたじたじだった


---------------------

とある村の入り口、一人の人族の女性が立っていた


「聖女様、本当に行かれるのですね」

村の者たちが総出で見送りにきている


「はい、皆様にはレダ様の教えが十分伝わったと思っています。

長い間、本当にお世話になりました、感謝しております。」

そう言って深々と頭を下げる、その女性はアリエラという神官だ


「聖女様、私たちはあなたのお帰りをいつでも待っています」

村長の言葉にアリエラは微笑む


「ありがとうございます。

皆様にレダ様の祝福を…」

そう言ってアリエラは祈る


空から降り注ぐ太陽のひかりとは異なる小さな光が村を包んだように見えた


---------------------

「おーい、こいつ何か持ってたぞ」

ドワーフのエルカンがハーフリングの少年に声をかける


「わかった、行くよ」

ハーフリングの少年、アロンが返事をしてエルカンの元へ行く


「小さな宝石箱、かなりの年期物だ…

鍵が掛かってる、罠は…」

アロンはそういいながら箱を調べる


「罠はないね」

そう言いながら器用にピッキングを行う


「オタカラ、か」


「何か入ってる?」


リザードマンのセド、エルフのセリーディもアロンの元に駆け寄る


「これは…金貨かな、少し古い時代のものだ」

アロンはそう言いながら金貨を取り出し、確認する


文様が今使われている金貨と異なり、汚れが目立つ


「本物なのか?」

エルカンが尋ねる


「金なのは間違いないね…他には銀貨も何枚か入ってる」

他の硬貨も取りだし、一通り確認してから頷く


「しょっぱい依頼だと思ってたが、思わない収穫だったな。

これでうまい酒が飲めそうだ!」

エルカンは上機嫌に笑う


「エルカン、ここから街まで少しあるんだから、気が早いよ」

「油断大敵」

諭すセリーディと同意するセド


「がはは、ちょっとやそっとの相手なら俺様の敵じゃないからな!」

そういいながら荷物をまとめるエルカン


「ま、オイラが注意しとくから何かあったらフォロー頼むよ」

アロンの言葉にセリーディとセドは頷いた


---------------------


「もう、旅立った様ですね」

アステノの村長、メラニーが手紙を読む


先ほどマーテンから届いたばかりの手紙、差出人はイルンだった


「あいつら、行っちまったんですね。

どんどん遠くに行きやがる」

テオックが遠くを見つめる


「村長は、あいつらを止めたんですよね?」

テオックの言葉にメラニーは頷く


「ですが、彼らは行ってしまいました。

私は、ヨウヘイもルシュも静かに穏やかに暮らしてほしいと思っています。」


「けれど、それを決めるのも彼らの選択ですから」

メラニーが呟く


「でも、ロウザン将軍を倒したみたいにでかいことをやらかすんじゃないかって俺は思いますよ。

俺は、ヨウヘイとルシュならやってくれるって思ってます」


その言葉を聞き、メラニーは目を閉じる

「そうですね…きっと…」


---------------------


整った街道を歩く

街から出てまだ半日、馬は必要ないと判断して歩いて移動することにした


視界の遠くに門が見える

「ヨウヘイ、あれだよ」

ルシュの声が少し上ずっている


遠目に見えるのは関所、近くには宿場もある


「ああ、そうだな、とりあえずあそこで今日は休んで、

明日からが本番だ」


俺はそこで一呼吸置く


そして

「行こう、ここから先は人族の国レインウィリス、俺たちの知らない国、世界だ」

俺たちは確かに、確実に歩いている

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