第40話 懐かしさと予兆
ある日、俺とルシュは朝食を摂り、
簡単な仕事を終わらせた後にギルドで休憩していた
まだ昼前、依頼はシャグの討伐
街道付近で見掛ける事があったので倒して欲しいとの事だった
最初は苦労する相手だったシャグだが、今となっては敵ではなくなっていた(ルシュにとってだが)
そうして早々と依頼を終わらせ、少し休憩してから家に戻ろうかと言う状態になっていた
…ロウザン将軍を倒し、一躍有名になってしまった俺達だが
受ける依頼はいつも通りで熟練冒険者が受ける様な難度の高いものは避けていた
街の、そして国から与えられた勲章とも言える刻印持ちで
ここまで地味な仕事をコツコツとこなしている冒険者は早々居ないだろう
ある程度立場を意識しろと言われたものの、仕事の方針に対して強制が無い事については助かっていた
そんな俺達が椅子に座って飲み物を飲んでいると、
少しのどよめきが耳に入る
声の主達は周囲の冒険者仲間、入り口付近に視線を送っている
ギルドには以前来たアバリオみたいに名の知れた冒険者や、俺やルシュは知らないが
お偉い方が来る事もあるので、稀にこういうことはある
としても、なんだか色めきだっているような…
俺が冒険者仲間達の先に視線を送ろうとすると
「お、いたいた!」
と聞き覚えのある声が聞こえた
この声は…!
その瞬間
「!」
ルシュが急いで席を立った
俺の視界に懐かしい面々が映る
「テオック!それに村長も…!」
そこにはアステノで俺が世話になったコボルトのテオック、
そしてアステノの村長でラミアであるメラニーの姿があった