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異世界で俺が棍棒を使って無双する話  作者: くるっくる
第2章 棍棒の冒険者
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第39-3話 ガリュエヌのこれから

イルンの後ろから現れたアネイル


俺達が外出中に家に訪ねて来ていたようだ


「あ、お荷物持ちますね。

アネイルさん、少しだけお待ち下さい…!」

イルンが少し慌てた様子で俺達の持つ食材の入った袋を持ち、アネイルにお辞儀をしてからキッチンへと向かった


「取り敢えず応接室で待っててください、俺達も装備を置いてくるので」

俺の言葉にアネイルは頷き、応接室へと移動した


---------------------


応接室に俺とルシュとイルン、そしてアネイルがテーブルを囲んで座る


イルンが俺達にお茶を出してくれている


…この家に住み始めて応接室を応接室として使ったのは初めてだ


食堂と同じようにこの応接室も憩いの間として利用しているが、

食堂はテーブルが少し大きいので、あくまで食事を中心として利用している


応接室は専ら休憩やルシュが俺やイルンと遊ぶ時に利用している

椅子の座り心地がとても良いのだ


流石領主が持っていた家なだけはある


…それはともかく


「アネイルさん、王都から戻ってきてたんですね」

俺の言葉にアネイルは微笑む


「ええ、ガリュエヌに行く前にあなた達にお礼を言おうと思って。

それにしても、流石ね…」


アネイルは応接室を見渡す


「ふふ、マーテンであなた達の事を尋ねたらすぐにお家がどこにあるか分かったわ。

有名人ね」

アネイルは少しいたずらっぽく笑って答える


「正直俺自身はちょっと身の丈に合ってないなって感じてます。

でもルシュが居てくれたからこそです」

俺の言葉にルシュが少し驚いた表情で俺を見る


「あなた達のコンビは最強よ、なんたっておじい様に勝ったんだから」

そう言ってアネイルは笑った



ロウザン将軍、まともにやりあってたら万に一も勝ち目はなかった

彼が俺達に対して殺意が全く無かった事、聖水(正確には聖酒)という弱点があった事

俺の棍棒を出す能力のまさに初見殺しを利用した事

ロウザン将軍の力についていけるだけの能力をも持ったルシュ


全てが噛み合った結果だ


勿論そのことは彼女も理解しての事だろう



「それはそうと、ロウザン将軍の事、聞きましたよ」

俺がアネイルに向かって切りだす


数日前、ロウザン将軍が王都でどういった処断を行われたかの話を耳にした

これも以前の様にあっという間にマーテン中に広まった


商人を伝ってとの事だが流石に彼等の情報は早い


「ガリュエヌの領主になるって聞いて安心した」

ルシュがアネイルに話す



ルシュの言葉を聞いてアネイルは少し安堵した表情を浮かべ、笑う


「ええ、流石に伝わるのが早いわね…。

魔王様はとても寛大な御方だったわ。

まさか私まで謁見できるとは思ってなかったし…」

アネイルはほぅ…と息をついて答える


彼女の振舞いが以前よりも淑女っぽくなっている様に感じられる

気のせいかも知れないが


「まさか極刑ではなくて、ガリュエヌを任されるとは思ってなかった。

おじい様も驚いていたわ」


そう、反逆者であるロウザン将軍がどうなるかと言う事は

死罪は避けられないだろうとロウザン将軍を含め誰しもが確信した上だっただろう

それが覆され、現在のデュコウに仕え、新たに開拓されたガリュエヌの領主に任命されたと言う事だ

現状ガリュエヌはまだ発展復興中と言う事である意味僻地ではあるものの

ここまで人を集めかつての交易路を復活させつつあると言う事は非常にメリットが大きいのだろうか


「魔王ガルゼ様はとても温厚で寛大だと言う話は聞いていたけれど、

おじい様の力が必要だと頼み込んだの。

私は呆気にとられてしまったのだけど、おじい様は少し考えてから引き受けたわ」

アネイルは軽く経緯を話してくれた


「ガルゼ様はおじい様のもつ知識、能力は今のデュコウに大きなものをもたらすから、と仰っていたわ。

それで今は王都に留まって王都の将達に知識や技術を伝え、そして今のデュコウやレインウィリスの事を学ばれているわ。

私は少しだけその様子を見させていただいてから、先に戻ってきたの」


「なるほど、そういう事だったんですね」


納得する俺とルシュ、そして終始驚いた表情のイルン


イルンはアネイルがロウザン将軍の身内だとは知らなかったから当然と言えば当然だろう

とはいえ、口を挟むことなく黙って俺達の話に聞き入っている


「実は、魔王様は私に騎士見習いにならないかと図らって下さったのよ。

けれど、辞退させて頂いたわ」

アネイルは少し申し訳なさそうな表情をしている


彼女は確か国の為に祖父の様な貢献がしたいと言っていた

それならば騎士見習いは非常に良い話ではないだろうか


「どうしてですか?」

俺の言葉にアネイルは一口茶を飲み、そして話した


「魔王様のお話はとても魅力的だったわ。

けれど、私は自分の力で騎士になり、デュコウの為に働こうと思ったの。

おじい様の孫だから、ではいけないと思っているの」


「凄い…」

ルシュが感嘆の声を挙げる


少し前までは立場の事など興味も無かったであろうルシュだが

ここ最近の出来事で色々と耳にするうちに彼女なりに理解してきている様だ


「と言ってもこれは私のワガママでもあるし、実力に見合わない騎士になる訳にもいかないと言うものもあるわ。

また騎士団採用試験が開かれるから、それに受かるだけの力を積もうと考えているの」

とアネイルは告げる


「ガリュエヌはその修行の場にも、実績を積む場所としても丁度良いと思ったわ。

結局おじい様の存在ありきなのだけれどね」

そう言ってアネイルは苦笑いした


そうして暫く談笑を続ける


「そうだ、そろそろ日が暮れる頃ですが、夕食どうですか?」

俺の提案にルシュも頷く

「もっとお話したい、どう?アネイル

イルンもいいよね?」

ルシュの言葉に


「はいっ腕によりをかけます!」

と気合いの入った返事をするイルン


その様子を見て


「ありがとう、それじゃ、ご夕食も頂くわ」

アネイルの言葉にルシュは嬉しそうに笑い、イルンは早速キッチンへと向かっていった

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