第40-6話 懐かしさと予兆 その6
夕食を終えた俺達は各々部屋へと入った
テオックと村長にはそれぞれ別の客室に案内した
その中の豪華さにテオックは面くらい、村長は俺達に頭を下げるのだった
……
ルシュは久々の村長との再会で、村長の部屋で一緒に寝る事にしたので、
寝室は俺だけになっていた
昼から夕食まで色々あった、ルシュは疲れ切っているだろう
俺は、暫くベッドに横になっていたが眠れなかった
家の灯りは落ち、小さな魔力灯が点々と廊下を照らすのみとなっていた
「ちょっと夜風に当たるか…」
俺は誰に言うでもなく、屋敷の勝手口から外に出た
……
マーテンの街もすっかり日が落ち
静かになっていた
家を囲う門の外に街灯がちらほらと見える
そして大音量の虫の鳴き声が聞こえるが
すっかり慣れていた俺にとっては環境音と言って差し支えなかった
庭も小さな魔力灯で点々と照らされており、
真っ暗ではない
イルンが常日頃手入れしてくれている丁度良い大きさの腰掛けになっている石や木の椅子だってある
俺は、椅子に座って夜空を眺めた
久々にテオックと村長に会ったからか、俺はアステノに居た頃の事を思い出していた
……
背後に気配を感じた
「ヨウヘイ」
俺が振り返ると、そこには村長の姿があった